サニーデイ、20年前と同じ場所でボーナストラック多数の「東京」再現ライブ

サニーデイ・サービスによるアルバム「東京」の発売20周年記念コンサート「東京再訪」の追加公演が、6月27日に東京・渋谷CLUB QUATTROにて開催された。

「東京」は、サニーデイが1996年2月に発表した2枚目のオリジナルフルアルバム。前年リリースの1stアルバム「若者たち」で見せた“フォーキー”路線をさらに押し進めて独自のサウンドを開花させた、当時の音楽シーンを象徴する1枚だ。アルバム発売20周年を記念したコンサートは当初、６月17日の東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール公演のみを予定していたが、チケットが即日完売となったことを受け、追加公演実施の運びとなった。

曽我部恵一（Vo, G）と田中貴（B）は、サポートの高野勲（Key）、新井仁（G / NORTHERN BRIGHTほか）、鈴木正敏（Dr）と共にステージへ。曽我部は高野とアイコンタクトを取ると、アルバム「東京」の冒頭を飾る表題曲を、アルバムと同様のギターとピアノだけのシンプルな演奏でつぶやくように歌い、田中は曽我部の声にソフトなハーモニーを合わせる。全12曲で構成された「東京」の世界を曲順通りに完全再現する“東京再訪”の幕開けだ。曽我部の枯れたテレキャスターの音色と高野のスチールギターが郷愁を誘う「もういいかい」、ストリングスをメロトロンに置き換えた「あじさい」と、聴き慣れた楽曲が生演奏による立体的な音像で次々と飛び出してくる。MCを一切挟まずにステージは進行し、最後は曽我部のボーカルとアコースティックギター、田中のコーラスとカズーのみで「コーヒーと恋愛」を披露。観客はレコードに耳を傾けるように、2人が奏でる優しい音色に聴き入っていた。

アンコールを求める拍手を受けて再度ステージに上がったサニーデイは、ここからさらに「いつもだれかに」「スロウライダー」「NOW」など9曲を一気に畳みかけていく。「さよなら！街の恋人たち」では、5人の歌と演奏が徐々に熱を帯び、何度も繰り返されるアウトロで場内の熱気はピークに。曽我部は「胸いっぱい」を歌い終えると、倒れ込むように袖へと戻った。それでもアンコールの声は鳴り止まず、メンバーはもう1度ステージへ。曽我部はここで初めて「ありがとう」と挨拶し、さらに噛み締めるように「今日はありがとう」とつぶやいた。曽我部と田中は、1996年の「東京」リリース時に同じ渋谷CLUB QUATTROのステージに立ったことを振り返り、田中は「あのときも止まったよね、1曲目で」と、本日の2曲目「恋におちたら」のイントロをやり直したことを引き合いに出しはにかむ。そして「じゃあ最後に1曲、みんなで踊って帰ってください」という曽我部の言葉から、バンドは「夢見るようなくちびるに」を演奏。なおも盛り上がる観客に、5人はトリプルアンコールの「サマー・ソルジャー」を届け、ボーナストラック多数の「東京」再現ライブを終えた。

サニーデイは自身のアルバム再現ライブに続き、9月21日に同じく渋谷CLUB QUATTROにて、遠藤賢司の2ndアルバム「満足できるかな」発売45周年記念ライブにバンドメンバーとして参加。曽我部、田中、鈴木の演奏で日本ロック史に残るエンケンの名盤を再現する。またサニーデイは8月3日にニューアルバム「DANCE TO YOU」を発表し、10～12月にはライブハウスツアーを行う。