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「アンフェア」シリーズの原作者として知られる秦建日子による小説を、「SP」シリーズの
映画ナタリーが参加したのは2019年11月に栃木・足利競馬場跡地の一部に建てられた巨大なオープンセットでの現場。連続爆破テロの標的予告がされたあとの渋谷スクランブル交差点の様子を収めたシーンが撮影された。総工費3億円が掛けられたセットは、「このオープンセットがなかったら映画はできなかった」と波多野らスタッフ一同が口をそろえるのもうなずけるほどの再現度の高さ。宝くじ売り場、街中の落書き、ハチ公前広場や渋谷駅の改札まで精巧に作られていた。交差点付近には渋谷の街を象徴する巨大ビジョンを模したライトも。複数の色をチカチカと点灯させて街に光を反映していた。
クリスマスイブと爆破予告に色めき立つ群衆役や、彼らの混乱を収めようとする警察官役などで1日最大1200人のエキストラが集められた本作。全シーンをあわせると、のべ1万人に上るという。この日は刑事・世田志乃夫役の西島、バディの刑事・泉大輝役の勝地、不可解な行動を取るIT起業家の須永基樹役の中村、さらに興味本位で現場に来てしまった会社員・高梨真奈美役と印南綾乃役で、広瀬と加弥乃が集結し、撮影準備が進められていく。
強風で極寒の中、エキストラとともにテストを重ねていくキャストたち。本番が始まると、世田と泉が群衆の中で爆弾と犯人を見つけようと辺りを見回し始める。数多の警察官が必死に注意の声を飛ばす中、2人は人混みを縫うように移動し、それにステディカムを持ったカメラマンの山田康介がぴったりと付いて行った。少し離れた位置からモニターで映像を確認していた波多野は、カットをかけるごとにスタッフと話し合い、細やかに修正指示を飛ばす。「僕の作品の特徴であるステディカムを多用することで緊張感をいかに持続させるかを意識している」と言い、「爆破のスケール感、臨場感を出すため、これまで以上に機材も駆使して表現できたら」とコメントした。
続いて撮影は、ふざけた若者が「爆弾だ!」と叫ぶシーンへ。エキストラたちは散るように逃げまどい、転ぶ演技も。エキストラにはスタッフから丁寧な指導がされ、「人は逃げるときに重心を低くします。重心が高いと冷静に見えてしまうので意識してみてください」という声も聞こえてくる。クレーンを使い、高い位置からの画も押さえられていた。
西島は大所帯となった現場について「1000人以上の方が撮影に毎週末参加してくださって。なかなか大変な撮影だったのですが、本当にただただ感謝しかないという感じです」と述懐。「この物語は、犯人が誰かというミステリーの要素もあるので、そういう意味では世田は観客の皆さんの目線で生きる役割なのかなと思って演じていました」と振り返った。
群衆の中に紛れつつ、存在感ある演技を見せたのは中村。「若い頃は群集の中にいた役者なので。言われなくても映るためにポジションを探るということを死ぬほどやってきた人間なので、その賜物ですかね(笑)。その苦労が経験となっているのかもしれません」と語る。3度目の共演となる西島については「本当にまっすぐでキレイな炎を心の中に持っている人で、一緒にいると心が洗われる気持ちというか、とてもすがすがしく飛び込ませていただきました」と述べた。
広瀬は豪華なセットに感動した様子で、「本当に大きいオープンセットでした。あんなに大きなセットを見たのは初めてです。グリーンバックの部分も多かったので、映像になったらどうなるのかと楽しみにしています」とコメント。加弥乃とは撮影の合間に会話を楽しんだと話し、「最後には『私が血だらけになる前に写真撮ってもらってもいいですか』ってお願いされたりもして(笑)。作品とは真逆に笑いが絶えない現場でした」と回想する。
勝地も「再現された渋谷駅前で、ハチ公のほうから西島さんと入ってくるところもワンカットで一気に撮ったので、なかなか経験できないことですし、贅沢だと思いました」と感嘆。「本当に渋谷にいるかのような気持ちになりましたし、爆破後のシーンを撮影しているときに、これが現実に起こらないと言い切れないという、そういう恐怖も感じました」「世界ではいろいろなことが起きている中で、当たり前のように日本が平和であるということに疑問を感じて、ドキッとさせられました」と心境を明かしている。
「サイレント・トーキョー」は12月4日に全国で公開。
てのりのり店長(のりちゃん、てのさん) @tenorinoritench
映画サイレント・トーキョー
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