コミックシーモア主催の「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞」は、電子マンガのネクストブレイク作品を一般投票で決定するマンガ賞。年々その存在感を増し、昨年の投票数は330万票を突破するほど盛り上がった。今年は11月30日まで投票を受け付けている。
この記事では、女性部門にエントリーされた全15作品を紹介。投票の参考になるよう、マンガ好き芸人・吉川きっちょむによる本気のレビューとともにお届けする。最後には吉川が独断で選ぶ女性部門の部門賞も発表するので、お見逃しなく。
取材・文 / 小林聖撮影 / ヨシダヤスシ
出版社54社が推薦した「2026年にヒットしそうな電子コミック」の中から、一般投票で最も票を集めた作品を「みんなが選んだ2026年に最もヒットする電子コミック」として発表する。
- 投票期間
-
2025年9月22日(月)~11月30日(日)
- 部門
-
男性部門、女性部門、異世界部門、ラノベ部門、BL部門、TL部門
- エントリー作品数
-
100作品
- 投票方法
-
特設ページにアクセスし、好きな作品の「投票へ進む」ボタンをクリック。遷移ページの「投票する」ボタンを押すと、投票が完了する。
※会員登録なしで投票可能。
※投票は全期間を通し、1部門につき1回まで。
関連キャンペーンも開催中!
- 全エントリー作品につき、1巻以上無料または立ち読み増量。
- エントリー作品の続刊購入にも使える「5冊30%OFFクーポン」プレゼント。
- 投票した部門数に応じてポイントをプレゼント。4部門以上投票した人には、ポイントのほか「1冊70%OFFクーポン」も。
- 自身が投票した作品をXでポストした人の中から抽選で50人に、Amazonギフトカード1万円分をプレゼント。応募にはコミックシーモア公式X(@comic_cmoa)のフォローが必要。
「おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中!」
漫画:晴田巡、原作:荒瀬ヤヒロ
一迅社
-
-
伯爵令嬢のニコルは、婚約者のケイオスにいつも放置されていた。彼はニコルよりも、幼なじみのキャロライン王女を優先するのだ。最初は悲しみ、ケイオスを責めることもあったニコルだが、やがて「向こうが好きにしているなら、こっちも自由にすればいい!」と開き直る。自由気ままなおひとり様ライフを楽しむようになるが、本当はケイオスもニコルのことを大事に思っていて……。両片思いをこじらせてしまった2人のドタバタすれ違いラブコメだ。
©︎晴田巡・荒瀬ヤヒロ/一迅社
令嬢ものは今たくさんありますけど、これは読んでいて予想外でした。読み始めたときは、お昼ごはんも一緒に食べないし、デートも全然しなくて、王女様のところにばかり行っている婚約者を見て、復讐系の話なのかなと思っていたんです。でも、そこからニコルが意外な形でおひとり様ライフを満喫するようになっていく。そうなってからのニコルは飄々とあっけらかんとしていて、読んでいても気持ちが明るくなるんですよね。
婚約者のケイオスとの関係も、事情を知っていくと「すれ違いじゃん!」ってわかるし、悪役っぽい同級生の女の子も意地悪してくるかと思ったらニコルに同情して怒り始めるし。コメディとして楽しく読めました。
「君を映して離さない」
月本弓
白泉社
-
-
ごく平凡な高校2年生・犬丸りおは、誰もが振り返る美少女・香月の親友。香月と一緒にいると、まるで自分が誰の目にも映らない透明人間のように感じてしまう。それでも、クラスメイトの春田だけはりおのことを気にかけてくれる唯一の存在だった。りおもそんな彼に密かに恋心を抱いていたが、あるとき、春田も香月のことが好きだと気づいてしまう。傷つくりおの前に現れたのは、地味で暗くて「死神くん」と呼ばれるクラスメイト・越前谷。りおのことをずっと見ていたと言う彼は、「俺じゃ…ダメかな?」と告白してきて……。さらに驚くことに、越前谷はイケメンすぎるがゆえ、わざと地味を装っていることが判明する。
©︎月本弓/白泉社
越前谷くん、たまらないですよね! 周りには「死神くん」なんて呼ばれてるけど、背が高くて、実は前髪に隠された素顔はイケメンという。自分にだけ見せてくれるイケメン顔があるっていうのはやっぱり王道胸キュンですよ。しかも、運動神経もよくて、音楽もやっててそっちでは大人気だったり……どこまで株が上がっちゃうの!?
