スピルバーグが「ウエスト・サイド物語」作詞家を追悼「アメリカ文化の偉大な人物」

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ウエスト・サイド・ストーリー」のワールドプレミアがアメリカ現地時間11月29日に物語の舞台にもなったニューヨークのウエストサイドで開催。監督のスティーヴン・スピルバーグをはじめ、主人公トニー役のアンセル・エルゴート、トニーと恋に落ちるマリア役のレイチェル・ゼグラーらが登壇した。

左からスティーヴン・スピルバーグ、アンセル・エルゴート。

左からスティーヴン・スピルバーグ、アンセル・エルゴート。

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「ウエスト・サイド・ストーリー」ポスタービジュアル

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1957年にブロードウェイミュージカルとして誕生した「ウエスト・サイド物語」をもとに、差別や偏見により不満を抱えた移民の若者たちの姿を描いた本作。プレミアは11月26日に91歳で死去した作詞・作曲家のスティーヴン・ソンドハイムを追悼する形に。ソンドハイムは「ウエスト・サイド物語」の作詞を担っており、楽曲は1961年封切りの映画版、そして最新の本作でも使われている。最新作は生前に鑑賞しており「素晴らしい作品でした。本当に幸せな時間を過ごせますのでぜひ皆様劇場に足を運んでください。全体に輝きとエネルギーがあり、新鮮に感じられます。監督のスティーヴン・スピルバーグと脚本を担当したトニー・クシュナーは本当に完璧な作品に仕上げてくれました」と賛辞を残した。

「ウエスト・サイド・ストーリー」ワールドプレミアの様子。

「ウエスト・サイド・ストーリー」ワールドプレミアの様子。[拡大]

スピルバーグは今回の訃報に対し「もっとも偉大なソングライターの1人であり、天才的な作詞家・作曲家であり、輝かしいミュージカルドラマをいくつも生み出した、アメリカ文化における偉大な人物です」とコメント。「彼がいなくなるのはとても寂しいですが、彼は私たちに、愛することの偉大さと必要性を教えてくれる作品群を残してくれました。そして、これからも教えてくれるでしょう」と哀悼の意を表している。振付師のジャスティン・ペックによる追悼のコメントも下記に掲載した。

左からスティーヴン・スピルバーグ、レイチェル・ゼグラー。

左からスティーヴン・スピルバーグ、レイチェル・ゼグラー。[拡大]

劇中でプエルトリコ系とポーランド系という対立する2つの移民のグループが縄張り争いを繰り広げるウエストサイド。映画の世界観を再現したプレミアでは街並みをイメージしたレンガ調の壁と、劇中でトニーとマリアが「Tonight」を披露する非常階段が設置された。本作はスピルバーグにとって念願の企画にして、初めて手がけたミュージカル作品に。「(映画化は)生涯を通してずっとやりたいことだった。 人々が何十年間にもわたって愛し続けている楽曲を、この映画でも気に入ってもらえることを願っている」と作品への思いを口にした。

左からリタ・モレノ、スティーヴン・スピルバーグ。

左からリタ・モレノ、スティーヴン・スピルバーグ。[拡大]

見どころを聞かれたエルゴートは「Tonight」の歌唱シーンを挙げ「あのシーンが大好きなんだ。レイチェルの歌声は信じられないほど素晴らしい」と絶賛。そしてレイチェルは「ミュージカルは私にとってとても重要なもの。スティーヴン・ソンドハイムがミュージカルの素晴らしさを教えてくれました」と語った。そのほか映画「ウエスト・サイド物語」でアカデミー賞助演女優賞を獲得し、新作ではバレンティーナ役を務めたリタ・モレノ、シャークスのリーダー・ベルナルド役のデビィット・アルヴァレス、ベルナルドの恋人アニータ役のアリアナ・デボーズ、ジェッツのリーダーとなるリフ役のマイク・ファイストなども出席。

「ウエスト・サイド・ストーリー」は2022年2月11日より全国公開される。

ジャスティン・ペック コメント

この作品はソンドハイム氏の初期の大きな作品のひとつで、その当時まだお若かった彼がその才能を注ぎ込んだ作品です。彼はこの「ウエスト・サイド・ストーリー」の制作過程にも非常に献身的で、しばしばセットを訪れたり、リハーサルを見に来たりしていました。この作品のもともとの創作活動の過程や内容そのものに関して、私たちに多くのことを語ってくれました。ソンドハイム氏は、物語の語り方や演出の方向性、そしてトニー・クシュナーが書いた素晴らしい脚本も指示してくれていました。そして彼から私が受け取った最後のメッセージは、私が受け取った数カ月前の彼からの電子メールなのですが、そこには彼がどれほどこの映画に対して胸を躍らせているかが書かれていました。この作品をすごく誇りに思っているとも。そしてオリジナルのときにともにこの物語で仕事をした作曲家の方々を代表して、彼らも同じ思いでいるに違いない、とおっしゃってくれて。そのメールを受け取ったこと自体が、私にとっては感動的な出来事でした。聞きたかったのは、まさにこの言葉だったんだって、このことが聞けて本当によかった、と私は感じました。あのスティーヴン・ソンドハイム氏ですよ。でも、その彼が亡くなったタイミングということが、とても深く、重大で、深く喪に服すことも大事なのですが、同時に私たちに、芸術の力を示してくれていることを思い出させてくれました。芸術というものが、ある個人の人生を超えて、大きく鳴り響くものなのだということを思い出させてくれていると思います。スティーヴン・ソンドハイム氏の作品が、これからも長く、長く生き続けるのだ、ということ。これから来る年月をどこまでも、どこまでも生き続ける。そういう作品を彼がこの世に残したことがとても美しいことで、皆のインスピレーションとなり、興味を掻き立ててくれることであり、私たちに人間性を理解することを促してくれて、前に進むことを促してくれていると思います。

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