「スター・ウォーズ:ビジョンズ」Volume3配信直前イベントが、本日10月27日に東京・KABUTO ONEで開催。トークセッションに水野貴信監督、
浪川大輔「声優冥利に尽きます」念願の出演に感激
トークセッションは2部制になっており、第1部には「The Duel: Payback」の水野監督と同作でグランド・マスター役を務めた浪川、「彷徨う者たち」の垪和監督、「ユコの宝物」の橘監督、「The Smuggler」の大塚監督、「The Ninth Jedi: Child of Hope」の塩谷監督が登場。MCは
冒頭では「スター・ウォーズ」シリーズでアナキン・スカイウォーカーの吹き替えを担当してきた浪川が、「アナキンを演じていたから出られないのかと思っていたんですが、今回出演することができて念願が叶いました!ありがとうございます」と水野監督へ感謝を伝える。監督が「浪川さんのサンプルボイスを聞いたときに『これだ!』と、この声しかないと思ったんです」と起用を明かすと、浪川は「うれしい……!声で選んでいただくのは声優冥利に尽きます」と笑顔に。また水野監督は「最初にとある惑星の名前が出てくるんですが、実は日本海側のどこかの地名のアナグラムになっているんです」と、注目のポイントを挙げた。
垪和監督は「彷徨う者たち」を「世界平和への思いを恥ずかしげもなく描いた作品」と表現。「今は世界的に閉塞感があって、戦争も起こっています。皆が迷っている情勢だけれど、それでも未来に何かがつながるような作品になればと作りました。『スター・ウォーズ』は観て楽しい作品ではありつつ、何かしらのテーマ性を横にきちんと置いてきたシリーズなのかなと思うので、そこは意識しています」と話す。
「やりたいことが多くてシナリオの執筆には難儀した」と言う橘監督は、「ルーカスフィルムがかなり自由にやらせてくれたので、イースターエッグのような宇宙船を出したり、レイアウトで結構遊んでいたりしてます」とコメント。「ファンならメカやクリーチャーの元ネタがわかると思うので、楽しんでもらえたら」と呼びかけた。
大塚雅彦がカムバックした理由は?
「スター・ウォーズ:ビジョンズ」シリーズの前作「The Elder」が、最後の監督作品になるかもしれないと明言していた大塚監督。今回「The Smuggler」の監督を務めた理由をMCに問われて、「スカイウォーカー・サウンドで今度こそダビングしたかったから」と告白した。スカイウォーカー・サウンドは、ルーカスフィルムの音響制作で中心的な役割を担う施設だ。「The Elder」の制作時はコロナ禍で訪れることができなかったそうだが、「今回は無事にダビングできました」と大塚監督はにっこり。「新作には私が中学のとき初めて観た『スター・ウォーズ』のカッコよさを詰め込んでいます」とも語った。
塩谷監督は「今回は泣けます!……と言い切ってしまうと泣けないかもしれませんが(笑)」と切り出し、「明るい話でありながら、ほろ苦いところもある感じでしょうか。前作の主人公が登場し、生涯忘れられない体験をします」と作品の内容を説明。「この先のシリーズも踏まえて作っていて、暗躍する何かの裏側も描いています。シリーズを俯瞰して見たときに、何か発見があるかもしれません」と付け加えた。
「耳なし芳一」をモチーフに盲目のパダワンを描く
トークセッション第2部では、「The Bounty Hunters」の山元監督と同作でセブン役を務めたファイルーズ、「四枚羽の詩」の小林監督、「極楽鳥の花」の吉平監督と同作のナキメ役である黒沢、「BLACK」の大平監督が登場。MCの吉田がまず吉平監督へ、盲目のパダワンであるナキメを登場させた理由について質問する。これに吉平監督は日本の昔話を引用するアイデアを思いつき、モチーフとして「耳なし芳一」を選んだと回答。さらに「目が見えないからこその恐怖を描くことで、ビジュアル的にもフォースを表現できるのではと思って。そしてそれを新しいアートスタイルで作りたい考え、世界中のいろんな芸術家のアートスタイルを取り入れた」と制作の裏側を明かす。
