映画祭「Making Waves - Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」が本日11月9日に東京のBunkamura ル・シネマでスタート。オープニング作品「
香港特別行政区の設立25周年を記念した本イベントでは、香港の才能豊かな新人監督の作品や、今なお輝きを放つクラシックなど選りすぐりの映画を上映。あわせて写真展「香港映画のナビゲーターたち」も実施されている。オープニングセレモニーでは、創意香港のアシスタントディレクターであり香港電影発展局事務局長のゲイリー・マックが「この“新しい力”は皆さんの応援を受けて、さらに大きく成長していくものだと確信しています」と力強く語った。
オープニングを飾った「黄昏をぶっ殺せ」は、かつての殺し屋で引退後に自殺ほう助を請け負う者たちが、他者との関わりの中で、再びそれぞれの生を輝かせる姿をユーモラスに描いた作品。今回上映される「リンボ」で主演を務めるなど役者としても活躍するラム・カートンは「香港映画は刺激的な作品がたくさんありますが、ほかのジャンルは作れないかといつも自問自答していました」と制作のきっかけを明かす。
主人公チャウを演じた
しかし香港映画は徹夜で撮影するのが日常茶飯事。長らく活動しておらず、しかも高齢のパトリック・ツェーの周りには彼を心配する友人たちがいるため、ラム・カートンは「本人にオファーするより、まずは友人たちが関門でした(笑)」と振り返る。パトリック・ツェーに定着しているハードボイルドなイメージを変えてみたいという気持ちもあり、何度も会って時間を掛けてアプローチするうちに、パトリック・ツェーの友人も含めて信頼を得ていったと述懐。最終的には共演者がフォン・ボーボーだと知り、「だったらいいか」と引き受けてもらえたという。
本作で初めて長編映画の脚本に挑んだラム・カートン。苦労もあった一方、振り返れば楽しい作業だったと話す彼は「お気に入りのシーンは?」という質問を受けると、「なぜこの脚本を書いたのか話したほうがいいかもしれない」と切り出す。「歳を取るといろいろなことを考えます。相手が高齢だと、自分は何ができるか? この人は何を求めているのか?と考えなければならない」と言及。そして込み上げてくる感情を抑えながら「この映画を通して、家族、友人、あるいは他人でもいい。とにかく周りの人間に少しでも関心を持つようになってほしいと思います。この社会では、人間の情がどんどん薄れている気がします。歳を取るとなかなか言えないことがあったり、頑固になってきたりしますが、あきらめるのではなく、我々は“後輩”として“人生の先輩”に対する理解や優しさ、応援する気持ちが必要。互いに支え合えば、この世はもっとよくなるのではないでしょうか」と真摯に伝えた。
「Making Waves - Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」は11月13日まで開催。
※動画は現在非公開です。
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ラム・カートンの映画作品
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辺境写真家 栗田哲男 Tetsuo Kurita Photography @tetsuo_tk
ラム・カートン(林家棟)が来日中なんですね!
『インファナル・アフェア』など香港ノワール作品でお馴染みの名脇役。特にジョニー・トー作品には欠かせない俳優さん。この写真では分かりにくいけれど、蟹江敬三と南原清隆にそっくりなんですよね。
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