本作は1970年に黒澤明が「どですかでん」のタイトルで映画化したことでも知られる、山本周五郎の小説「季節のない街」をベースにした物語。12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅がある街を舞台に、半助こと田中新助の目線を通して、その街で暮らす人々が描かれる。”ナニ”によって何もかもを失った半助を
今回の取材は、廃校になった茨城県の小学校で今年2月上旬に実施された。15世帯43人が住む仮設住宅のセットは、運動場に砂利を敷き詰める整地から行われ、部屋ごとに生活感のディティールが施された。街にやって来たばかりの半助の部屋は、寄付された家具や家電を寄せ集めたイメージで作り込まれており、そのほかの住人の部屋には聴き古したCDや調味料、血圧計、幼い子供が描いた絵などが置かれ、12年の歳月を感じさせる。2022年12月から約2カ月間、ほとんどのシーンがこのセット内で撮影されたといい、宮藤は「編集をしながら『こういう画があったらいいな』と思ったらまた現場に来て撮ることができるのは、すごく恵まれていますね」と話した。
宮藤が監督を務めるのは「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ」以来だという。本ドラマを企画した理由について「2020年に(宮城県の)石巻に行ったとき、現地で『みんなコロナ、コロナって騒いで、震災のこと忘れてしまうんじゃないか』って話を聞いたんです。仮設住宅から復興支援住宅に引っ越したけど結局近所付き合いがなくなって、家から出なくなった高齢者もいる、といったいろんな問題を知って、何かを強く訴えるわけではないですが、そういう現実と地続きの物語というか、被災した人々による、現代の『季節のない街』を作りたいと考えました」と思いを明かした。本ドラマでは「どですかでん」に入らなかった原作小説のエピソードも扱われ、“令和版”の新たな視点で物語がつづられている。
黒澤監督作の中で「どですかでん」が一番好きだという宮藤は「現代の俳優で誰がやるか、妄想キャスティングが現実になる過程に関われたので、面白いです」と久しぶりの監督業を楽しんでいる様子を見せた。濱田岳扮する電車好きの六ちゃんが運転手の動きを模倣するシーンでは、宮藤自ら「誰かに見せてるわけじゃないけど、もう少し芝居がかっている感じで」「最後の『ガチャ』だけちょっと大きく」と細かく演出を付けていく。初タッグとなった池松に対しては「これまでコメディの印象がそんなになかったんですけど、本人はすごく楽しんで演じてくれたのでやりやすいです」と笑顔で述べ、半助・タツヤ・オカベの関係性については「同世代で、同じようなものを観て育ってきたんだけど1人ひとり全然違うという空気感が出ているなと思います」と俳優陣への信頼をのぞかせた。
宮藤のほか「いとみち」の
「季節のない街」は8月9日にディズニープラス スターで全10話一挙独占配信される。キャストには三浦透子、増子直純(怒髪天)、荒川良々、MEGUMI、高橋メアリージュン、
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宮藤官九郎の映画作品
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Aika Higashimori @aika_higamo
黒澤明の『どですかでん』の原作、山本周五郎の『季節のない街』がドラマ化。
もうすぐだ。楽しみ。池松さん!! https://t.co/rdx4MztIFL