地下鉄サリン事件被害者が監督、オウム真理教のドキュメンタリー「AGANAI」完成

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オウム真理教を題材にしたドキュメンタリー「AGANAIー悪の陳腐さについての新たな報告」が、2021年3月を目標に国内での劇場公開を目指していることがわかった。

「AGANAIー悪の陳腐さについての新たな報告」ビジュアル

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ドキュメンタリー「A」への出演で知られ、現在もオウム真理教の後継団体「Aleph」の広報部長を務める荒木浩が出演した本作。監督は1995年3月20日に地下鉄サリン事件の現場に遭遇したさかはらあつしだ。事件は死者14人、負傷者6000人以上に及ぶ大きな被害をもたらした同時多発テロであり、さかはらは営団地下鉄日比谷線でサリンがまかれた車両に乗り合わせた。

「AGANAIー悪の陳腐さについての新たな報告」より、さかはらあつし(左)と荒木浩(右)。

「AGANAIー悪の陳腐さについての新たな報告」より、さかはらあつし(左)と荒木浩(右)。[拡大]

同時期に京都大学へ通うなど多くの共通点を持ちながら、事件には直接関与してないもののオウムの顔として責任を問われてきた荒木と、現在もサリンの後遺症と闘い事件と向き合い続けるさかはら。映画ではさかはらが被害者の立場から荒木と対話を重ね、時に親密な関係を築きながら、荒木が教団に入った背景や宗教団体の幹部を続ける理由に迫っていく。それぞれの故郷やゆかりの地を巡る旅をカメラに収めつつ、事件からちょうど20年となる2015年3月20日、彼らはともに東京メトロ霞ケ関駅で行われた被害者の慰霊式を訪れる。

2015年内に一度は形になっていたものの、編集や配給の都合により製作は難航。2018年に香港国際映画祭の企画マーケットで取り上げられ、同地域に拠点を置くGood Move Mediaが世界配給権を獲得したことで、プロジェクトが再び動き出した。マノエル・ド・オリヴェイラの短編「1 Seculo de Energia」の編集で知られるパリ在住の渡辺純子が再編集として参加し、映画は完成。国内公開に関して、現在は新たな配給会社との連携を模索中だという。

「AGANAIー悪の陳腐さについての新たな報告」は、オンライン開催中のシェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭で6月10日にワールドプレミア配信が行われたばかり。イギリス国内限定で7月10日まで観ることができる。

なおさかはらがヘーゲルの弁証法を実践的に活用する方法をまとめた哲学書「直線は最短か?~当たり前を疑い創造的に答えを見つける実践弁証法入門~」は6月21日に発売。「AGANAI」の根本を解き明かした部分や映画監督としての生き方も記されている。

※記事初出時より、作品タイトルが「AGANAI 地下鉄サリン事件と私」に変更となりました
※「1 Seculo de Energia」の1つ目のeはアクサンテギュ付きが正式表記

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(c)Good People Inc.

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てれびのスキマ/戸部田 誠 @u5u

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