でも、越前谷くんにときめく根本は、やっぱり自分のことをちゃんと見ていてくれるっていうところ。犬丸さんを透明人間にしないんですよね。それと、親友の香月ちゃんや最初に惹かれてた春田との関係もどうなっていくのか、友情の部分も気になります。
「恋するリップ・ティント」
楠なな
集英社
-
-
高校入学から1カ月。親友の垢抜けぶりを目の当たりにした都本あこは、自分もかわいくなりたいと、まずはリップを塗るところから始めることに。塗りすぎたリップのまま校内を歩いていると、誰かとぶつかり、体操着にキスマークをつけてしまう。その相手とは、SNSのヘアカット動画が100万回再生されるほどの超絶イケメン・愛川遥巳先輩。必死に謝るあこに、遥巳先輩は「この服もういらないから捨てておいて」と冷たく言い放つ。最悪な出会いから始まった2人。しかし遥巳先輩の本音に触れたあこは、彼のことをもっと知りたいと思うようになっていく。
©︎楠なな/集英社
なんといっても主人公のあこちゃんが素直でまっすぐなのがいいですね。女子の先輩に呼び出されて水ぶっかけられたりしてもめげないし、ずぶ濡れにされたけど天気がよくて靴下も乾いちゃったのはうれしいことって言っちゃうくらいのポジティブシンキング。応援したくなるし、読んでいて元気が出ますよ。
で、遥巳先輩がドキドキさせるんですよね! 出会いは最悪なんだけど、ちょっとずつお互いのことがわかっていって。付けすぎたリップを遥巳先輩が指で拭って、ポンポンと付け直すシーンなんかもう! こんなのキスですよ! 広い意味でのキス! そんなことされたらドキドキしちゃいますよ、もう!
「恋せよまやかし天使ども」
卯月ココ
講談社
-
-
周囲に求められる自分像を崩さないよう、常に完璧美少女を演じてきた桂おとぎ。ところがある日、自分の初彼氏にふさわしいと思っていた同級生、一刻に、本性を見られてしまう。優しいうえに容姿端麗、おまけに成績も優秀で、自分と同じように完璧に見える一刻だが、実は彼にも裏の顔があって……。思いがけず一刻と“共犯”関係になったおとぎは、予測不能な彼に振り回される日々を送ることになる。
©︎卯月ココ/講談社
裏の顔を持つ美男子・美少女のラブコメで、主人公たちに二つ名が付いていたりするマンガらしいフィクション感もいいんですけど、実は共感度も高い話だなって思います。おとぎやいっこくくん(※おとぎからの呼び名)ほどじゃないにせよ、誰しも求められる自分を演じている部分はあるじゃないですか。家族の前での自分と、友達の前での自分、恋人の前での自分、それぞれ全然違う表情をしてるだろうし、こうしてほしいんだろうなという気持ちに反応して演じることだってある。この作品ではわかりやすいギャップとして描かれているけど、根本はみんなに当てはまる部分だと思います。
それと、人に見せない裏の顔を自分だけが知っているという共犯関係! 2人だけの秘密ってやっぱり胸キュンですよ。
「3次元お断りな私の契約結婚」
伊吹楓、原作:橘しづき
双葉社
-
-
敏腕美人秘書の高杉杏奈。男に媚びずカッコいいと言われる彼女だが、実は乙女ゲームのキャラクター・オーウェンに本気で恋するオタクで、3次元の男性に興味が持てないのだった。結婚適齢期のため家族からは心配されるものの、杏奈にとってオーウェン以上に素敵な人はいない。そんなある日、取引先のイケメン副社長・藤ヶ谷巧が、話があると言って杏奈を訪ねてくる。なんの用かと思う杏奈に、藤ヶ谷は「私と結婚しませんか」と突然のプロポーズ。一度は突き放す杏奈だったが、利害が一致し、2人は契約結婚することになる。
©︎伊吹楓・橘しづき/双葉社
まず設定が面白いですよね。美人で仕事もめっちゃ評価されてる主人公が、プライベートでは乙女ゲーのキャラに恋するオタクで、3次元の男に興味がないから告白を断っていたら同性愛者だと勘違いされて契約結婚を持ちかけられる。どうなるんだろうって引き込まれます。
2人の契約結婚生活も、ラブになりそうでならないコメディ感が面白い。2人とも仕事ができるから、阿吽の呼吸で顔合わせを乗り切ったり。そういう中で藤ヶ谷にドキッとしたり、彼にも何か秘密がありそうな部分が見えてくるんですけど、ナルシストな一面で台無しになる(笑)。こういう場面は、実写で美しい俳優さんが演じるのを見たくなります。
「塩系上司が甘すぎる」
作画:泉条ちえり、原作:ガジュマル、シナリオ:風華弓弦
DPNブックス
-
-
