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藤沢周平の小説「帰郷」をもとにした本作は、30年を経て故郷・木曾福島に帰ってきた主人公・宇之吉の物語。舞台挨拶に先立ち、長年の国内外を含めた映画界への貢献が目覚ましい人物へ贈られる特別功労賞を受賞した仲代の授賞式が行われ、仲代は「こんな立派な賞をいただきまして、70年近く役者をやってきて本当によかったと思います。ありがとうございます」と感謝を伝えた。
観客とともに客席で本作を観た仲代は「出演しておきながら感動しました。これまで何十本となく時代劇に出演してきましたが、出演している私が感動を覚えたのは初めての経験。ここにいらっしゃる杉田監督、共演者、スタッフの皆様の素晴らしいお力のおかげだと思います」と述べる。杉田組での撮影の感想を問われると、仲代は「杉田監督の演出のもとで芝居をしますと、最初はOKと言われるのですが、そのあとすぐに『もう一度違う形でやってほしい』と言われて、どの形だかわかっていないのに、『はい』と答えてしまうんですよ(笑)。そうしたら、『もっと違うのない?』と言われてしまい、これほど歳のいった役者が新人のような気持ちで演出を受けていました」と苦笑する。
仲代と杉田のやりとりについて、常盤は「雨が降る中で仲代さんが泥だらけになるシーンでも監督は『もう1回!』とおっしゃっていて。スタッフが『もう胸が苦しい……かわいそうで……』と言っていたのが印象的で、そんな現場ないなと思っていました。『北の国から』をプチ体験した気分です」と興奮気味に語る。続けて「緒形(直人)さんに、監督は昔からこうなんですねとお聞きしたら、昔はもっとすごかったとおっしゃっていました」と苦笑交じりに述べた。
アクションシーンの多かった北村は、杉田について「本当の鬼は笑っているんだなと思った」と冗談を飛ばし、観客を笑わせる。撮影中に杉田の発案で裸馬に乗ったシーンを回想し、北村は「監督が(裸馬で)やりたいんだよねと何度もおっしゃるので、一度だけ乗ることにしたんです。3回落とされてもカットがかからず、馬も興奮しているので踏まれてしまったときに監督が笑顔で『オッケー!』と(笑)。そのあと心配してくださったので、優しいなと思っていたら、今度は『土手から転がり落ちてくれる?』と言われました」と語り、笑いを重ねた。
田中は、MCに「(杉田を)フォローしても構いませんよ」と語りかけられるも、「フォローしません」と苦笑し、仲代との共演シーンでの杉田を思い起こす。「ハードになればなるほど、杉田監督がうれしそうな笑顔をしてらっしゃるんです。仲代さんはお優しいので、首を絞めるシーンでもあんまり力を入れずにやってくださるんですが、監督が『もっと強く、もっと強く! 本気でやっていいから!』と(笑)。杉田監督の笑顔を見ると、やらなきゃ!と思えてくるんです」と語った。
キャスト陣から、撮影の裏側を次々明かされた杉田は「この場を借りて、皆様に本当に申し訳ないことをいたしました……。これに懲りずまたよろしくお願いいたします」と深々と頭を下げる。本作の撮影で8Kカメラを使用した感想を問われると「時代劇ですから、今までろうそくの明かりをなんとかして表現しようとしていたんですが、うまくできなかったんです。ですが、今回初めてろうそくの明かりをキーライトにして撮ることができて、うれしかったです。皆さんの熱気がこもった芝居がとても感動的でした」と感謝した。
「帰郷」は2020年1月に劇場公開予定。
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