ドキュメンタリー映画「
宮城県気仙沼市唐桑半島にある民宿「唐桑御殿つなかん」を舞台とする本作は、山あり谷ありの半生をたどりながらも明るい性格で人々から慕われる女将・菅野一代と仲間たちの歳月を追ったもの。東日本大震災で自宅を失い海難事故で家族を亡くした菅野と当時学生ボランティアだった移住者たちが、復興の先を見据えてともに歩むさまが捉えられた。
監督を務めたのは、震災当時テレビ報道の現場にいた現役ディレクター・
風間は「先が見えにくい世の中で、自分の進む方向をどこか見失っている人もいるでしょう。そんな人をはじめ、多くの人に是非、この映画を見て欲しいと思います」とコメント。渡辺は「本当によく知った人たち、よく見た風景、画面を通して、自分の中にいろんな思いが出てくる作品でした。だからこそ、是非このナレーションをやりたいと思ったんです」と語った。
風間研一 コメント
2012年1月、当時ディレクターをしていたテレビ朝日「モーニングバード!」で震災から1年に関する特集企画を考えていたところ、河北新報に載っていた菅野一代さんの記事に出会いました。以来、番組での取材、個人での取材、時にはプライベートでの宿泊で、東京から唐桑へと何度も通いました。
一代さんに初めて会ったのは雪が降り積もるとても寒い日で、学生ボランティアにワカメの仕分け作業を教える一代さんの声だけが、明るく元気に響き渡っていました。その後、いつ行っても「つなかんに一代さんがいる」ことは変わりませんでしたが、周囲の人々や地域の環境は、行く度に“変化”がありました。唐桑の町に、かつての学生ボランティアが次々と移住し、「つなかん」を中心としたコミュニティが新たに作られていく過程を目にし、驚くと同時にとても嬉しく、貴重な現場に立ち会えている喜びを感じました。「つなかん」という場所とそこに集う人々を見つめ続けて、様々な経験を共有させてもらった大切な“時間”を映画にしたい。いつしかそう考えるようになっていました。それから3年、紆余曲折ありましたが、和享さんと一代さんに導かれて、ここまで来ることができました。この間、1人の取材者として私自身も「つなかん」に育ててもらったと思っています。
先が見えにくい世の中で、自分の進む方向をどこか見失っている人もいるでしょう。そんな人をはじめ、多くの人に是非、この映画を見て欲しいと思います。きっと“何か”を感じるはずです。一代さんや気仙沼に縁のある皆様の力を結集して作ったこの映画から、未来に繋がる新たな“きっかけ”が生まれることを願っています。
渡辺謙 コメント
2011年以降、気仙沼に回数がわからないくらい通っているので、一代さんにも何回もお会いしています。彼女が体験したいろんな思いも理解をしているつもりなので、先に原稿と画を見せていただいた時に、不覚にも、原稿に目を移せないくらい感情を揺さぶられてしまいました。本当によく知った人たち、よく見た風景、画面を通して、自分の中にいろんな思いが出てくる作品でした。だからこそ、是非このナレーションをやりたいと思ったんです。
地域に根ざして、一緒に未来を作るっていう、この作品に出てくる若者たちと同じ思いで僕自身も気仙沼と関わっていますね。応援しているようでいて、背中を押されている感じはある。辛い思いも一緒に、経験をさせてもらった気はします。そういういろんなことも含めて、一代さんが今まで、そしてこれから生きていく、「道」みたいなものが、たくさんの方々に共鳴するんじゃないかと思っています。
渡辺謙の映画作品
リンク
ポレポレ東中野 @Pole2_theater
ある民宿の女将と仲間たちの歳月追った「ただいま、つなかん」公開、語りは渡辺謙(コメントあり) https://t.co/cXbK7KdUPT