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窪美澄の短編小説をもとにした本作は、家庭環境のせいで早く大人にならざるを得なかった高校生・国木田陽の葛藤と成長を描く物語。
原作が収められた短編集「水やりはいつも深夜だけど」の魅力について、今泉は「人によってはとらわれてしまうような“家族”を、みんな絶対的にいいものとして言葉にすることに前々から疑問を持っていて。でもこの短編集では“ゆがみのある家族”が描かれていた。その点に惹かれました」と語る。中でも幼い頃に母親が家を出て以来、父と二人暮らしをしてきた陽を主人公とした1編「かそけきサンカヨウ」に引き付けられたという。「母との関係も、普通ならもっと憎しみの率を高くして書きそうなところを、陽は画家である母に対してある種の憧れを持っていたりする。“普通はここに葛藤を作る”というところ以外にさまざまなため込みがあり、しかもその描き方が丁寧。作り物ではない本当の悩みって感じがしたんです」と原作の感想を伝えた。
映画には陽と直の10分弱の長回しシーンがある。本番前に直のセリフを足す案もあったが、改めて井浦と志田が話し合い、セリフは足さず撮影することに。今泉は「こういうことが現場で起こると、作り物ですが、どんどん本物に近付くと思えるんです。もちろんフィクションはある種の嘘で面白くなることもあるとわかっています。でも、やっぱり好みなんでしょうね。自分は嘘の許容範囲がすごく狭い。物語のためにキャラクターが存在したり動いたりするのは、自分が映画を作るときはできるだけなくそうと思っているんです」と述べた。そして「言葉にするなら“ある家族の再生の物語”とかなのかもしれませんが、言葉では説明できない細微な感情をめいっぱい詰め込んで映画にしました」と本作をアピールした。
「かそけきサンカヨウ」は10月15日より東京・テアトル新宿ほか全国でロードショー。
志田彩良の映画作品
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細微な感情をめいっぱい詰め込んだ、今泉力哉が語る新作「かそけきサンカヨウ」
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