本作は江戸のメディア王として時代の寵児となった重三郎を軸にした“痛快エンタテインメント”。貧しい庶民の子に生まれた重三郎は、のちに書籍の編集・出版業を始め、喜多川歌麿、葛飾北斎、十返舎一九といった才能を見出したことで知られる。脚本は連続テレビ小説「ごちそうさん」や大河ドラマ「おんな城主 直虎」を手がけた森下佳子が担当する。
商業重視の政策で江戸幕府の新時代を築く老中・田沼意次を演じる渡辺。娘の杏が主演した「ごちそうさん」と同じく脚本家が森下であることから「娘がお世話になりましたので、そのご恩返しをしたい」と明かしつつ、共演者の大河ドラマの出演回数に言及する。「染谷はもう5本目なんだよな。俺の歳の半分でもう5本もやりやがった」と笑い混じりにボヤき、「よくも悪くも大河は話題になる仕事。“てやんでぇ! べらぼうめぇ!”という感じで1年間を走り抜けたい」と意気込んだ。足軽という低い身分から老中まで上り詰める意次については「わいろ政治といった腐敗したイメージもありますが、経済を主にした国に変えていくんだという先見性を持っていた人。プロットを拝見して大きな発見があった。これまでのイメージを払拭して、まったく新しい人物像をお届けできれば」と話す。
染谷は美人画で江戸に旋風を巻き起こす天才絵師の喜多川歌麿役で出演。「あまり史実が残っていない。どこでいつ生まれたのかわかっていなかったり、説がたくさんあったり、想像力を掻き立てられる役。ある種、自由に演じていいのかと思っています」と述べながら、「でも彼が描いた絵は残っているわけで。絵には人が出る。歌麿の絵を見つめながらクランクインを楽しみにしています」と続ける。一緒に美人画を仕掛け、親友になっていく間柄の歌麿と重三郎。染谷は「蔦重さんとの関係がキーになってくる。友情なのか戦友なのか。一緒に困難に立ち向かっていく場面がきっと多いです。そして構想を聞いた限り、新しい歌麿像になると思います」と明かした。
本作で大河ドラマ初出演を果たす宮沢は「朝ドラを隣のスタジオで撮っていたとき、皆さんが大河の別世界に行かれるところを見ていて、ずっと心のどこかでうらやましい気持ちがありました。こうして出演が決まってうれしいです」と吐露。演じるのは、意次の正当な後継者として政治的手腕を発揮しながら、江戸城内で予期せぬ出来事に巻き込まれてしまう田沼意知だ。宮沢は「日本の明るい未来のために生きている人。その思いを大きく持って演じていきたいです」と力を込める。さらに「信念や強い思いがある一方で、プロデューサーからはどこかプリンスのような存在であってほしいとも言われました。すごくスマートでチャーミングな部分もある。そんな意知を演じられたら」と紹介した。
愛之助が演じるのは、地本問屋の主として重三郎に本屋商売の基礎を指南しながら、やがて業界最大の敵として激しい争いを繰り広げる鱗形屋孫兵衛だ。「おそらく皆さんご存知ない。私も最初に役を伺って『誰だろう?』と思い、調べました。なかなかお顔も出てこないので、そういう意味では自由に演じられる」と期待を込める。愛之助は重三郎と孫兵衛の関係性について「蔦重さんは孤独な人。最初は孫兵衛が兄のような、父のような視線で仕事を教えながら、やがてライバルになる。どういうふうに孫兵衛が蔦重に追い越されてしまうのか。とても楽しみにしております」と話した。
横浜は、新たなキャストの発表を受け「改めて皆さんと顔を合わせると、実感が湧きます。喜びと同時に責任感も感じて、身が引き締まる思い。史実に残っているところが少ないからこそ、自由にオリジナルの脚本で想像を膨らませながら、それを飛び越えるような作品を皆様とともに作っていきたい」と意気込みを語った。
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てれびのスキマ/戸部田 誠 @u5u
染谷「あまり史実が残っていない」「でも彼が描いた絵は残っているわけで。絵には人が出る。歌麿の絵を見つめながらクランクインを楽しみにしています」/横浜流星が渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助との共演に「喜びと責任感」 - 映画ナタリー https://t.co/y0LIQqt2Hh