ファスビンダーのテレビ映画「あやつり糸の世界」公開、コンピュータの仮想世界描く

ニュージャーマンシネマの旗手ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが監督を務めたSF映画「あやつり糸の世界」が、3月より東京・ユーロスペースにて公開される。

仮想世界を作り出し、未来社会を厳密に予測できるコンピュータ「シミュラクロン」の開発を行う未来研究所を舞台にした本作。同研究所に所属することになったシュティラー博士はある日、保安課長ラウゼが忽然と姿を消し、エーデルケルンという別人が保安課長として存在しているという奇妙な事態に遭遇する。そのことに疑問を覚えた彼が、自らシミュラクロンによって仮想世界に入り込み、とある事実に突き当たるさまを追う。

ダニエル・F・ガロイによる小説「模造世界」をもとにした同作は、1973年に放送されたテレビ映画。コンピュータが構築した多層的な世界を、鏡を多用した空間設計と電子音楽によって描き出す。