「メッセージ」ドゥニ・ヴィルヌーヴ来日「モデルにしたのはジョーズ」

「メッセージ」が5月19日に日本公開されることを記念し、監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴが来日。本日4月14日に東京都内でトークイベントを行った。

「メッセージ」は、テッド・チャンの小説「あなたの人生の物語」をもとにしたSFドラマ。突如現れた地球外生命体とのコンタクトを試みる言語学者ルイーズ・バンクスの姿を追う。エイミー・アダムスがルイーズを演じ、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカーらがキャストに名を連ねた。

ヴィルヌーヴは原作小説を読んだときの感想を「物語の登場人物が、謙虚さを持ってエイリアンとの接触を試みる部分に惹かれました。それは今の人類が持ち合わせていないものだから」と述懐。制作過程に関して聞かれると「とにかく没入感のある作品にしたかったんです。エイリアンの来訪という重要な出来事を題材にしているけれど、ルイーズの視点から描くことでそれを実現できたと思います」と答え、「（配給会社の）ソニー・ピクチャーズやパラマウント・ピクチャーズがほとんど干渉してこなかったので、自由に作ることができました」と感謝の気持ちを述べた。

イベントには、本作をひと足早く鑑賞し感銘を受けたという樋口真嗣と前田真宏も出席。樋口が「SF映画って大きく2つに分けられると思うんです。1つは争って勝利するタイプの作品。もう1つは探して見つけるタイプのもの。この映画は後者で、『未知との遭遇』を現代向けにアップデートしたような素晴らしい作品でした」と、前田が「とても知的なSF映画。頭を叩かれたと同時にハートにグサッときました」と感想を語ると、ヴィルヌーヴは「映画作家にとって一番タフな観客は映画作家なんです。なので、こうして褒めていただけるとうれしいですね」と笑顔を浮かべる。

続けて樋口が映画の緊張感を保つために工夫した点を質問すると、ヴィルヌーヴは「モデルにしたのは『ジョーズ』です。エイリアンのことを少しずつ明かしていくことで、テンションを維持しています。とてもゆっくり服を脱いでいくストリップのような映画かもしれないですね」と冗談交じりに述べ、観客の笑いを誘う。またヴィルヌーヴが「劇中でエイリアンが使用する言語のデザインは、漢字にも影響を受けています」と明かすと、前田は「ですよね！ 映画を観ながら『僕らヘプタポッド側だな』と思っていました」と納得がいった様子だった。

現在、10月27日に日本公開を控える「ブレードランナー 2049」の仕上げ作業中だというヴィルヌーヴ。「『ブレードランナー』の続編を作ることにはプレッシャーを感じたけれど、非常にチャレンジングでアーティスティックな作品になっています。楽しみにしていてください」と集まったファンに呼びかけ、イベントを締めくくった。

なおYouTubeでは樋口、前田のほか押井守も登場する「メッセージ」の特別映像が公開されている。