「劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ」「KING OF PRISM-Your Endless Call-み~んなきらめけ!プリズム☆ツアーズ」ビジュアル

応援上映の現在地 第1回

「KING OF PRISM」の応援上映はなぜ愛される?「プリティーシリーズ」応援上映10年史

“おうえん上映”から“応援上映”へ。当時を知る関係者に聞く誕生秘話

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「KING OF PRISM」の応援上映が愛される理由

そして「劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ」で始まった応援上映は、2016年1月9日に公開された「KING OF PRISM by PrettyRhythm」をきっかけに、それまでと比べものにならないほど多くの人に知られることになった。アニメ・映画系のメディアだけでなく、テレビのニュース番組でも応援上映の様子が取り上げられ、「プリティーシリーズ」を知らない観客も劇場に多数訪れ始めたのだ。

声援OK!コスプレOK!アフレコOK!劇場版「KING OF PRISM」プリズムスタァ応援上映PV

「KING OF PRISM」の応援上映がそこまで注目を集めたのは、単に歓声やペンライトで盛り上がるだけではなく、上映前の「タツノコプロ、ありがとうー!」といった感謝の言葉、「よっ、国立屋!」などの一風変わった合いの手、完璧なタイミングのプリズム☆アフレコなどの、ユニークな要素も影響しているだろう。決して大きな上映規模ではなかったにもかかわらず、多くのファンが繰り返し劇場に足を運んだことで応援上映ができあがっていき、それが大きなムーブメントへとつながっていった。その魅力を送り手側はどう考えていたのだろうか。

「『プリズム☆ツアーズ』のときは映像の一部を変えることで、同じお客さんに何度も映画を楽しんでもらおうと考えました。一方で応援上映では“ライブ感”によって、毎回違ったものを楽しんでもらえた。その場にいる人が違うので、どんな歓声が上がるかわからず、同じ映画を観ているけど毎回違う感動や驚きがある。そういう環境ができていたのが人気になった要因じゃないかと思います」(岩瀬)

「舞台を何回も観るお客さんと同じような楽しみ方ですよね。あとは『プリティーシリーズ』のライブシーンって、同じ楽曲であっても毎回違うメッセージがあるんです。『プリティーリズム』だとプリズムジャンプ、『プリパラ』だとメイキングドラマの部分の文脈が、エピソードごとに異なってくる。それをTVシリーズでやっていたから、ライブシーンが多い内容でもファンが物語を想像してくれて、何回も観てくれたというのもあったんじゃないでしょうか」(大庭)

「フィルム自体は変わらないけど、応援上映を含めた映画の体験が毎回変わるというのは大きな特徴だと思います。『KING OF PRISM』シリーズの応援上映に足繁く通ってくださる方の中には、新作を公開直後に観に行って物足りなさを感じた方もいたんじゃないかと思います。最初は応援が確立していない場面もあるので。でもその後再度応援上映に行くと、初めて観たときよりももっといろんな応援ができあがっている。『KING OF PRISM』の応援上映は「周囲の方に配慮してください」ということ以外は比較的縛りが緩く、お客様のほうでいろいろと工夫する余地があるので、応援の内容が変化するし、進化していくんですよね」(磯輪)

応援上映を支える“共学”の雰囲気

磯輪氏の言葉にある通り、「プリティーシリーズ」の応援上映は伝統的に縛りが緩い。「プリティーシリーズ」を最初期から追う筆者の知人が記録しているところによると、冒頭で触れた熱唱上映では2回目の時点で会場に黄色い薔薇が多数持ち込まれ、企業名のコールは行われていたという。近年も上映に先立って流れる「周囲の人やスタァを傷つけるコメントは控える」などの4つの約束だけで、運営側からは厳しいお達しはない。

【応援マナー映像】みんなで守ろう!プリズムスタァ応援上映4つの約束【KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-】

「『プリティーシリーズ』で熱唱上映やおうえん上映を始めた当初、僕はお客さんが応援をしてくれるかどうかという不安があったので、『マニュアルやお手本があったほうがファンに広がるんじゃないの?』という話もしたし、実際に熱唱上映ではMCに『興奮したら声を出して大丈夫』とか言ってもらっていたんですよね。でも岩瀬さんが『公式側が提供するよりも自然にできたもののほうが根付く』と言ってくれたんです」(大庭)

「そんなこと言ったかな?(笑)。でも『プリティーシリーズ』のファンは紳士な方が多く、そもそも子供向けの作品だから、子供を怖がらせちゃいけない、子供ファーストで、という意識も早い段階から持っていてくれたので、マニュアルやお手本を用意しなくても、周囲に迷惑をかけるようなことはしないだろうと安心していました」(岩瀬)

もともとのフリーダムな雰囲気に加え、さらに全国規模になったことで“応援”の多様化も進んだ。磯輪氏は応援上映における印象的な光景として「舞台挨拶会場で、ペンライトで“仁”の文字を作っていたお客様をライブビューイング会場から応援していたこと」を挙げた。また、かつて菱田正和監督が「福岡はお面がすごい」(赤いお面が付いたご当地お菓子「にわかせんぺい」の影響か?)と語っていたり、鷹梁ミナト役の五十嵐雅氏が静岡の映画館にセロリを持ち込んだことから同館では食品サンプルが貸し出されるようになったりと、地方色も豊かになっていった。