黒沢の起用については「声で伝えることにおいて圧倒的なものを持っているから」と率直にコメント。吉平監督の大きな信頼を受けて収録に臨んだ黒沢は、「限られた日数の中で監督にいろいろと提案しながら演じることができて楽しかったです。監督が導いてくださったという感覚があって、一緒に作らせていただいたと強く思っています。『この美しい映像にこんなにジュルジュルの鼻水を入れてもいいんだ!』と感じたシーンもあるんですよ(笑)」と話した。
ストームトルーパーに焦点を当てた作品も
小林監督は自身が生まれ育った日本の雪国をイメージして「四枚羽の詩」を制作したという。また「シリーズ1作目の冒険の始まりのようなイメージで作りました。『スター・ウォーズ』の世界観に寄せた和風の小道具を置いたり、現代的なキャラクターを登場させたり。変身シーンもあります。日本だからこその『スター・ウォーズ』ですね」と作風を紹介した。
Volume3の作品群で唯一ストームトルーパーに焦点を当てた大平監督は、「『スター・ウォーズ』の“ウォーズ”の要素、戦争をピックアップして、ストームトルーパーのように前線でパッと消えていく者や、戦争の闇を表現したかったから」と理由を説明。さらに「9つのシーンを9人のアニメーターそれぞれのビジュアル表現で作ってもらいました。彼らのおかげでできた映像になっています」とアピールした。
山元監督は作中に登場する賞金稼ぎのセブンと二重人格のドロイド・IV-A4を通して、「光と影というテーマを描きたかったんです。セブンの中に渦巻く光と影は特に意識しました。彼女の葛藤と変化はぜひ見てもらいたい部分」と作品を紹介。これに同作でセブン役を務めたファイルーズは、「監督がおっしゃったように光と影をすごく感じる作品です。セブンは粗野なところもありますが、不当に扱われる子供のために立ち上がる正義感の強い部分もあります。まさに光と影を併せ持っている」と続ける。
またファイルーズは、小学生の頃に住んでいたエジプトで小学生にも満たない少女から物乞いをされたと明かし、「日本に住んでいると感じにくいですが、当時は貧富の差というものを実感しました。あの女の子が今でもずっと心に残っていて……。私もセブンみたいに誰かを助けられる力があれば、迷わず助けに行こうと思えるようになりました。そんな素敵なキャラクターを任せていただけたことが本当に光栄です」と話した。
「スター・ウォーズ:ビジョンズ」Volume3は明日配信開始
「スター・ウォーズ:ビジョンズ」Volume3は、9つのアニメーションスタジオがクリエイター独自の視点と発想で新たな「スター・ウォーズ」を描く作品。明日10月29日よりディズニープラスで独占配信される。
「スター・ウォーズ:ビジョンズ」Volume3
2025年10月29日よりディズニープラスで独占配信
「The Duel: Payback」
スタジオ:神風動画+ANIMA
監督:水野貴信
「彷徨う者たち」
スタジオ:キネマシトラス
監督:垪和等
「The Ninth Jedi: Child of Hope」
スタジオ:Production I.G
監督:
「ユコの宝物」
スタジオ:キネマシトラス
監督:
「The Smuggler」
スタジオ:TRIGGER
監督:大塚雅彦
「The Bounty Hunters」
スタジオ:WIT STUDIO
監督:
「四枚羽の詩」
スタジオ:プロジェクトスタジオQ
監督:小林浩康
「極楽鳥の花」
スタジオ:ポリゴン・ピクチュアズ
監督:
「BLACK」
スタジオ:デイヴィッドプロダクション
監督:
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山元隼一@アニメーション作家 @yamamotojunichi
「#スター・ウォーズビジョンズ」配信直前イベントに、セブン役の #ファイルーズあい さんと、登壇させていただきました。監督させていただいた『The Bounty Hunters』ついに明日配信です。
https://t.co/JiVmfCDIoM