「アネット」アダム・ドライバーと古舘寛治の起用理由とは、レオス・カラックスが語る

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アネット」の初日舞台挨拶が本日4月1日に東京・ユーロスペースで行われ、監督を務めたレオス・カラックスが登壇。またイベントの後半にはキャストの古舘寛治がサプライズで出席した。

「アネット」初日舞台挨拶の様子。左から古舘寛治、レオス・カラックス。

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「アネット」

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第74回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した本作は、カラックスにとって初めての英語作品かつ全編ミュージカルとなる“ダークファンタジー・ロックオペラ”。人気コメディアンのヘンリーとオペラ歌手アン、そして2人の間に生まれたアネットによって、ダークなおとぎ話が繰り広げられる。アダム・ドライバーがヘンリー、マリオン・コティヤールがアンを演じた。

レオス・カラックス

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オムニバス映画「TOKYO!」で東京を舞台に短編「メルド」を手がけるなど、日本との縁も深いカラックス。前作「ホーリー・モーターズ」以来9年ぶりの来日と紹介されると「実は今回の作品を製作している堀越謙三さんやアネットの人形制作者に会うために一度来ています」と返答する。続けて「実は桜の季節に来日するのは初めて。今まではずっと秋だった。東京を歩き回るのが好きです。とってもエレガントな部分と、ちょっと下品で猥雑な部分が同居しているのが面白い」と印象を明かす。「今日は4月1日ですよね。エイプリルフールは冗談を言う日。この舞台挨拶もその一環かな」ととぼける一幕も。

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2012年のテレビシリーズ「GIRLS / ガールズ」を観たことをきっかけにヘンリー役にドライバーを起用したというカラックス。「彼を観たのはそれだけでしたが、この人を絶対にいつかカメラで撮りたいと思わせてくれた。不思議な男性です。私は幼い頃に猿を飼っていたぐらいに猿が大好き。彼は少し猿に似ていて、そこに魅了された」と話す。「アネット」はドライバーが初めてプロデューサーとしても参加した映画作品。カラックスは「資金調達が難しく完成までに9年も掛かってしまったが、彼は企画が立ち上がって1年目ぐらいの頃から参加してくれた」と感謝を述べた。

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本作では撮影現場で俳優が生で歌った声を同時録音。そこにあとから音楽を重ね、本編に使用した。カラックスは、その意図を「彼らの本業は俳優であって歌は得意な分野ではない。ミュージカル映画は事前に歌を録音しておくことが多いですが、今回は現場で演技をしながら歌う同時録音に挑戦してもらいました」と切り出しながら、「いつもの安定した演技が、歌うことで少し不安定な状況に置かれる。それを映すことに興味がありました。歌に集中することで生まれる演技のはかなさが見ていて美しかった」と続けた。一方でミュージカルを作るに当たり「ジュークボックスが延々と鳴り続けるような映画になってしまうのでは?」という一抹の不安もあったそう。事前にSNSで募集した質問には、カラックスの映画における“沈黙”の魅力を指摘するものもあり、カラックスは「この映画で、セリフのあとではなく音楽のあとに生まれる沈黙が美しいことに気付きました。歌と音楽がほとんどなのに、私にとってはすごく自然なことに感じたんです。ミュージカルがあまりにも快感だったので、通常のセリフ劇に戻れるのか不安もあります」と吐露した。

握手するレオス・カラックス(左)と古舘寛治(右)。

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カラックスによるQ&Aが終わると、劇場で観客と一緒に鑑賞していた古舘がサプライズ登壇。2人は壇上で固い握手を交わす。歌に苦手意識があることからミュージカル映画には「採用されないだろう」と考えていたという古舘。カラックスが「ここで秘密を明かすと、古舘さんを起用した最大の理由は一番歌が下手だったから」と冗談交じりに明かすと、古舘は「やっぱり」と笑う。さらにカラックスの評判を周囲から「気難しい人」と聞いていたという古舘は「まったくそんなことなくて。本当に穏やかな現場。『撮影は遊び、楽しむべきものである。それが創作そのもの』。そういう気持ちを思い出させてくれるほど楽しい撮影でした」と振り返った。

※古舘寛治の舘は舎に官が正式表記

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(c)2020 CG Cinéma International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinéma / UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Télévisions belge) / Piano

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磯田勉 @isopie_

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