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自閉症の弟と暮らす少女がカメラを受け入れた理由とは?「祝福」監督来日

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「祝福~オラとニコデムの家~」試写会に登壇したアンナ・ザメツカ。

「祝福~オラとニコデムの家~」試写会に登壇したアンナ・ザメツカ。

本日6月7日、「祝福~オラとニコデムの家~」の試写会が東京・光塾 COMMON CONTACT 並木町にて行われ、監督のアンナ・ザメツカが登壇した。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2017にて大賞にあたるロバート&フランシス・フラハティ賞を獲得した本作は、ポーランド・ワルシャワの郊外に位置する街を舞台に、14歳の少女オラと自閉症である弟ニコデムの日常を追うもの。ザメツカがまず客席へ向けて「ぜひ質問や感想を聞かせてください」と呼びかけると、ある観客から「カメラが存在していないように感じて驚きました。どのように撮られたのですか?」という質問が。ザメツカは「カメラを回す前に彼らと過ごした時間の長さが重要でした」と回答し、「初めに彼女たちにこの映画が何についてのものであるか打ち明けて、パートナー的な関係を築いたんです。そして、映画を撮る決断を共同で下しました」と制作の裏側を明かす。

イベントには、「そこのみにて光輝く」「きみはいい子」の監督を務めた呉美保も出席。呉から「オラがここまで心を強く持って生きることができるのは、信仰があるからなのかなと思いました」という感想が伝えられると、ザメツカは「オラは必ずしも信仰心が強い女の子ではないんです。もしも神が存在するのであれば、自分たちをこのような状況には追いやらないだろうと」と説明する。続けて、ポーランドでの初聖体式は通過儀礼のようなものだと説明したザメツカは「ニコデムの初聖体式は、家族が再び1つになるためのきっかけになるのではないかとオラは考えているんです」と語った。

オラたちがカメラを受け入れた理由を尋ねられたザメツカは「もちろん簡単なことではありません。私自身、心理学者がカメラを回すほうがよいのではないかと思ったくらいです」と述べつつも、「オラにとって大事だったのは、私たち撮影班が彼女の人生の目撃者となること。『大変だね、偉いね』というような言葉を、彼女は必要としていませんでした」と明言。「オラの置かれた状況が不公正だということ。私たちはそれを見守る立場にいたこと。その2つが重要でした」と両者の信頼関係をうかがわせた。

「祝福~オラとニコデムの家~」は6月23日より、東京・ユーロスペースほか全国にて公開。

(c)HBO Europe s.r.o., Wajda Studio Sp. z o.o, Otter Films Wazelkie prawa zastrzeżone. 2016

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