キリンジ兄弟最後のライブ「マイクよこせ、早く!」で終幕

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キリンジのライブツアー「KIRINJI TOUR 2013」の最終公演が、4月12日に東京・NHKホールにて開催された。

キリンジ「KIRINJI TOUR 2013」最終公演より。

キリンジ「KIRINJI TOUR 2013」最終公演より。

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キリンジ「KIRINJI TOUR 2013」最終公演より。2人揃っての最後の挨拶をする泰行(写真手前中央)と高樹(手前右)。

キリンジ「KIRINJI TOUR 2013」最終公演より。2人揃っての最後の挨拶をする泰行(写真手前中央)と高樹(手前右)。

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キリンジ「Ten」ジャケット

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1996年の結成以来、堀込泰行(Vo, G)と堀込高樹(G, Vo)の兄弟2人バンドとして活動を続けてきたキリンジだが、このツアーをもって弟の泰行が脱退。兄の高樹がキリンジの名を引き継いで活動することとなった。14カ所15公演におよんだツアーを締めくくる今回のライブは、兄弟2人のキリンジとして最後のステージ。NHKホールを埋め尽くす大勢のファンが見守る中、初期のナンバーから最新アルバム「Ten」収録曲までまんべんなく、4時間弱で合計33曲が披露された。この日の1曲目に選ばれたのは、2000年発売の4thシングル「グッデイ・グッバイ」。その後も「双子座グラフィティ」「風を撃て」など、前半は初期の人気ナンバーが立て続けに歌われた。

2人のバックを務めたのは、最新アルバム「Ten」をともに作り上げた田村玄一(G)、千ヶ崎学(B)、伊藤隆博(Key)、楠均(Dr)の4人。田村はアコースティックギター、エレキギター、ペダルスティールと楽曲によって楽器を替え、サウンドに彩りを添えていく。キリンジの2人も場面によってギターを持ち替えながら、1曲1曲噛みしめるように歌を届けていった。

2人は並んで立つ最後のステージながら、決して感傷的になることはなく、時折挟まれるMCでもいつも通り淡々と独特のユーモアを交えた会話が続く。中盤、アルバム「Ten」からの楽曲「夢見て眠りよ」「ナイーヴな人々」を披露したあとのMCでは、ツアーで九州を回った際にもらったデコポンなどの柑橘類の話題に。「やれポン、それポン」と大量の柑橘類をくれたやさしい地元住人との思い出トークから、泰行は高樹の新たなニックネーム「高ポン」を考案し会場をなごませた。

後半戦は6人がアグレッシブな演奏を繰り広げ、会場のボルテージは一気に急上昇。「都市鉱山」では客席から大きな歓声が上がり、「CHANT!!!!」や「祈れ呪うな」では高樹のダブルネックギターや楠のパーカッションがサイケデリックなムードを作り上げた。本編ラストにはじっくりと聴かせるナンバーが続き、最後はスクリーンに浮かぶ青空をバックに歌う「ブルーバード」で締めくくられた。

この時点で約3時間が経過していたが、場内はアンコールの声が鳴り止まない。6人がふたたびステージに戻ると、女性ファンからの声援はもちろん、男性ファンからも「泰行ー!」という野太い声が飛ぶ。泰行ははにかみつつも静かに歌い出した。2001年発表の名バラード「Drifter」だ。さらに「千年紀末に降る雪は」「スウィートソウル」をじっくりと歌い上げると、泰行は「それじゃあ、あんまりしんみりしてるとアレなんで、とてもとても懐かしい曲を」と、高樹作詞・作曲のカントリー風ナンバー「茜色したあの空は」「もしもの時は」をメドレーで披露して明るくステージを去った。しかし観客の熱気はさめやらず、メンバーは三たびステージへ。そして、キリンジの代表作とも言える美しいバラード「エイリアンズ」が歌われ、場内には兄弟最後のユニゾンボーカルがこだました。

泰行はここで最後に「これから新しいキリンジは兄が引っ張っていきます。僕はマイナー競技でオリンピックを目指します(笑)。よかったら僕の音楽もよろしくお願いします」とファンに向けて挨拶。さらに自身が脱退を決意したことについて「残念に思う人もいるかもしれませんが、2人ともミュージシャンとしてこだわりがあってのことですから、僕としては皆さんに悲観してほしくないなと思っています。ホントにどうもありがとうございました」と気持ちを語ると、観客からは大きな拍手が送られた。そして、最後の最後に選ばれた曲は、湿っぽさとは無縁の、悪役レスラーの悲哀を歌ったナンバー「悪玉」。ラストのサビでは悪役レスラーの決めセリフ「マイクよこせ、早く!」のコール&レスポンスというシュールな光景を繰り広げ、17年間におよんだ堀込兄弟=キリンジの歴史は幕を下ろした。

キリンジ「KIRINJI TOUR 2013」
2013年4月12日(金)東京都 NHKホール公演 セットリスト

01. グッデイ・グッバイ
02. 双子座グラフィティ
03. 風を撃て
04. 野良の虹
05. ダンボールの宮殿
06. 耳をうずめて
07. 僕の心のありったけ
08. 愛のCoda
09. タンデム・ランナウェイ
10. Ladybird
11. 小さなおとなたち
12. さよならデイジーチェイン
13. ホライゾン!ホライゾン!
14. 夢見て眠りよ
15. ナイーヴな人々
16. ムラサキ☆サンセット
17. You and Me
18. Music!!!!!!!
19. 都市鉱山
20. CHANT!!!!
21. アルカディア
22. 祈れ呪うな
23. 早春
24. 夏の光
25. TREKKING SONG
26. 竜の子
27. ブルーバード
28. Drifter
29. 千年紀末に降る雪は
30. スウィートソウル
31. 茜色したあの空は~もしもの時は
32. エイリアンズ
33. 悪玉

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