100年を超える日本映画史の作品データベース「日本映画作品大事典」が6月10日に三省堂より刊行される。
映画評論家の山根貞男が中心となり、20年を超える歳月を費やして執筆・編集した本事典。対象となったのは「日本映画の父」と呼ばれる
紹介されている監督数は約1300人、作品数は約1万9500本。掲載は監督名の五十音順配列となる。ほとんどの項目で略歴のあとに、フィルモグラフィが公開年月日順に明記された。作品項目では白黒 / カラー、スクリーンサイズ、音声、尺、スタッフ、キャスト、あらすじなどの解説といった情報を掲載。巻末には作品名とシリーズの五十音順索引が用意された。執筆には映画研究者、評論家、国立映画アーカイブ研究員など約50名が参加している。
山根は膨大な本数の映画をまとめる編集作業の困難を振り返りつつ「21世紀に入り、日本映画は多彩を極め、本数も飛躍的に増えており、新たな黄金時代の到来を予見できなくもない。そうしたなか、本事典が日本映画の豊穣な姿を未来に伝える役割を果たすことができれば、これに勝る喜びはない」とコメントしている。全文は下記の通り。
価格は2021年12月末日まで発売記念特別定価として税込4万1800円で販売。2022年1月より税込4万7300円となる。ブックデザインは鈴木一誌が担当。なお本事典は三省堂の創業140周年記念企画として刊行される。
日本映画作品大事典
三省堂 2021年6月10日(木)発売
発売記念特別定価:税込4万1800円(2021年12月末日まで)
定価:税込4万7300円
山根貞男 コメント
100年を超える歴史をもつ日本映画の全作品を一望できる書物にしたい。これが本事典の企画の出発時に考えた基本的な編集方針である。そこに重要な一点が加わる。単なる作品リストにするのではなく、各作品に、どんな映画かが分かるような解説を、可能なかぎり付けることである。
しかし、第2次世界大戦の終結以前、いわゆる戦前に関しては、フィルムはわずかしか残っておらず、資料も十全ではない。一方、今世紀に入ってからは、フィルムからデジタルへの媒体転換が進むなか、製作、配給、上映の形態が多様化して、映画というものの定義がきわめて難しくなってきている。この難題をどう切り抜けるか。
日本映画史には二つの黄金時代があった。1930年代と50年代で、映画が娯楽の王様として多大な観客を集め、質的にも量的にも繁栄を極めた。ひと口に映画といっても、その種類は多岐にわたるが、劇映画が黄金時代を担ったことは間違いなく、それは1960年代以降、現在に至るも基本的に変わらない。
そこで、本事典では、戦前と戦後、娯楽として量産されたいわゆるプログラムピクチャーを中心に、劇映画に編集の力点を置くことにした。ただし、ジャンルによる情報量の差は大きく、戦後でいえば、ピンク映画はれっきとした劇映画であるが、作品に関する情報がきわめて少ない。その結果、本事典の収録範囲は絞られ、ピンク映画、記録映画、アニメーションなどについては、一部の作品に限っての収録となり、戦前や近年の作品についても、かなり限定的に扱うこととなった。
当初の目論見どおりには進まなかったわけだが、それでも本事典は、2万本近い作品を収載する空前の規模のものとなった。
ただし、編集作業は困難の連続に見舞われた。たとえば封切日や作品の長さが資料により異なったり、作品題名が資料とフィルムで違ったり、と、二十数年の悪戦苦闘の果てに、映画ほど事典に適さないものはないのではないかとさえ思うに至り、愕然とした。力の及ぶかぎり、さまざまな文献を精査し、流布されている諸説の校訂、確定に努めたが、自ずから限界はある。この先は世の諸賢の叱正を請うのみである。
本事典は映画の文献学を志したものではなく、映画それ自体の輝きを文字として定着し、映画を愛するすべての人に届けるための基礎過程にすぎないことを強調しておきたい。監督名がインデックスになってはいるが、検索の便宜を考えての構成で、本書はあくまで作品事典である。
21世紀に入り、日本映画は多彩を極め、本数も飛躍的に増えており、新たな黄金時代の到来を予見できなくもない。そうしたなか、本事典が日本映画の豊穣な姿を未来に伝える役割を果たすことができれば、これに勝る喜びはない。
牧野省三の映画作品
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Oh!兄さん @Oshiete23ZZ
20年以上の歳月かけた「日本映画作品大事典」刊行!約1万9500本のデータ収録
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