センネン画報の描き方伝授。今日マチ子の授業をレポート

去る5月23日、今日マチ子によるワークショップ「マチ子サロンVol.1～センネン画報の文法教室～」が、IID世田谷ものづくり学校にて開催された。

このワークショップは、「センネン画報」のような1ページマンガの描き方を、抽選で選ばれた40人の生徒に今日が伝授するというもの。会場となったIID世田谷ものづくり学校2A教室は、廃校舎の教室をそのまま再利用した雰囲気ある空間だ。

今日はマンガ家を意識してか、ベレー帽を被り登場。ゲストには、今日とプライベートでも親交が深い作家の松田青子と、「センネン画報」の装丁を手がけたデザイナーの川名潤を迎え、司会の太田出版・野口氏の「起立、礼、着席」の掛け声とともにワークショップが始まった。

最初に生徒にはコマ割りだけが描かれた白紙がそれぞれ用意された。この日の天気が雨だったことにちなんで、今日は「雨の日」というテーマを提案。生徒たちはこのテーマに従って、それぞれ自由に1ページマンガを描く。今日はうまく描こうと緊張する面持ちの生徒たちに向かって、「今回ワークショップをやってみたのは、私がこの会場を借りてみたかったからなんです。テクニックを磨くためとか堅苦しいものじゃないので、緊張しなくていいですよ」と、会場を和ませた。

まず生徒たちは用意された用紙に、思い思いに下絵を描いていく。生徒が「猫の横顔の描き方がわからない」と質問すると、今日が黒板に手本を描き出す場面も。下描きを終えると、次はペン入れ。ペン入れについて今日は、「集中して丁寧に描くことが大事。勢いで描くと雑になっちゃうから、下絵に沿って描くのがいいですよ」とアドバイスした。

続いて生徒たちは着彩に取りかかる。今日は「決めている色があるならその色を目立させて、他の色は地味な色の方がいい。たくさん色を使うと悩んじゃうから、使う色数は限定した方がいいです」と説明した後、「なんか美大受験のテクニックみたいですね」と、会場の笑いを誘った。サインペンや水彩絵の具、色えんぴつなど、様々な道具を持ち寄った生徒たちは、黙々と自身の原稿を着彩していく。

生徒たちの作品が完成すると、それぞれ自作をスライドに映し発表会が行われた。相合い傘や、雨の日に乗るバスなど、それぞれ生徒たちは個性あふれる作品を披露。中には、イラストレーターやマンガ家として活躍している生徒も。

なお生徒たちが作品を描いている間、3人はフリートークを展開。今日は使用している画材について聞かれると、「Gペンなどのマンガペンやコンピュータは使いません。えんぴつで下描きして、ペン入れはボールペンで。ペン入れをしたものをコピーして、それに着彩していきます。直接着彩すると、ボールペンがにじんで汚くなるから」と「センネン画報」がどのように描かれているか明かした。

また今日は「センネン画報」1巻はモノクロページが多かったが、2巻は自身待望のオールカラーであることを嬉々として説明。「1巻のモノクロページは自分で塗ってくれてもいいですよ。誰かやって見せてくれるかなと思ったけど、誰もやってくれなかった」と笑って話した。

生徒の作品発表、質疑応答が終わると、今日のイラストがあしらわれたステッカーやバッジなど、ファンには嬉しいおみやげが配られた。最後に今日直筆サインが入った「センネン画報 その2」の色校用紙を配布。このレアな1品には、生徒からも感嘆の声が。ひとりひとりにおみやげがいき渡ると、始まりと同じように「起立、礼、着席」の掛け声でマチ子先生の授業は幕を閉じた。