圧政下のミャンマー市民の声を届ける、匿名の作家集団が制作したドキュメンタリー公開

第72回ベルリン国際映画祭でドキュメンタリー賞を受賞した「ミャンマー・ダイアリーズ」が、8月5日より東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開される。

ドキュメンタリーとフィクションを行き来しながら、圧政下のミャンマーにおける市民の声の断片を生々しく伝える本作。民主化に向けて変革が続いたこの10年余り、市民は自由と発展への希望を抱き始めていた。しかし2021年2月1日、軍が再び国の支配に乗り出し、反発した民衆による大規模な抗議デモが全国各地で勃発。人々は抵抗のシンボルとして“3本指”を掲げて軍政に反対する声を上げるも、1人の少女の死を皮切りに軍の弾圧行為は激化し、人々の自由と平穏な暮らしが崩れていく。

インターネットが定期的に遮断され、軍に都合が悪い情報を発信するメディアやSNS投稿が処罰の対象となるなど、国内外に情勢を伝えることは困難に。そんな中、ミャンマーの若手作家たちが自らの匿名性を維持しながら“ミャンマー・フィルム・コレクティブ”を結成。それぞれの日常から生まれた10人の映画監督による短編映画とSNSに投稿された一般市民の記録映像をシームレスにつなぎ、本作が完成した。

このたび予告編とポスタービジュアルも到着。YouTubeで公開中の予告編は、軍への抗議を示す“3本指”とデモの場面から始まる。ポスターはコロナ禍の抗議活動を象徴するマスクとヘルメット姿の人物のシルエットを背景に、「SAVE MYANMAR（ミャンマーを救え）」「STOP KILLING OUR PEOPLE（私たちを殺すな）」「RESPECT OUR VOTE（我々の選挙権を尊重せよ）」といった市民の声や、劇中でアニメーションとして描かれる“蝶”、そして「どうか私たちの声が届きますように」というコピーがデザインされている。

なお配給会社E.x.Nでは、本作の興行収入より映画館への配分と配給・宣伝経費を差し引いた配給収益の全額を支援金とし、ミャンマー避難民の生活支援活動を行う団体・施設に寄付する。