オムニバス映画「
“自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーが揺らいだ瞬間が映っていること”という共通のテーマを、山戸を含む監督15人が各自8分以内の短編で表現した本作。枝は昨年の3月に行われた一斉オーディションではなく、通常のキャスティングで山田を主演に迎え「恋愛乾燥剤」を完成させた。主人公には「瞳の力がある10代の女の子」を考えており、山田の起用理由について「ただでさえ8分と短いので、ラストカットの表情や目を大事にしたいなと思っていて。そんなときに山田さんが浮かんだ」と明かす。さらに山田を「理解がすごく早くて、めちゃくちゃ頭がいい」と評し、「成長の早い女の子の精神年齢と同年代の男子とのズレ」を描いた「恋愛乾燥剤」の主人公をまさに体現する存在と述べる。また「論理的に物事を考えるときと、スイッチが入って急に動物みたいになっちゃうときがある(笑)」と山田の特徴を語った。
笑顔で謙遜する山田は、シナリオに関して「自分の中で共感した部分がたくさんあった。皆さんも『あ、感じたことある!』と思えることがすごく詰まってると思います」とコメント。“ズレ”については「例えば好きな子と接してるときに『えっ』と思ってしまう瞬間があると思うんです」と共感を示しながら、「この仕事をしているせいか『冷めてるね』と言われたり(笑)。一歩引いて(物事を)見てしまう悪い部分なのかなと思っていて。でもリアルタイムだからこそ、そのときの感性みたいなものを映し出せる部分もあるのかなと」と語った。
ファッションブランド「縷縷夢兎」のデザイナーであり、モトーラを主演に迎えて「out of fashion」を監督した東。オファーを受けたときから「服飾学生の話を撮りたい」と自身に身近な物語を考えていた彼女は、「嘘のない映画にしたい」という思いで、文化服装学院に通っていたモトーラを起用した。「モトーラちゃん以外あまり考えられない」と言うほどモトーラを想定して脚本を執筆した東は、「ほかのキャストの方も元服飾学生の人が多い。わりと実話が盛り込まれてます」と明かす。モトーラも、自身が専属モデルを務める雑誌・装苑で東の特集が組まれたときから彼女との仕事を待ち望んでいたそうで「ずっとお会いしたいと思っていた。映画のお話をいただいたときはすごくうれしかった」と笑顔を見せた。
東が「周りに邦画をあまり観ない子たちがいる。そういう子が興味を持つきっかけ、入り口になる作品を作る必要があるなと感じていた」と、デザイナーでありながら監督オファーを受けた理由に言及する場面も。今後については「なんの仕事でも“自分だからこそできる”部分を意識していて。これからもこの路線を突き詰めて、いつか長編も撮りたい」と展望を語り、山戸も「東監督のように美術が鮮烈で、かつ共感できる世界観には、めちゃめちゃブルーオーシャンが広がってると思います」と期待を寄せた。「少女邂逅」など10代の少女を題材にすることが多かった枝は「去年から違うこともやりたいという思いも出てきた。男性だから理解できない、女性だから理解できないというように、敵を作るような作品は作りたくなくて。結局は男と女である前に人間、個と個の話。ふわっとしてしまいますけど、究極的には人間を描きたい」と意気込みを語る。
最後にモトーラは「21世紀の女の子」について「映画はこれからも残っていくもの。今ここに集められた映画がいろんな時代の女の子たちにつながっていけばいいなと思います」とコメント。山田は「男女かかわらず、実世界でもみんないろいろ抱えている。映画はその縮図みたいな気がして、観るのにとてもエネルギーを使う。でも自分の姿、自分の嫌いな姿、好きな姿をいろいろ観て思っていただけるものがあると思う。これ!という感情は言い表せないんですけど、私は観終わったときにヒリヒリするものがあった。それを忘れないでいたい。これから自分が映画に出演するときも、観た人の中にそうやって形が残るということを意識して作品に関わっていきたいと思いました」と述べた。
そして山戸は「この映画はそれぞれの監督が定点観測した地図のようなもの。しかも、ご自身の方位磁石によってどんどん作り変えられていくべき地図だと思いました。この現在地、一瞬の地図を今夜楽しんでいただければ。そしてこの地図を未来の女の子に手渡して……。今、『新しい地図』という言葉が浮かんでしまいました(笑)。新しい地図を描けていけたらと思います」と総括した。
「21世紀の女の子」は、テアトル新宿にて公開中。2月15日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次上映される。なお同劇場の初日舞台挨拶には、山田と枝が登壇する。
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- 「21世紀の女の子」公式サイト
- 「21世紀の女の子」予告編
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おおとも ひさし @tekuriha
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