講談社が初の試みとして、アメリカ・ロサンゼルスのハリウッドを拠点とする新たな制作会社Kodansha Studiosを設立。アカデミー賞受賞監督の
Kodansha Studiosは、アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞の主要3部門を独占した「ノマドランド」の脚本・編集・製作・監督を務めたジャオと、彼女とともに歩んできたプロデューサー・ゴンダ氏が立ち上げた制作会社・Book of Shadowsと提携し立ち上げられた新会社。Kodansha Studiosではジャオ監督が最高クリエイティブ責任者、ゴンダプロデューサーがCOOを務める。
本日11月4日に開催された設立発表会見には講談社代表取締役社長の野間省伸氏、ジャオ監督、ゴンダプロデューサーが登壇。ジャオ監督は冒頭の挨拶から「Very Exciting」と笑顔を見せ、「子供のころから深く深く日本のマンガやアニメを愛しています。このような機会をいただけて光栄です」と通訳を通して伝える。さらにジャオ監督は「同人誌」というワードも出しながら、「私の血と肉を作りました」とマンガへの熱い思いを語り、「孤独な自分はマンガのキャラクターが友達だった、キャラクターと一緒に成長できました」と振り返る。またマンガから演出・脚本に影響を受けていることを伝え「日本のマンガ家たちに大いなる敬意がある」と思いを伝えた。
野間氏は今回の新会社設立について、現在、講談社が海外展開にも力を入れていること、また日本のエンターテインメントコンテンツが世界的に人気があり、海外展開の追い風が吹いていることを説明。一方で今はIPのライセンスを海外に預け、その後を任せる形が多いと明かし、今回の新会社設立を機に制作にも積極的に関わっていくと、会社設立に至った思いを語った。
ジャオ監督もKodansha Studiosについて「異文化間の理解を促進する架け橋、そしてクリエイターとしてアイデアが広がり、外部の変革や情勢に左右されない安心できる庭になってほしい」と展望を話す。続けて「日本の作家と海外のクリエイターたちが一緒に強い植物を作り上げる、そしてそこから巣立つことを助けたい」とクリエイターが高め合う場になることを望んだ。最後には野間氏の名前を出し、「不可能なことに果敢に挑んでいく彼の勇敢さに非常に魅せられました。その精神をKodansha Studiosに取り入れて果敢に取り組んでいきたい」と意欲を見せる。
続くゴンダプロデューサーはジャオ監督の意見に同意だと話し始め、現在の海外のスタジオと日本のIPの関わりについてライセンス契約の形が多いと説明。「スタジオを設立することで、新しい機会として講談社がやってきたように皆さんの言葉を取り入れてどんどんいいものを作っていきたい」と宣言した。ジャオ監督も作品が映像化される際の困難を見てきたとしつつ「文化の理解不足もある。それを超えて2つの文化が求め合う気持ちもある」と海外展開の問題点と希望を挙げる。さらに「ハリウッドも深く影響を受けるだろうと思います」と考えを明かし、「ハリウッドはある意味IPを好きに解釈して扱ってきた側面もある。これからは作家を尊重して、作家性により近いものを作るというのはハリウッドにとっても健全なことだと思います」と映画界に与える影響まで話が広がった。
最後に野間氏はジャオ監督、ゴンダプロデューサーという力強い仲間に感謝を示す。さらに「日本の知られていなかったIPをより多く世界に知らしめていく。日本のクリエイターたちと、海外のさまざまなクリエイターが出会うことで、新しいコンテンツ、新しい表現方法が生まれてくることを期待しています」と力強く語った。
クロエ・ジャオのほかの記事
リンク
タグ
関連人物
ヤングマガジン白木 @ym_shiraki
「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督と新スタジオ設立!これは胸熱…!! https://t.co/Ujsq58HHgi