椎名林檎、緻密な演出で魅せた「百鬼夜行」ツアーNHKホール公演

10月にスタートした椎名林檎の全国ツアー「椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015」の東京・NHKホール公演が、11月6、7日の2日間にわたり開催された。音楽ナタリーでは6日の公演の様子をレポートする。

10月14、15日の東京・オリンパスホール八王子を皮切りに、12月20日の広島・上野学園ホールまで全国11カ所で計18公演を実施中の椎名。彼女がソロ名義でホールツアーを行うのは2003年の「雙六エクスタシー」以来ということもあり、今回のツアーは多くのファンの注目を集めている。

6日の公演は、紗幕を使った演出が観客の期待感を一気に高めた1曲目から、キラーチューンで畳みかけた終盤まで、MCなしで本編が届けられるストイックなものに。ツアー中につき演目の掲載は控えるが、セットリストは初期の楽曲や東京事変のナンバー、コラボ曲、カバー曲などで構成。椎名はバラエティに富んだ楽曲群を情感豊かに歌い上げ、終始観客を魅了していった。またステージは全編にわたり映像、ライティング、衣装などにもこだわりが見られ、昨年のアリーナツアー「林檎博'14 -年女の逆襲-」に続く“エンタテインメントショー”とでも言うべき緻密な演出が観衆を圧倒していく。なお8月の台湾公演に続き、椎名はスペシャルバンド“MANGARAMA”を率いて登場した。玉田豊夢（Dr）、鳥越啓介（B）、ヒイズミマサユ機（Key）、浮雲（G, Vo）、名越由貴夫（G）、村田陽一（Trombone）、西村浩二（Trumpet）、山本拓夫（Sax, Flute）というそうそうたるプレイヤー陣によりロック、ジャズ、ポップスとジャンルが多岐にわたる椎名の楽曲群がこの日ならではのアレンジでプレイされ、オーディエンスはバンドと椎名によるシュアな演奏に対して曲が終わるごとに大喝采を送っていた。

さらに今回のツアーにおいても、衣装は大きな見どころに。椎名は鶴の刺繍が施されたアンティークの振袖や緋色のシルクランジェリーなど、艶やかなスタイルでファンを魅了していく。ライブ中盤には、椎名が驚きの衣装を纏い、ステージ後方のLEDディスプレイに映し出されたELEVENPLAYの面々に合わせダンスを披露。その衣装とダンスに会場はどよめいた。

アンコールは、玉田が椎名と初めて仕事をしたときの思い出話を長々と語るなど、本編とは打って変わって和やかなムードに。椎名はオーディエンスへ「今日はおめかしして来てくださってどうもありがとうございます。楽しかったです」と言葉を送り、「いつも、そのときのお客さんのリアクションを見て決めているんですけど」と前置きをしてアンコール曲をプレイした。バンドがステージを去った後、スクリーンには本ツアーのために作られたユニークなエンドロールが映し出され、ファンは最後まで椎名が作り上げたショーの世界に浸っていた。