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プロ棋士・瀬川の自伝的小説を「青い春」の豊田が映画化した本作。「26歳の誕生日までに四段へ昇段できなければ退会」というプロ棋士養成機関・奨励会の規定により、一度夢を絶たれた主人公・晶司が、周囲に支えられながら再びプロ棋士を目指すさまが描かれる。松田が晶司、野田が晶司の親友で最大のライバル・鈴木悠野を演じた。
対局などのシーンでは撮影現場に瀬川本人が訪れていた本作。松田は「本人がいると気になってしまって……。監督に演出されても、瀬川さんはそんなことしないと思っちゃったり。すごくうれしいやら、やりづらいやらでした」と正直に告白し、「将棋も教えてもらって。特別な撮影でした」と振り返る。豊田からは「現場では役名の『晶司』を連呼するので、ときどき瀬川さんが『はい!』って(笑)」と現場でのエピソードが明かされた。
かねてから公私ともに松田と親交のある野田は、撮影が始まる直前の時期には特に一緒にいる機会が多かったそうで、「僕んちのキッチンに僕よりもいるぐらい(笑)」と回想。演技に不安があり出演への迷いもあったというが、「監督には『できるよ』と言っていただいて。それを信じて参加しました」「最初のシーンは10回以上撮り直しをさせてしまって一瞬後悔しました」と笑い交じりに語った。
晶司と苦楽をともにする奨励会員を演じた駒木根、渋川、新井。豊田作品の常連俳優である渋川は「1998年から一緒にもう20年。こうしてここに立てているだけでうれしい」と本作への参加を喜び、役作りについては「モデルとなった人がよくダジャレを言う方らしく、いかにダジャレをセリフに織り交ぜるか考えましたね」とコメントする。瀬川から「渋川さんオリジナルのすばらしいダジャレを披露していただきました」とお墨付きをもらう一幕も。
大の将棋好きで、この日の衣装はプロ棋士を意識したという駒木根は「序盤も中盤も終盤も隙のない作品だと思います。駒たちの躍動する姿をぜひ楽しんでいただければと思います」と映画をアピール。撮影の合間にはキャスト間で対局も行われたとのことで「新井さんが強かった」と明かす。「うちはもっぱら麻雀のほうが得意なんですけどね」と謙遜した新井は、もっとも将棋が弱い人物として冬野渡役の妻夫木聡と村田康平役の染谷将太を挙げ「最弱ですね。お互いが対局すると一生勝敗がつかない」と続けた。
10年以上前に松田の自宅で将棋をした経験のある新井。「めちゃくちゃ弱かった。香車が歩を飛び越えるような、ルール上ありえない動きをして」と述懐し、将棋を題材とした映画に松田が主演すると聞き驚いたという。さらに「でも現場でどんどん強くなるんです。終盤ではもう勝てませんでした」と吐露。「この前一緒に飲んだとき、龍平が暗い顔して『伸び悩んでる……』って言うんです。何が?って聞くと『将棋が強くならない』と。もうどこを目指してるのかわからない」と呆れ顔で笑いを誘うと、松田は「壁に……ぶち当たった」とつぶやいた。
原作を7、8年前に読んでおり、映画化を熱望していた豊田。かつて奨励会にも在籍しプロ棋士を目指していた彼は「もう40年以上前の話。奨励会を辞めた経験があって将棋のことを憎んでいた。でも原作を読むと、もう1回将棋が指したくなったんです」と述べ、さまざまな映画会社に企画を持ち込むも「将棋の映画はダメだ」と断られていたことを告白する。そして「ところがほかの将棋の映画がいろいろ公開され、藤井(聡太)くんが活躍してくれたおかげで将棋ブームが来たこともあり、完成の日の目を見ました。本当に藤井くんに感謝しています」と映画化までの経緯を説明した。
最後に松田は言葉を選びながら「本当にいい映画。瀬川さんの言葉を借りると、あきらめないということが何かにつながる。勇気をもらえる映画だと思います」としみじみ。また豊田が「夢を追い続けている男の物語です。好きなことをずっとやってると、ときどき憎しみに変わる。そしてみんなやめてしまう。それを愛に変えて成功したのが瀬川さんの人生です。皆さんの心に触れるシーンがあればうれしいです」と語り、イベントは幕を閉じた。
「泣き虫しょったんの奇跡」は9月7日より全国でロードショー。
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