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「ハムレット」ジョン・ケアードが内野聖陽に期待「物事を深く考え導く俳優が必要」

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「ハムレット」製作発表フォトセッションの様子。上段左から藤原道山、壤晴彦、今拓哉、加藤和樹、山口馬木也、村井國夫、下段左からジョン・ケアード、北村有起哉、貫地谷しほり、内野聖陽、國村隼、浅野ゆう子。

「ハムレット」製作発表フォトセッションの様子。上段左から藤原道山、壤晴彦、今拓哉、加藤和樹、山口馬木也、村井國夫、下段左からジョン・ケアード、北村有起哉、貫地谷しほり、内野聖陽、國村隼、浅野ゆう子。

ジョン・ケアードが演出を務める「ハムレット」の製作発表が、本日1月10日に東京都内で行われた。

ケアードが手がけるのは、2000年にサイモン・ラッセル・ビール主演により、英国ロイヤル・ナショナル・シアターで上演された「ハムレット」の日本公演版。タイトルロールを演じるのは、これまで「レ・ミゼラブル」「ベガーズ・オペラ」などでケアードとタッグを組んできた内野聖陽だ。

本日の製作発表にはこの2人のほか、キャストの國村隼貫地谷しほり北村有起哉加藤和樹山口馬木也今拓哉壤晴彦村井國夫浅野ゆう子、音楽・演奏を手がける藤原道山、翻訳を担当する松岡和子、東京芸術劇場の館長・萩田伍が登壇した。

「あまりにカメラが多くて……何から話せばいいかな」と笑いながら、ケアードはアメリカの研究者が今週発見したという、あるニュースについて言及した。その発見とは、シェイクスピアが紳士になるために紋章の発行申請をしていたという記録。「これでシェイクスピアは劇作家でありながら役者であったことが証明された。さらに紋章の申請時期と、彼の父親が亡くなった時期……つまり『ハムレット』を執筆していた時期は重なるんですね。『ハムレット』に“演じる”ことや父親についての記述が多いのは、彼にとって自伝的な作品だからではないかな」と分析する。

ケアードは「ハムレット」について「玉ねぎのように1枚1枚めくっていくと、中にもっと面白いものが見えてくるという構造。これを上演するには2、3人どころではなく素晴らしい役者が大勢必要なんです」と解説したうえで、壇上の俳優たちに目をやり、「不運なことに今回はこれだけしか集まらなかったんですけどね」とジョークを飛ばす。そして「“現実”と“演じられる世界”という対比を少人数で体現することが本作のポイントの1つ」と語り、「大人数で演じると“現実”が見えてこなくなるのではと考えました。ですので本来は30人超のキャストが出演するこの作品に、たった14人の俳優で立ち向かってもらいます」と説明した。

続けて「(國村演じる)ハムレットの父である亡霊役とクローディアス役を1人が演じるのはよくあること」と具体例を挙げながら、「(劇中で亡くなる)ポローニアスが、次は墓掘り役に。“墓から出てきて”道化を演じるわけです(笑)。ハムレットの学友・ローゼンクランツとギルデンスターンを演じた俳優が、後にイギリスの使節として『2人を殺しました』と報告に現れたり、(貫地谷演じる)オフィーリアとオズリックがダブルキャストだったり」と次々に構想を明かしていく。

さらに「内野さんにも、ハムレットとフォーティンブラスを演じていただきます」と宣言すると、記者たちからどよめきが。ケアードは「そうすることで、作品テーマの“よみがえる死と生の関係”がよりクリアになるのでは。ダブルキャストでないのは北村さん演じるホレイショーだけ」と語り、「ホレイショーが生き残ること、それが悲劇の中の希望の光として重要なんです」と言葉に力を込めた。

ケアードの熱弁に、内野は「記者の皆さんがだんだんと大学で講義を聞いているような顔つきになっていきましたね(笑)」と反応。ケアード演出の魅力を問われると、「初めてご一緒したレミゼでの『どんな登場人物も、それぞれ共感できるキャラクターでなければならない』という言葉が印象的でした。観客の心に響く何かを持っていなければ、という哲学が僕は大好きで。きっと万人に理解できる豊かな作品になるのでは」と期待を寄せる。

