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本作は派遣型風俗デリバリーヘルスの事務所を舞台にした群像劇。それぞれの事情を抱えながらも力強く生きようともがくセックスワーカーたちの姿が描かれる。劇団
2階席まで埋まった客席に、伊藤は「こんなぎっしり埋まるとグッとくるものがあります。やっと皆さんのもとに届けられる」と感慨深げ。本作で長編監督デビューを果たした山田とのタッグについては「はてなを浮かべたまま現場に立っていなくていいのが、本当にストレスがない。その行動に至るにはどういう感情の流れがあったのかとか、すごく丁寧に寄り添って一緒に作り上げてくれました。本当に心強かったです」と語る。
さらに伊藤が「何より本当に優しくて面白い方」と山田の印象を明かすと、恒松も「大好き! 人間として最高」と深く同意。伊藤曰く、女性の多い撮影現場だったため女子校のような雰囲気も生まれていたそう。山田は「一昨日ぐらいから俳優陣がみんな褒めてくれるんです(笑)。直接LINEしてきてくれたり。里の親みたいな気持ちになってます」と親しみを込めて語った。
「ミッドナイトスワン」が公開中の監督・内田英治がプロデューサーを務めている本作。山田は「日本映画を盛り上げるために若手を育てなくてはいけないという素晴らしい考えのもと、私を引っ張り上げてくださいました。インディーズの初長編ならば自分の特徴を実験的に押し出したほうがいいとか、肌の色や考え方、宗教、アイデンティティが異なる海外の人に映画をどう届けるのかとか。今後映画作りをしていくうえで、基礎の部分を育てていただきました。また師匠が増えてしまった思い」と感謝を伝える。
印象に残っている場面の話になると、伊藤はデリヘルの店長・山下を演じた般若との共演シーンを挙げ、後半のある展開を「般若さんに本当に殺されると思った。ぶん殴られた」と笑って振り返る。一方の恒松は、マヒルの表情に言及し「彼女は痛みを伴えば伴うほど笑う役だったんです。その痛みが限界を超えちゃって、そこまでいくと人ってこんな気持ち悪い笑い方をするんだというのが自分の中でも発見でした。その笑いが生まれたのは、監督と脚本のおかげです」と注目ポイントを挙げた。
最後に伊藤は「1人ひとり輝いている素敵な群像劇。このご時世だからこそ、多くの方々に刺さったり、響いたりする部分があるはず。意外とフラットに観て、フラットにえぐられていただいたほうがいい。いろんな感想をいただけるとうれしいです」とアピール。また、山田が「自分が女性であることを受け入れ難い時期に書いた作品。この映画を通して1人でも多くの方に共鳴していただけると、自分の中でもその思いが消化されていく。ここにいる2人をはじめ、全俳優が本当に生きた芝居をしています」と話し、イベントを締めくくった。
「タイトル、拒絶」は東京・新宿シネマカリテほか全国で順次ロードショー。
※「タイトル、拒絶」はR15+指定作品
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おおとも ひさし @tekuriha
「タイトル、拒絶」伊藤沙莉、般若との共演シーンに「本当に殺されると思った」 - 映画ナタリー
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