「アオアシ奨励金」は日本で経済的な貧困や社会格差によりサッカーを続けることが困難な子供と家族を支え、子供たちがサッカーを継続できるように奨励金給付を通じて応援する制度。条件に該当する小学6年生から高校3年生を対象に、1人あたり奨励金20万円から30万円を給付し、学費やサッカーの費用をサポートしていく。初回は2023年1月中旬より応募を受付。条件や応募方法などの詳細は「アオアシ奨励金」の公式サイトに掲載されている。
小林は「作品を発表する何年も前から、井上雄彦先生が作品の収入の一部をもとにした『スラムダンク奨学金』なる試みを続けておられ、作品発表だけでなくそういった形で競技者の力になろうとする姿勢に感銘を受けていました」と語り、「『アオアシ」で描いた経済的負担の問題などの描写、自身の母子家庭の環境を思い返しながら『元愛媛FCの森谷賢太郎選手(2022年現在サガン鳥栖所属)に、love.fútbolという、スポーツを続けたい子供たちの貧困の問題に立ち向かっている方々をご紹介いただきました。その方々の大きな協力を得て、今回『アオアシ奨励金』を開設させていただくことになりました」と説明した。
小林有吾コメント
「アオアシ」の作者、小林有吾です。
このたび「アオアシ奨励金」を開設させていただきます。
作品を発表する何年も前から、井上雄彦先生が作品の収入の一部をもとにした「スラムダンク奨学金」なる試みを続けておられ、作品発表だけでなくそういった形で競技者の力になろうとする姿勢に感銘を受けていました。
サッカー漫画を描くことになり、いま今日まで作品を続けることができ、同じようなことができないかというのがずっと頭の片隅にありました。
「アオアシ」の主人公アシトの家は母子家庭で、サッカーを続けることによる家庭の経済的負担の問題がクローズアップされます。他にもアシト以上に壮絶な境遇である阿久津、人種差別的な問題に子供の頃から晒されるトリポネなど、サッカーを続けることが困難なたくさんの選手を無意識のうちに描いていました。
それはきっと僕自身も母子家庭で育ち、今考えると確かにお金がない環境だったからだと思います。ただ僕の母親は子供にそれを感じさせないようにいた強い母親でした。漫画を描くことに僕がのめり込んだのも、紙と鉛筆さえあればずっとできるものだったからです。
でもサッカーは、高いレベルで続けようとすればするほどお金がかかります。スパイクはすり減り、サイズは合わなくなり、練習着ユニフォーム一式を揃えなければいけません。試合をしに遠征費を払わなくてはいけません。
子供にサッカーを続けてもらいたいと思っても、限界を感じ思い悩む親はいま日本中にいると思います。
そんなとき、元愛媛FCの森谷賢太郎選手(2022年現在サガン鳥栖所属)に、love.fútbolという、スポーツを続けたい子供たちの貧困の問題に立ち向かっている方々をご紹介いただきました。
その方々の大きな協力を得て、今回「アオアシ奨励金」を開設させていただくことになりました。
もちろん毎年ずっとこの試みを続けたい気持ちがあります。でもどのような形でサッカーに寄与できるのか、これが本当にたくさんの方々を救えることになるのかを見届けるために、まずは2023年度の1回を募集させていただきます。
love.fútbolと共に活動する多くの現役Jリーガーの方々と力を合わせ、これが大きな成功となれば、ぜひ続けていきたいと考えます。
思い悩む家族の力になれたら、幸いです。
漫画家 小林有吾
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阿久津さんの話読むと尚更考えさせらるる https://t.co/sBjCBxSh9g