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「重版出来!」を「信じられないくらいの思いやり」と評価、第62回小学館漫画賞

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第62回小学館漫画賞の贈呈式が、本日3月3日に都内にて行われた。式には「重版出来!」の松田奈緒子、「BLUE GIANT」の石塚真一、「37.5℃の涙」の椎名チカ、「モブサイコ100」のONE、「いじめ」の五十嵐かおる、「総務部総務課山口六平太」などで知られる高井研一郎の妻・静江氏が登壇した。

児童向け部門を受賞した「いじめ」の五十嵐かおるは、「初めはたった1本の読み切りから始まりました。それを今日まで続けることができたのは、ひとえに読者の皆様と編集の皆様に恵まれた結果だと思っています。本当にありがとうございました」と感謝を述べる。少年向け部門に選ばれた「モブサイコ100」のONEは、「仕事としてマンガを描き始める前は、趣味でインターネット上にマンガを公開していたんですが、その頃はここに立てるなんて想像もしていませんでした」と振り返る。また昨年放送されたテレビアニメについて「素晴らしいアニメを作っていただいた」と触れながら、今回の受賞に関しても「恵まれすぎている」と述懐。「『モブサイコ』らしいミラクルが起きた」と言葉にした。

少女向け部門を受賞したのは椎名チカ「37.5℃の涙」。椎名は同作について「子育てをしながら働く親と子供がテーマという、私の中でチャレンジした作品でした」とコメントし、「これからも真摯に作品に向き合っていきたい」と意気込みを語った。また一般向け部門を受賞した「BLUE GIANT」の石塚真一は、サックスを吹きながら登場。関係者に感謝の言葉を述べたあと、「(「BLUE GIANT」)は難しいなと思いながら描くことが多いです」と明かす。続けて「まだまだ物語は先があるので、(今回の受賞を)励みにさせていただきます」と口にした。

同じく一般向け部門に選出された「重版出来!」の松田奈緒子は、「連載スタート以前から多くの出版に携わる方々の取材協力をいただいて描けている作品」と切り出し、「取材に伺うたびに、全力で仕事をしておられる姿を拝見して『私もがんばらなければ』と描き始め、その結果今ここに連れてきてもらえたように感じております」と述べる。さらに昨年にオンエアされたドラマについて、「素晴らしい作品にしていただき感謝しております。お忙しい中、素晴らしい劇中マンガを描いてくださった先生方にもお礼申し上げます」と感謝の意を表した。

2016年11月14日に死去した高井研一郎には、審査委員特別賞が贈られる。妻の静江氏は「編集者の皆さん、スタッフの皆さん、大切な友人、なんといっても『山口六平太』の原作の林律雄先生がいらっしゃったので、今日まで来れたと思っております。本当に皆さんに感謝申し上げます」と深くお辞儀した。

また審査委員を代表して、角田光代からは今回の審査について語られる。「いじめ」については「いじめそのものをテーマにした作品の異色さ、社会的な問題を扱うという意識が慈悲深いという意見が多かった」とコメント。少年向け部門の候補作に選ばれた「モブサイコ100」と、堀越耕平「僕のヒーローアカデミア」について、「『ヒーローアカデミア』は超能力をポジティブなもの、『モブサイコ』はネガティブなものと捉えている。今の社会状況から見るとネガティブなものとして出発している『モブサイコ』のほうが、現実を越えていく力があるのではないかという意見があった」と説明した。

「37.5℃の涙」については、「作者の体験に加え、綿密な取材によって作品が非常に説得力を持つものになっている」と評価。「BLUE GIANT」は「音楽という、最もマンガにしにくい分野を擬音など使わずに見事に描き出している。『とにかく絵の力がすごい』と語られる先生もいた」と振り返る。また「重版出来!」について、「多くの選考委員、先生方が『今までこんなに迷惑をかけてきたのか』『編集者やデザイナーに思いを馳せるこの作者は、信じられないくらい思いやりのある人だ』という声が多かった」と選考会での様子を明かした。

※3/6追記:イベントの写真を6枚追加しました。

第62回小学館漫画賞受賞作品

児童向け部門

五十嵐かおる「いじめ」
掲載誌:ちゃおDX(小学館)

少年向け部門

ONE「モブサイコ100」
掲載誌:アプリ・マンガワン(小学館)

少女向け部門

椎名チカ「37.5℃の涙」
掲載誌:Cheese!(小学館)

一般向け部門

石塚真一「BLUE GIANT」
掲載誌:ビッグコミック(小学館)

松田奈緒子「重版出来!」
掲載誌:月刊!スピリッツ(小学館)

審査委員特別賞

高井研一郎

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