東京・青梅に約50年ぶりに誕生する映画館シネマネコ。オープン準備を進める代表の菊池康弘とユーロスペース支配人の北條誠人による対談レポートが到着した。
映画・ミニシアター好きのためのコミュニティ「ミニシアタークラブ」にて、映画館で働く人々と対談している北條。もともと5月2日のオープンを予定していたシネマネコだが、緊急事態宣言が東京に発令されたことを受けて延期となった。俳優を志すも29歳で地元の青梅に戻って飲食業を営み、2年前に念願だったという青梅に映画館を作るプロジェクトをスタートさせた菊池。街中にレトロな映画看板を多数掲げる映画の街として知られた青梅だが、かつて3館あった映画館が閉館して半世紀経ち、看板も老朽化による撤去が進んでいた。
昭和初期に建設された木造の旧都立繊維試験場をリノベーションしてオープンするシネマネコ。劇場の椅子は2018年に閉館した新潟・十日町シネマパラダイスから譲り受けた。菊池は「10年ほど前から地元の青梅に映画館を作りたいという思いはありました。『映画の街』と言われながらずっと映画館がなくて誰もやらなかった。3年前にこの建物と出会いました。もともと青梅は繊維工場が多くこの建物も国の有形文化財で繊維組合所有の建物なんです」と話す。「シネマネコ」という名称の由来については「青梅は繊維の街。養蚕、蚕がいて、それを狙うネズミがいました。その退治用で猫が多かったというのを知って命名しました」と明かした。
映画館を作るために必要だった資金は約1億円。その大半を国の助成金で賄い、自己資金とクラウドファンディングで補填した。シネマネコに来館した北條は「木造建築の木の香りが心地よく落ち着きますね。約80年前の木造建築と最新のシアターの共存に驚きました」と感想を口にしつつ、「木造建築をもとに映画館を作るのは、現行の建築法、消防法などに照らし合わせると大変だったのでは?」と質問。菊池は「設計チームが常に審査機関と設計段階から折衝し、1つひとつクリアしていきました。天井も建物の梁が見えるようにしていたりと、木造建築物の見学だけでも価値がある建物になってます」と語る。
北條から今後のビジョンを聞かれると、菊池は「地元の人には、遠くの映画館に行かなくても仕事や学校帰りに寄ってもらえるような生活に密着した映画館になればと思ってます。地元以外でも近くに映画館がない方々にぜひ足を運んでいただきたいです」とコメント。併設されるブックカフェについては「映画を観なくても利用可能な皆さんの居場所になればいいかなと思ってます。都心ではクリエイター向けのワークショップなどあるかもしれませんが、青梅にはない。カフェではそういったワークショップの実施も考えてます」と述べる。ほかにも地元の商店街と連携したグルメマップの制作や、シールラリーでの映画チケットの配布なども準備中だ。
シネマネコのオープン日や今後の予定は、決まり次第、公式SNSなどで告知される。
シナリオ公募ナビ @scenarionavi
青梅に約50年ぶりの映画館誕生へ、シネマネコ代表がユーロスペース支配人と対談(映画ナタリー) https://t.co/PAYxhnozci