「
「屋根裏のラジャー」は、A・F・ハロルドによる小説「ぼくが消えないうちに」を原作とするファンタジー。愛を失った少女と、彼女が生み出した“誰にも見えない少年”ラジャーが想像と現実の世界を駆け巡るさまが描かれる。少女アマンダの想像から生まれた“イマジナリ”のラジャー役で寺田、アマンダの母リジー役で安藤、ラジャーを付け狙う謎の男ミスター・バンティング役で尾形が参加。このほか鈴木梨央、仲里依紗、山田孝之、高畑淳子もキャストに名を連ねる。
西村は2013年の高畑勲監督作「かぐや姫の物語」をプロデュースしたのち、スタジオジブリを離れて2015年にスタジオポノックを設立。2017年に「メアリと魔女の花」を発表し、そのあと「屋根裏のラジャー」の原作に出会ったという。「これがまた難しい原作で。“イマジナリーフレンド”という、子供の“想像の友達”が主人公なんです。こう聞くと『子供の想像力は無限だよね』と思うかもしれませんが、そこは主眼に置いていません。僕たちはラジャーの人生に思いを馳せてみました」と説明。「“人間に忘れられていく少年”が主人公。これは悲劇なんだろうか? そうしたら人間の人生そのものも悲劇じゃないか? でもそうじゃない物語があるはずだ。そう考えたとき、分断と無縁の時代にラジャーが生きた少ない時間というのは、僕たちの人生にとって意味がある物語になりうるだろうと思って、人間の物語として描きました」と企画の発端を明かした。
当初の公開は2022年夏とアナウンスされていたが、新たな制作技術に取り組むなど挑戦と苦難が続き、予定より1年以上延期に。寺田は2021年秋にオーディションで出演が決まり、翌年の夏に収録に臨んだ。しかし制作の遅れにより、寺田が声変わりする前に収録を終わらせるため、一部は先にセリフを収録するプレスコ方式を取り入れている。寺田は「ほかの誰かではなく、僕自身が絶対演じたいと思っていて、決まったときは泣いちゃうくらいうれしかったです。念願の役でした」と述懐。「収録期間中は毎日冒険をしているような感覚で、家に帰っても『明日の冒険は何かな』と考えていました。家でも(役が)抜けていなかったです」と振り返る。
そんな寺田について、西村は「最初からラジャーだった。服装もラジャーでした」と太鼓判を押し、百瀬も「オーディションで声は聞いていましたが、収録でスタジオに来られたとき、遠くから聞こえた話し声がラジャーにしか思えなかった。それぐらいしっくりきていました」と満足げに語った。
また安藤は「こういう仕事なので、自分の想像力と現実の自分がずっと寄り添ってきた中で、大人になった今、他人からしたら私は変なのかもしれないと悩んでいた時期で。すごくこの作品に助けられました。娘に原作を読み聞かせたらゲラゲラ笑って喜ぶので、早く映画も見せたいです」とほほえむ。尾形は「台本を読んだときは、よくわからなかったんですよ(笑)。でも打ち合わせでバンティングの画を見せてもらった途端に親近感が湧いて、私以外にいないだろうと。つまり顔ですね。私そのものだなと思いました」と出演の決め手を打ち明けた。
「屋根裏のラジャー」は12月15日に全国で公開。
映画「屋根裏のラジャー」予告編
関連記事
寺田心の映画作品
リンク
msgky @masa_gakky
寺田心、声変わり中に「屋根裏のラジャー」収録 一部はプレスコで先にセリフ録音 - 映画ナタリー https://t.co/OArbzmItTv