ベルリン映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞・観客賞を獲得した「No Other Land」2月に公開

第74回ベルリン国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞とパノラマ部門の観客賞に輝いた、パレスチナ人とイスラエル人の若手監督による映画「No Other Land（原題）」が、2025年2月21日に東京・TOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか全国で公開されることが決定した。

イスラエル軍による破壊行為と占領が進行している、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区マサーフェル・ヤッタ。本作では、この現状を世界に発信することで占領停止を訴えようとカメラを回すパレスチナ人青年バゼル・エイドラと、彼に協力しようと命懸けで同地にやってきたイスラエル人青年ユーバール・アブラハムによる活動が、2023年10月までの4年間にわたって記録されている。監督はエイドラとアブラハム、ハムダーン・バラール、ラケル・ゾールの4人が共同で務めた。

映画では、スマートフォンや手持ちカメラを使用した緊迫感のある映像を通して、マサーフェル・ヤッタの住民たちが家や小学校、ライフラインを目の前で破壊され、強制的に追放されていく不条理な占領行為があぶり出されていく。パレスチナ問題の現実を伝えるとともに、エイドラとアブラハムという同じ歳の青年たちが立場を超えて友情を育む姿も捉えられている。

ベルリン国際映画祭でのプレミア上映後、会場ではパレスチナ解放スローガンの大合唱と割れんばかりの拍手が巻き起こった。しかしこの受賞に対し、イスラエル擁護の姿勢を取るベルリン市長やドイツ文化省が批判コメントを発表して大きな物議に。監督らが殺害予告や脅迫を受けるほど、論争は今なお激化している。このたび到着した場面写真には、マサーフェル・ヤッタの丘陵地を背景に、エイドラとアブラハムがお互いをまっすぐ見つめる姿が切り取られている。