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「第24回読売演劇大賞」贈呈式、大賞の堀尾幸男が笑いで喜び表現

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「第24回読売演劇大賞」贈呈式の様子。

「第24回読売演劇大賞」贈呈式の様子。

「第24回読売演劇大賞」の贈呈式が本日2月27日に東京・帝国ホテルにて行われた。

大賞、最優秀スタッフ賞を受賞したのは、NODA・MAP「逆鱗」や前川知大が脚本・演出を手がけた「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」の美術を担当した堀尾幸男。最優秀作品賞には「ジャージー・ボーイズ」、最優秀男優賞には同作に出演した中川晃教、最優秀女優賞には「イニシュマン島のビリー」「母と惑星について、および自転する女たちの記録」の鈴木杏、最優秀演出家賞には「8月の家族たち August: Osage County」のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が選出された。また杉村春子賞を三浦春馬、芸術栄誉賞を吉井澄雄、選考委員特別賞を三浦基が獲得。受賞者には、正賞として彫刻家・佐藤忠良制作のブロンズ像「蒼穹」、副賞として大賞・最優秀スタッフ賞に200万円、ほかの最優秀者ならびに杉村春子賞、芸術栄誉賞、選考委員特別賞の獲得者にはそれぞれ100万円が贈与された。

杉村春子賞を受賞した三浦春馬は感慨深げに像を握りしめ、「受賞させていただきました!」と笑顔を見せる。「こうして今この像を手にすると、3年前に自分がブロードウェイで観て、本当にこの作品に出たい、と思ったのを懐かしく思います。そしてその思いが現実として舞台になり、この賞につながって……。これまで支えてくださった『キンキーブーツ』制作委員会の方々、舞台を観に来てくださったお客様、一番は僕を支えてくれたアミューズのスタッフ、そして家族に感謝しています! 言葉にならない感情が湧き上がってくるのを感じています。これからさらにミュージカル、そして演劇を身近に感じてもらえるような努力をしていきたいと思います」と決意を述べた。

続けて選考委員特別賞を受賞した三浦基が登壇。「『ヘッダ・ガブラー』は作品賞もいただきまして、まさか選考委員特別賞までいただけるとは、さすがにびっくりしています。ただ、受賞を知らせた人たちに“特別賞は地点らしい”とか“三浦君らしい”と言われて、特別なのは僕じゃなくて支えてくれた人たちじゃないかとしみじみしました」とコメント。さらに「これまでお世話になった特別な人たちを大急ぎで読み上げます」と、次々と関係者たちの名前を読み上げ、「劇団を代表して感謝を申し上げます」と最後は震える声で挨拶した。

最優秀演出家賞を受賞したのはKERA。「昨年も優秀演出家賞をいただき、今年は最優秀で、その違いは僕自身よくわかっていませんが、でも最優秀のほうがうれしいです」と笑顔を見せる。「演出家の仕事というのは、どこからどこまでかが非常に難しい。全然何もしない演出家もいますが、僕の仕事ぶりをちゃんと証明したいですね、ちゃんとやってるということを!」とKERAらしいコメントで会場をわかせる。「でも、この作品は出演者の方々とわいわいやっていあるうちにできたので、本当にこんな楽しいことをやって賞をいただけてうれしいです」とあらためて受賞の喜びを述べた。

最優秀女優賞は鈴木。「20代の最後にすごいご褒美をいただきました。2003年、15歳から16歳になるときに『奇跡の人』で舞台に立ってから、私はずっと演劇に恋をしっぱなしです」と鈴木は感慨を述べる。「中でも私に大事なタネを植え付けてくださった蜷川(幸雄)さんが昨年お亡くなりになって、1つ帰る場所をなくしたような心細い気持ちになっていたのですが、その前後に森新太郎さん、栗山民也さんという素晴らしい演出家の方に出会うことができました。そして今、野田秀樹さんの舞台に出演させていただいて」とこれまでの足跡を振り返りながら、「そのときに出会った皆様や、お客様にも面白いと思っていただける役者でいること、人間でいることを目指してまたこれからも一歩一歩丁寧に誠実に歩んでいきたいなと思います。いま新たなスタートラインに立っている気持ちです。これからもよろしくお願いします」と真摯に挨拶した。

