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「聲の形」セリフ&効果音なし版を生演奏付きで上映、牛尾憲輔が山田尚子に感謝

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牛尾憲輔

牛尾憲輔

本日11月3日、北海道・新千歳空港ターミナルビルにて開催中の第4回 新千歳空港国際アニメーション映画祭で「映画『聲の形』」の上映企画が行われた。

「アニメーションの音を聴く vol.2 映画『聲の形』-inner silence- ~牛尾憲輔氏 劇伴ライブ上映~」と題されたイベントでは、山田尚子が監督を務めた「映画『聲の形』」の「inner silence」バージョンを、音楽を担当した牛尾憲輔の生演奏とともに上映。「inner silence」は本作のBlu-rayに特典として収録されたバージョンで、登場人物たちのセリフや効果音などを消去し、新たに制作された劇伴のみでサウンドトラックが構成されている。

上映前の挨拶で、牛尾はコンセプトワークの段階から本作に参加していたことに触れ「その中でバッハの『インヴェンション 第1番』を使おうという発想が生まれました。そしてそのコンセプトに100%乗っ取って、約2時間ずっと同楽曲を流すという試作をしました」と振り返る。封切り時に流れたバージョンは試作の発展版だと述べ「しかし、このコンセプト100%のバージョンは世に放つべきだと山田監督に言っていただき、Blu-rayの特典に入れさせていただけた」と感謝の気持ちを明かした。

「『聲の形』のあるべき姿をライブでお送りします」と語る牛尾は鑑賞前の観客に3つの心得を提示。「1つ目は画を楽しむこと。アニメーションは音の刺激にあふれていて、画だけに注力することは少ないかなと思います。日本が誇る京都アニメーションの繊細なタッチをより強く感じていただけると思います」と述懐し、「2つ目は、あきらめて寝ちゃう」と冗談交じりにコメントする。続けて「このバージョンはストーリーを追うのも難しいです。それを乗り越えて、これからの2時間を思考する時間にしてください。登場人物たちの心の機微やそれに対する音楽のアプローチ、映画とは何か、時間芸術とは何か、音楽と同期するとはどういうことかなど考えていただけますと幸いです。それが3つ目です」と熱っぽく語った。

約2時間スクリーンと向き合いながら演奏を行った牛尾に対し、上映終了とともに観客から大きな拍手が贈られる。その後の舞台挨拶で牛尾は「たくさんの方に残っていただけてびっくりしている」と述べ、「聴いているのも疲れたかもしれませんが、演っているほうもけっこう疲れました」と心境を吐露。ライブ上映は初めてだったことに触れ「ピアノの音と登場人物の動作が重なるとき、新しい意味が生じていくような印象を受けました。作品の新しい見方を提示できる瞬間があった」と意義があったことを語り、イベントをまとめた。

牛尾は明日11月4日に同映画祭で実施される特集「湯浅政明とサイエンスSARU」にも登壇。また「映画『聲の形』」で真柴智に声を当てた豊永利行が登壇するテレビアニメ「ユーリ!!! on ICE」の爆音上映が、最終日の11月5日に同映画祭で実施される。

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