かねてからケアードに「ハムレットはいつか演じるべき役」と言われていた内野は、その話題になると一気に恐縮ムードに。ケアードに「『ハムレット』には哲学が描かれている。だからカンパニーは全員が経験を積んでいて、物事を深く考えられる人でなくてはならない。さらに主演はこの芝居を導いていかなくては。内野さんはそれができる人だと思うので考え始めてくださいね」と呼びかけられると、内野は「一番苦手です」とひたすら恐縮していた。

國村は「ジョンの話を聞いていたら、この舞台を客席から観たくなってしまいました。シェイクスピア劇には初挑戦ですが、観客の方に面白いものをお見せできたら」と意気込む。オーディションを経て出演が決まった貫地谷は「すごくうれしい反面、どうしようという思いも渦巻いています。でもジョンという本場の演出家、そしてこの素晴らしいメンバーとご一緒できることを楽しみにがんばります」と出演の喜びを語った。

養成所時代から作品に親しんでいたエピソードを明かした北村は「いよいよ僕も『ハムレット』に参加するときが来ました。思いっきり肋骨を開き、肩甲骨を自由に動かして演じたい」と大きく笑う。レアティーズ役を勝ち取った加藤はオーディションを振り返り、「ジョンから『君は体が動くのか?』と聞かれアクションをしました。その結果、内野さんの決闘相手に。大変恐れ多いですが、自分の限界を超えるつもりで作品に臨みたい」と覚悟を述べた。

“アクションムーブメント”という役割も同時に担当する山口は「不安はありますが、観客の皆さんに感動してもらえるように取り組みたいと思います」とケアードを見つめ、山口とともにローゼンクランツとギルデンスターンを演じる今は「『ハムレット』はさまざまな年代のキャラクターが登場します。40代後半にまたこの作品に再会できたことが非常にうれしいです」と笑顔を見せた。

ポローニアス役を務める壤は、ケアードの熱弁を聞いて「とても面白そうなプランだなと思いました。十分にディスカッションを重ね、ジョン・ケアードという船頭について、ワクワクしながら稽古していきたいと思います」と意気込む。墓掘りと旅回り一座の座長を演じる村井は、ケアードと30年来の仲。彼の演出について「ジョンはマジックをかけます。自分でも驚くほどの力を発揮することができますし、今まで観たことのない『ハムレット』が上演されると僕は信じて疑いません」と絶大な信頼を寄せた。

ハムレットの母であるガートルード役の浅野は、村井のコメントを受け「ジョンのマジックにかかることで新しい私になれるかな、という期待に胸が震えております」とコメント。音楽・演奏を手がける藤原は「和にこだわるというよりは、異空間を表現できるような音楽を考えています。生演奏もございますので、お楽しみいただければ」と呼びかけ、翻訳の松岡は「ジョンと一緒に上演台本を作るプロセスで、深くベストなものを作れるようにして参ります」と述べた。

公演は、4月7日から28日まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて。その後、5月に兵庫、高知、福岡、長野2会場、愛知と巡演する。東京と兵庫公演のチケット発売は1月14日から。

「ハムレット」

2017年4月7日(金)・8日(土)※プレビュー公演
2017年4月9日(日)~28日(金)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2017年5月3日(水・祝)~7日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2017年5月10日(水)
高知県 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール

2017年5月13日(土)・14日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 大ホール

2017年5月17日(水)
長野県 まつもと市民芸術館 主ホール

2017年5月21日(日)
長野県 上田市交流文化芸術センター 大ホール

2017年5月24日(水)~26日(金)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
演出:ジョン・ケアード
音楽・演奏:藤原道山
出演:内野聖陽 / 貫地谷しほり / 北村有起哉 / 加藤和樹 / 山口馬木也 / 今拓哉 / 大重わたる、村岡哲至、内堀律子、深見由真 / 壤晴彦 / 村井國夫 / 浅野ゆう子 / 國村隼

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