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橋爪駿輝のデビュー小説をもとに、理想と現実のギャップに溺れながら社会や自分と向き合う若者たちを描いた本作。北村が上司のパワハラに“消えてしまいたい”と思い詰める〈僕〉、中川が何事も“楽しければいい”と刹那的に生きるユウスケを演じ、松岡が結婚こそすべてと信じる菜穂、古川が何者にもなれず“特別になりたい”と願う〈私〉に扮した。
「僕」という役名の人物を演じるのは3回目という北村は「〈僕〉と〈私〉の世界は抽象的でありながらグロテスク。ファンタジーでリアリティもある、ふわふわした世界。その中でどう皆さんに寄り添えるか。〈僕〉は自分自身であり、監督の清水さんでもある。誰かの欠片がいっぱいある役で、現場で監督としゃべりながら作っていった感じがしますね」と話す。一方、もう1人の主人公を演じた中川は「〈僕〉とユウスケは別々の人物だけど、違うようで、どこか内側でつながる部分がある。ユウスケは派手に見えて孤独で繊細な男。ずっと自問自答して自分と向き合っていく人物です」と紹介した。
清水は見どころとして「映画が始まる最初のカットに注目してもらいたい」とアピール。北村が「ワンカット目は、映画史に残る」と続けると、清水は「そこまで言っちゃうと……でも(映画史に)残したい」と及び腰な反応で笑いを誘う。ファーストカットの撮影は夕方に準備が始まり、撮り終えたのは翌日の朝だったそう。北村は「でも不思議で、ワンカットのために、これだけの時間をかけるのは苦ではなかった」と打ち明け、中川も「ワンテイク目が回ったのが朝の3時とか? 僕のそばにいた録音部の女の子はずっと寝てました。カメラが近付いてくるときに僕が起こして(笑)」と振り返った。
タイトルにちなみ「自分のスマホでスクロールして見返したい写真は?」という話題も。「(写真が全部で)200枚ぐらいしかない」という北村とは対称的に、松岡は「私は3万枚ぐらいある」と、携帯を変えても写真のデータは長年にわたって引き継いでいることを明かす。「なので北村さんの中学1年生のときの写真もあります」と暴露。2人は2011年のドラマ「鈴木先生」をはじめ多数の共演歴があり、松岡は「最初に出会ったのが中学1年生の北村。私が高校1年生。前髪がねえ、(額に手を当て)眉毛のこのぐらいしかなくて……本当にお見せしたい。再共演するたびに昔の北村を見ちゃいますね」としみじみした様子で吐露し、北村も「“北村”呼びは、僕の知り合いで彼女だけです」と笑いながら「初めて共演したドラマが濃かった。学校の同級生だったので」と懐かしんだ。
最後に中川は、小学生の頃から同じ事務所で活動してきた北村に対して「10代の頃は同じ演技レッスンを受けて、同じオーディションに毎回行って、役を奪い合う。どっちかが受かっては落ちてを繰り返してきた仲でして。僕はすごく意識をする存在。匠海ががんばっている姿を見て『僕もがんばろう』と思える人です」と述べつつ「20代半ばになって、同じ映画でダブル主演を務めることができて、こうして立っているのが感慨深い。ものすごく思い入れのある作品です。愛のある映画なので、ぜひ受け取ってください」と思いの丈をつづる。北村も「ユウスケと〈僕〉が表裏一体。宿命と言うか運命と言うか。小さい頃の仲間である大志とダブル主演をやれたのが、この作品でよかった」と語った。
「スクロール」は2月3日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。
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「スクロール」小学生の頃からの仲間、北村匠海と中川大志がダブル主演に感慨 https://t.co/hpCwQBiJGr
原作:橋爪駿輝『スクロール』講談社文庫