76歳の映画プロデューサー・吉崎道代の自伝「嵐を呼ぶ女 アカデミー賞を獲った日本人女性映画プロデューサー、愛と闘いの記録」が6月下旬に発売される。
大分の映画館が1つもない土地からローマの映画学校へ渡り、子育てしながら多くの映画を手がけてきた吉崎。書籍には
吉崎は「ディストリビューターとして買い付けた映画作品、そしてプロデューサーとして製作した映画の秘話に愛とセックス、結婚、子育てといった私生活も含めた私の映画人生を語っていきたい」とつづる。映画字幕翻訳者の戸田奈津子は「日本を飛び出し、映画の道で成功したいと願っている若い人たちの必読の書です」と応援コメントを寄せた。
吉崎道代 コメント
私はヨーロッパ(イタリア、英国)に住んで40数年が経つ。その間、映画プロデューサーとして私の会社で共同製作した映画が米アカデミー賞(オスカー)にノミネートされること15回、うち4回は受賞した。日本の映画人としては最多受賞であろう。これは日本の映画人としては画期的なことと言われている。英国で最も権威のあるガーディアン紙にも「我が国の映画界の救世主はイギリス人ではなく、日本から来たひとりの女性」と紹介されたこともある。また映画の業界紙スクリーンエンターテインメントが毎年選ぶ世界のパワープレイヤー100人に数回にわたって選ばれてもいる。
しかし私の映画人生の出発点は、田舎娘の落ちこぼれであか抜けない容姿にコンプレックスを抱いた女子高生が、大学も全部落ちて日本には活路を見いだせず、一念発起し単身海を渡り男性社会である映画界の門戸を叩いたことから始まる。まさに世間知らずの暴挙である。しかし、そこからひとつひとつ階段を上っていった。著名な映画人や世界のセレブたちとの交友の貴重な体験や、彼らが作ってきた映画、そして彼らの生き方から得たものが、私の映画製作のテクストブックとなったのだ。ディストリビューターとして買い付けた映画作品、そしてプロデューサーとして製作した映画の秘話に愛とセックス、結婚、子育てといった私生活も含めた私の映画人生を語っていきたい。
女性は誕生から社会の外様、アウトサイダーである。男性のように名誉や誇り等という厄介なものから解放されている。失敗しても失うものがない強みが“飛ぶのが怖くない”と、闘う強さとなっていったのだろう。
戸田奈津子(映画字幕翻訳者)コメント
映画愛と不屈のバイタリティで、日本人として国際映画界で前人未到の道を切り開いた吉崎道代さん。日本を飛び出し、映画の道で成功したいと願っている若い人たちの必読の書です。
吉崎アド(映画プロデューサー)コメント
母のこのメモワールは生涯に亘ってのシネマとの情熱的な恋物語です。ハリウッドから遠く離れた日本の田舎から輝かしいキャリアを築いた数少ない映画人が母です。
母は僕を親戚もいない英国で働きながら女手一つで育ててくれました。当時独立して働く女性の少なかった時代です。それも彼女の生涯の夢を最もタフで世界一競争の激しい映画界で実現したのです。
映画界は浮き沈みの激しい、そして鉄の意志がない限りサバイバルは出来ない。僕が母から習った教訓は独立性に情熱そして確固とした決意の重要性です。
母ほど困難な状況の中でも決して負けずに確固とした意志力でやり遂げる人は僕の知る限り誰もいません。僕は母の歩いてきた道を継ぎ僕自身のキャリアをこの素晴らしい映画界で母から習った教訓をもとに歩んでいます。
映画ナタリー @eiga_natalie
映画プロデューサー吉崎道代の愛と闘いの記録、自伝「嵐を呼ぶ女」発売(コメントあり)
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