菊地凛子・磯村勇斗らが映像業界の働く環境、インティマシーコーディネーターについて語り合う

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第37回東京国際映画祭公式プログラム・TIFFスペシャルトークセッション ケリング「ウーマン・イン・モーション」が本日11月1日に東京・TOHOシネマズ 日本橋で行われ、俳優の菊地凛子磯村勇斗、Netflixプロデューサーの岡野真紀子が登壇した。

「ウーマン・イン・モーション」の様子。左から磯村勇斗、菊地凛子、岡野真紀子

「ウーマン・イン・モーション」の様子。左から磯村勇斗、菊地凛子、岡野真紀子

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第37回東京国際映画祭ポスタービジュアル

第37回東京国際映画祭ポスタービジュアル[拡大]

映画界の表舞台と裏側で活躍する女性たちに光を当てることを目的とし、グローバル・ラグジュアリー・グループのケリングが2015年にカンヌ国際映画祭で発足させたプログラム「ウーマン・イン・モーション」。東京国際映画祭で4回目の開催となる今年は、菊地、磯村、岡野が映像業界の女性を取り巻く環境、課題、そして未来についてそれぞれの視点から語った。

菊地凛子

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菊地は働く環境について、「リスペクトトレーニングがあったり、インティマシーコーディネーターの方が現場についてくださったり、少しずつ変わってきているという印象はあります。ただ立場も性別も関係なく、平等に働いていく環境を整えるには、まだまだ難しい問題があると思います」と述べ、「意識を持って会話していく必要があると思っています」と伝える。

岡野は「20年間業界にいますが、この20年で環境は大きく変わっていると思います。最初は女性であることが難しいな、体力的な差があるなと思っていたんですが、その後、女性であるということに気を使われる時代が来た。そして今は働く中で、女性であることを意識しなくなってきています」と明かし、「Netflixではいろいろな試みをしていますが、女性だということを意識しないという環境が理想だと思っていますし、今後も改善できる部分があると思っているんです」と口にした。

磯村勇斗

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磯村は「デビューして10年なんですが、デビューしたての頃は男性のスタッフが多かったですし、現場で罵声が飛ぶ場面を見ることもありました。ただ近年は女性のスタッフが圧倒的に増えていますし、半分以上が、女性の現場もある。女性が働きやすい職場を作っていくという考えが浸透していっていると思います。ただ現場も変われば価値観も変わる。そういった考えが浸透していない現場もあります。これを機会にもっと広げていかなければと思っているんです」と述懐。また「男性として、こういった場に参加させてもらえるのはうれしいですね。さまざまな問題は、女性だけで解決できることではないと思うんです。性別関係なく、一緒に問題に向き合い、理解していくことが必要だと思っています」と言及した。

岡野真紀子

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ファシリテーターを務めた映画評論家の立田敦子は岡野がプロデュサーを務める「さよならのつづき」に触れ、「日本の作品では強い女性と弱い女性の対比が描かれていることが多かったですが、登場する女性が全員強い女性でした」と伝える。これを受け、岡野は「脚本家の岡田惠和さんには今回初めてNetflixで作品を書いていただいたんですが、キャラクターをどう作っていくかについて、グローバルな感覚を持ったショーランナーを交えてディスカッションしたんです。そのときに、『日本の作品に登場するキャラクターは素晴らしいけれど、まだ女性が耐えているイメージがある』と言っていたんです。岡田さん自身も『無意識にそういったキャラクターを書いていたかも』と。それで『自分自身で人生を切り開いていく、そういう女性たちによって物語が動いていく、そんな作品にトライしたい』とおっしゃってくださったんです」と舞台裏を明かした。

イベント中盤には、インティマシーコーディネーターについて3人がトークを展開。岡野はNetflixに入社以降、すべての脚本をインティマシーコーディネーターに読んでもらっているそうで「相談しなかった作品はないですね。自分がインティマシーだと考えていなくても俳優さんがそう思うこともあると思うんです。キスシーンやセックスシーンだけでなく、例えば温泉に入っているシーンも該当するかもしれないですよね」と言い、「学園ドラマをやったときは、本当に助けてもらいました。キスシーンが初めてという俳優さんもいて、キャリアや世代に合ったサポートが必要だなと思いました」と続ける。

菊地凛子

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菊地は「インティマシーコーディネーターがいてくださったほうが絶対やりやすい」と断言。「自分を守る、相手を守る、クルーを守ることにもなる。そういう立場の人がいるということで、すごく心が軽くなります。根性でいけます!っていうものじゃ絶対にないと思うんです。デリケートなことを、しっかりデリケートなこととして捉えてくれる人が現場にいるのは大事です」と言及する。

磯村勇斗

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左からオープニングスピーチを担当した是枝裕和、岡野真紀子、菊地凛子、磯村勇斗

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磯村はインティマシーコーディネーターがいない現場での撮影を思い返しつつ「『やります!』って言ってやるんですが、どこかで傷付いているようなこともあって。それはカッターで薄く傷付けられたような感覚。タオルもなんも掛かってなくて、おかしいようなって思ったり」と話し、「男性のインティマシーコーディネーター、男性専門のインティマシーコーディネーターがいてもいいなって。男性同士だから打ち解けて話せるってこともありますし、もっと理解度が深まっていくんじゃないかと思うんです」と提案。これに岡野は「早速、会社で話してみたいと思います」と反応していた。

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