最優秀男優賞は中川が受賞。中川はマイクの前に立ったまま、涙でしばらく言葉が出ない。「18歳でシンガーソングライターとしてデビューさせていただき、その翌年『モーツァルト!』で杉村春子賞などいくつもの賞をいただきました。あれから14年、ずっと大切にしていることがあります。それは芝居のクオリティと同じセンスを、歌で表現できないかということです。歌と芝居、ダンス、ほかにもさまざまな表現でお客様に感動を届けていく、なんてすごい仕事だろうと。これまで私が出会ってきた方々、ともに作品を作ってきた仲間たち、そして観客の皆さんにとにかく心から感謝の気持ちでいっぱいです」と、途中声を詰まらせながら熱い思いを述べた。そして最後に「でもこの最優秀男優賞より、最優秀作品賞をいただけたことがうれしいです!」と笑顔を見せ、会場からは大きな拍手が起こった。

最優秀作品賞を受賞した「ジャージー・ボーイズ」からは、演出の藤田俊太郎が代表として登壇。「ミュージカルが初めて最優秀作品賞をいただきました!」と第一声で感激を述べる。「この作品の演出のオファーを頂いた時に、まず師匠である蜷川さんに相談しました。その中で蜷川さんは、ご自身がやられた東宝とのお仕事、商業演劇のこと、いろいろなお話をしてくださいました。そして『優秀な人たちと闘って来い、闘って闘って、負けたら帰って来い』と言ってくれました。僕にはもう帰る場所がないのかもしれませんが……」と目線を遠くに向け、「この作品では、演出は蜷川さんの魂を引き継ぎ、最先端のミュージカルを作ろうと思いました」と創作へのさまざまな思いを語る。最後には「いつまでもいつまでも、カンパニー一同気持ちは一緒です!」と明るい声で挨拶した。

また、芸術栄誉賞に輝いたのは照明家の吉井。吉井は「私は60数年演劇の獣道を歩んできました。私が手がけました演劇、オペラ、ミュージカル、あらゆる人たちに感謝を申し上げたいと思います」と挨拶し、「私に演劇の扉を大きく開けてくれた人」として、仏文学者の諏訪正、水島弘、浅利慶太の名を挙げた。また「この賞は、私1人でいただいたのではないと思っています。私の後ろで今なお獣道を歩いている後輩たちがたくさんいます。光を扱う私たちにどうぞ光を当ててくださいますようお願いいたします」と述べた。

大賞・最優秀スタッフ賞は舞台美術家の堀尾が受賞した。堀尾は「大賞というのはまだもらったことがないなと思って確認しました」と挨拶し、来場者たちを笑わせる。続けて「私、(登山家の)三浦雄一郎さんと似ているんですけど、シェルパこそスタッフだと思っているんです。シェルパって表には出てこないですよね、そのシェルパ(である私)が今回(表に)出たんです」と独特の言い回しで受賞の喜びを述べる。続けて、これまでともに作品を作り上げてきたスタッフの名前を次々と挙げたあと、「家内の名前も出さないと怒られます」と言って会場を笑いに包んだ。

贈呈式の後、「ジャージー・ボーイズ」の出演者たちがミニパフォーマンスを披露した。中川晃教がハイトーンの美声をのびのびと披露すると、会場からは大きな拍手と声援が。受賞に対するカンパニーの喜びが具現化した瞬間だった。

※初出時、本文に一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

第24回読売演劇大賞

大賞・最優秀スタッフ賞

堀尾幸男

最優秀作品賞

「ジャージー・ボーイズ」

最優秀男優賞

中川晃教

最優秀女優賞

鈴木杏

最優秀演出家賞

ケラリーノ・サンドロヴィッチ

杉村春子賞

三浦春馬

芸術栄誉賞

吉井澄雄

選考委員特別賞

三浦基

優秀作品賞

宝塚歌劇花組「For the peopleーリンカーン 自由を求めた男ー」
「宮本武蔵(完全版)」
「三億円事件」
地点「ヘッダ・ガブラー」

優秀男優賞

市川猿之助坂本昌行千葉哲也、三浦春馬

優秀女優賞

轟悠濱田めぐみ、山本郁子、吉田羊

優秀演出家賞

千葉哲也、原田諒、藤田俊太郎

優秀スタッフ賞

沢田祐二、高橋巌、玉麻尚一、原田保

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