「ひゃくえむ。」監督・スタッフがアヌシーでプレゼン、挑戦的なアプローチの裏側語る

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劇場アニメーション「ひゃくえむ。」がフランスで開催中のアヌシー国際アニメーション映画祭2024に出品。現地時間6月11日に「Work in Progress」部門のセッションがSalle Pierre Lamyにて行われ、監督の岩井澤健治、作画監督・キャラクターデザイナーの小嶋慶祐、美術監督の山口渓観薫、プロデューサーの武次茜が登壇した。

アヌシー国際アニメーション映画祭2024「Work in Progress」部門セッションの様子。

アヌシー国際アニメーション映画祭2024「Work in Progress」部門セッションの様子。

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アヌシー国際アニメーション映画祭2024「Work in Progress」部門セッションの様子。

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「チ。―地球の運動について―」などで知られるマンガ家・魚豊の連載デビュー作を劇場アニメ化した本作は、陸上競技・100m走の世界で最速に挑む男たちの栄光と挫折を描く物語。岩井澤にとって本映画祭への参加は長編1作目「音楽」に続いて2度目となる。

岩井澤健治

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100m走は約10秒で終わってしまう競技のため、短い時間をいかにドラマチックに描けるかに苦労したという。岩井澤は「競技中だけでなく、試合に臨むキャラクターの葛藤やその姿勢を描きたいと思っています。映画を作る際に私が意識しているのは、その作品にしかない特別なシーンを描くこと。本作にしかない挑戦的なアプローチをしています」と語る。

小嶋慶祐

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小嶋はキャラクターデザインについて「実写の印象に近いデザインをしていますが、原作のマンガらしさを大切に、どう残していくかを意識した」と回想。実写だと成立するが、アニメだと表情やパース感が少し違うだけでつながっていないように見えることがあるそうで「シーン全体のキャプチャを1枚にまとめて、一気に絵を入れていくことを思いつきました。これは日本で一般的なフローではありませんが、効率よく作業するため、本作で新たな手法に挑戦しています」と明かした。

山口渓観薫

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「ひゃくえむ。」背景美術

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「ひゃくえむ。」背景美術

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山口は岩井澤から「シンプルに単純化したタッチではなく、できるだけリアルに忠実に描いてほしい」とオーダーを受けたことに触れ、「必要があれば写真をベースにトレースし、着色する方法をとりました。日本では背景美術のほとんどがデジタルで描かれることが多いですが、本作では手描きの絵の厚みを表現したくて、アナログで描くことにこだわっています」と言及。また岩井澤のリクエストにより“背景美術動画”を制作したと明かし、「あるカットでは約3秒間のカットで29枚の背景美術を描いているのですが、主流ではない表現だとあとで聞いて驚きました」と独自の表現を模索したことを振り返った。現地の反響を受けた岩井澤のコメントも以下に掲載している。

「ひゃくえむ。」は2025年全国公開に向け制作中。

岩井澤健治 コメント

前作「音楽」の時はコロナ渦中でオンラインでの参加だったので、やっとアヌシーに来られました。私自身も一緒に登壇したスタッフも時間内に上手く伝えられるか、どんな反応が返ってくるのか緊張や不安もありましたが、観客のみなさんは終始真剣に聞いてくれました。アヌシーは世界最大のアニメーション映画祭で、観客が作品を楽しもうという姿勢があり、アニメーションに対する前のめりな反応を感じました。そういった現地の雰囲気を肌で楽しむことができました。今回の「ひゃくえむ。」は、商業作品としてチームでの制作に挑戦しますが、制作フローも含めて型破りな作品として評価いただけた前作「音楽」のようなインディペンデント制作の良さも残しながら、自分にしかできない表現方法や作品になるよう制作しています。日本と世界の皆さんにぜひ楽しみに待っていてほしいと思います。

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(c)魚豊・講談社/「ひゃくえむ。」製作委員会

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