こうした自由な状態ながら、「KING OF PRISM」の応援上映は大きなトラブルなく続いている。その理由を、大庭氏は「『プリティーシリーズ』は共学っぽい」という意外な視点で分析していた。

「大人をターゲットにしたアニメはたいてい、男性向けか女性向けかきちんと分かれるじゃないですか。これはあくまで僕の持論ですが、『プリティーシリーズ』は大人のファンも男性6:女性4くらいでかなり均衡していて、それがマナーのよさにつながっているんじゃないかなと思います。男女を問わず、ともすれば『楽しくなろう』という勢いが極まってヒステリックになっちゃうことがあるけど、バランスが取れているとそうなりづらいんじゃないかな」(大庭)

「男性のほうが女性の目を意識するから、男子校的な悪ノリをしないのかも(笑)。男女比だけが要因ではないかもしれませんが、“俺の”“私の”というより、“みんなの”作品という雰囲気が、『プリティーシリーズ』にも『KING OF PRISM』シリーズにもあると思います」(岩瀬)

例えば「プリティーシリーズ」ではキャストによるライブをコンスタントに行っているが、歴史の長い作品ということもあり、会場には年齢層もさまざまな男女両方のファンが集まる。また、アニメ「アイドルタイムプリパラ」から生まれた男子プリパラアイドル、通称“男プリ”のキャストによるライブにも、驚くほど多くの男性ファンが訪れる。男性キャラがメインの「KING OF PRISM」シリーズの応援上映も、回によっては半分弱を男性ファンが占めることもあるという。

「それを明確にしたのがやはり、『プリパラ』の“観客も作品の一部なんだ”という構造だと思います。男プリのライブで男子の声がすごく大きいのも、男性ファンが自分たちも男プリの一員だという思い、『ここで俺たちがIIZE!コールを響かせないと』という思いがあるから。そんなふうにお客さんと一緒に作っていったのが『プリティーシリーズ』なんです」(大庭)

応援上映はまだまだ進化する

応援上映がすっかり日常的なものになったのち、2020年初頭にはコロナ禍という大きな転機が訪れた。劇場での声出しが禁止され、応援上映はその存在意義が大きく揺らいでしまうが、「KING OF PRISM」のチーム、そしてファンは、窮地だからこそのクリエイティビティを発揮した。

「劇場版『KING OF PRISM ALL STARS -プリズムショー☆ベストテン-』が公開された直後にコロナ禍がやってきて。応援上映もできなくなる中で、無発声応援上映やZoomを使ったオンライン応援上映会がされていました。私はこのタイミングでは『KING OF PRISM』のチームに入っていなかったので、詳しい経緯は知らないのですが……」(磯輪)

「オンライン上映を発案したのは、当時エイベックスで販促や配信を担当していた方です。従来の応援上映ができない中で、当時リモート会議をする機会がすごく増えていたので『Zoomでやってみるのはどうでしょう』という話が上がったんです。いざやってみると、参加したユーザーそれぞれの部屋で、独自の応援上映がどんどん確立されていって、すごく面白かったですね」(同席していた宣伝プロデューサー)

遠くにいても皆で応援♪ 「KING OF PRISM オンライン応援上映会」PV

さまざまな危機を乗り越え、進化し、応援上映とともに歩んできた「KING OF PRISM」シリーズも、まもなく10周年を迎えようとしている。最後に、長年「プリティーシリーズ」、そして応援上映を見守ってきた彼らに、今後の応援上映に期待することを聞いてみた。

「またディズニーになっちゃうんですが、タートル・トークというウミガメのキャラクターと会話できるアトラクションがあるんですよ。あれと同じように、お客さんとキャラクターが話せたりすると面白そう。映画でやるのは難しいかもしれないけど、AIとかを利用して、何か言ったら反応してくれたり、それでコールアンドレスポンスが進化したりすると面白いですよね」(岩瀬)

「最近だと『映画 ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』が特別な機材を導入して、スマホで投票をすると作中のバトルの結果が変化するという試みをされていました。それがもう1段階進化して、お客さんの声援で結末が変わる作品や上映が実現したら面白そうですよね。『KING OF PRISM』はバトル作品というわけではないのではまらないかもしれませんが……もし実現できたら映画の没入体験としてはすごそうですよね」(磯輪)

「僕は応援上映の進化という感じではないんですけど、海外に持っていきたいな。『プリティーシリーズ』も『KING OF PRISM』も韓国の劇場では応援上映を楽しんでもらったけど、もっといろんな国で展開したいです。海外のほうが劇場で自由に過ごす文化があると思うので、こういう作品を『新しい日本の文化ですよ』と海外に持って行くとどうなるか見てみたいですね」(大庭)

男プリと一緒に!応援上映体験ダイジェスト動画

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【新】ソロ/赤魔導士😭ガンプラ+レトロゲーマー @hansolo0225

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