「PLAN 75」早川千絵が倍賞千恵子の起用理由明かす、鈴木敏夫のコメントも

第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール スペシャルメンション（特別賞）を受賞した「PLAN 75」。その監督・早川千絵が倍賞千恵子をキャスティングした理由を明かした。

近未来の日本を舞台とする「PLAN 75」では、75歳以上の高齢者に死を選ぶ権利を保障し、支援する制度“プラン 75”に人々が翻弄されるさまが描かれる。主人公・角谷ミチを倍賞が演じたほか、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美がキャストに名を連ねた。

1961年に映画デビューを果たし、俳優としてのキャリアが60年を超えた倍賞。「PLAN 75」は9年ぶりの主演作となった。彼女は「最初は“ひどい話”だと思ったのですが、物語の終盤でミチがある選択をする姿が描かれており、そこにものすごく心打たれ、惹かれて……。それだけで出演を即決しました」と、早川が手がけた脚本に惚れ込んだことを明かす。

早川は倍賞の起用理由を「観た人がかわいそうだと思うような主人公ではなく、自然と好きになり、感情移入してしまうような主人公にしたかった。そのためにも、凛とした美しさや人間としての魅力を備えた方に演じてもらいたかったんです。それで真っ先に倍賞さんを思い浮かべました」と語る。さらに「お芝居は手の先から足の先まで完璧でした。フランスの編集スタッフやサウンドエンジニアも『なんてエレガントなんだ』と。まさに誰もがミチを好きになっていました。同時に人間的にも素晴らしい方です。倍賞さんはスタッフの名前を、アシスタントの名前まで全部覚えていらっしゃるんですよ。人間としても倍賞さんから多くを学ばせてもらいました」と撮影を振り返った。

なお本作を鑑賞した鈴木敏夫は「倍賞さんというと、『寅さん』の妹のさくらさん。でも、ジブリにとっては、『ハウルの動く城』のソフィーです。75歳を超えると、死を選択できる。この配役は、倍賞さんを置いて、他に考えられない。最後まで、倍賞さんの一挙手一投足を見守りました。この映画のヒットを願っています」とコメントを寄せている。

「PLAN 75」は6月17日より東京・新宿ピカデリーほか全国でロードショー。

鈴木敏夫（スタジオジブリ）コメント

倍賞千恵子さん、ご無沙汰しています。お元気そうですね。映画を見てそう思いました。
倍賞さんというと、「寅さん」の妹のさくらさん。でも、ジブリにとっては、「ハウルの動く城」のソフィーです。
75歳を超えると、死を選択できる。この配役は、倍賞さんを置いて、他に考えられない。
最後まで、倍賞さんの一挙手一投足を見守りました。この映画のヒットを願っています。