真面目だけが取り柄の会社員・唐田しおり。3カ月前、彼女が働く部署に天野課長が異動してきた。30歳という若さで課長に就任し、やり手と噂の天野課長は、見た目もイケメンでまさにパーフェクト。しかし誰に対しても塩対応で、部署では少し浮いた存在だった。そんなある日の仕事帰り、唐田は週に一度の楽しみとして立ち寄る居酒屋に入ると、そこで天野課長とバッタリ。一緒に飲むことになると、天野課長はいつもの様子とまるで違い、柔らかい表情を見せてくれた。唐田のがんばりをしっかり評価してくれていた天野課長は、自分に厳しい彼女に「俺が君を甘やかそうか」と胸がときめく一言を告げる。
©︎泉条ちえり・ガジュマル・風華弓弦/TREND-PRO/DPNブックス
部下にも、言いよってくる女性にも割と塩対応なデキる上司が、地味だけど黙々とやってきた自分の仕事を褒めてくれるっていうのはうれしいですよね。褒められるためにやってたわけじゃないし、褒められなくてもいろんな工夫をして楽しみも見いだしてた仕事を、ちゃんと見てくれるっていうのは、とろけるほどうれしいことだと思います。
で、それだけでなく、偶然居酒屋で会ってそこでみんなには内緒で甘やかしてくれるっていう……。こんな甘くていいんですか!? ギャップだし、これもやっぱり自分だけに見せてくれる表情ですよね。こういうドキドキは定番だけど恋愛マンガのたまらない魅力ですね。
「じゃない方の伯爵令嬢 人違いで求婚されたので破談にして差し上げます」
作画:まちの九々、原作:春時雨よわ
秋水社ORIGINAL
-
-
伯爵家の一人娘リュゼット・マダルは、6度目の破談を迎えた。その理由は、男性たちに人気の令嬢ルゼット・ダタルと名前が似ているせい。リュゼットたちの貴族社会では、未婚女性が顔をさらけ出せるのはデビューの夜会の一度きり。それ以降は手紙でのやり取りしか許されず、男性がルゼットと間違ってリュゼットに求婚し、実際に顔を合わせると破談になるということがしばしばあった。破談にも慣れたリュゼットのもとに新たに届いたのは、エリート公爵と名高いローレス・ヴィザントからの求婚の便り。早く人違いに気づかせて破談にしてあげようと思うリュゼットだったが、熱烈にアプローチしてくるローレスに、求婚されているのは自分じゃないとわかっていながらも思わず心が揺れてしまう。
©︎まちの九々/春時雨よわ/秋水社ORIGINAL
自分と似た名前の令嬢と間違われて、6回も求婚されてそのたび間違いに気づいた相手に断られるっていう、主人公の気持ちを考えると本当に切なくなります。この作品の場合、貴族の男女は結婚までにほとんど顔を合わせないとか、手紙のやり取りも執事とかを通すとか、すごくディテールがしっかりしているから、勘違いも起こりやすいというのが納得できる。うまいですよね。
そんな中で、新たに求婚してくる公爵が現れるじゃないですか。また勘違いなのか、今度こそ本当なのかわからないまま進んでいくんだけど、めちゃくちゃ積極的なんですよね。そこにワクワクします。主人公のリュゼットは優しくて凜々しくて聡明だし、今までのことがあるからこそ、めちゃくちゃ幸せになってほしいと思っちゃいます!
「蝶は愛執の檻にとらわれる」
七海月
小学館
-
-
天涯孤独の朱葉は、幼なじみであり警察官の武尊と暮らしながら、自身の夢を叶えるためキャバ嬢として働いている。そんなある日、店で巻き込まれたトラブルをきっかけに、15年前に生き別れた初恋の人・魁と再会する。ところが、かつて頼れるお兄ちゃんだった魁は、マフィア組織のボスになっていて……。キャバ嬢、マフィア、警察官による禁断の三角関係が展開される。
©︎七海月 / 小学館
幼なじみ2人との三角関係なんですけど、スケール感がすごいですよね。1人はエリート警察官の息子で、もう1人は今やマフィアのボス。いろいろあってオークションで100億で落札されたり、そこから一気にエロティックな夜が描かれたり、とにかく展開がド派手! 少年マンガにも通じるような派手さですよ。
しかも、もともとはこの3人だけの話だったのが、主人公はマフィアの愛人と認識されて、警察も絡んできて、大きな力に巻き込まれていく。本心ではたぶん好きなのに、自分のそばにいちゃいけないからって冷たくする魁と、いつもずっと優しい武尊の間で揺れ続ける朱葉、この3人最後はどうなるんですかね!?
「花秘める君のメテオール」
珠森ベティ
ライブコミックス
-
-
豊かな自然に恵まれ、争いも災いもない平和な国・ヴァレンティン王国。この国では100年に一度、国のどこかに幽閉された“呪われた怪物”に生娘を生贄として捧げるという噂が語り継がれていた。その生贄に選ばれた妹を救うため、主人公・ステラは自分が身代わりになることを決意する。1人赴いた屋敷で、人を喰らう怪物として忌み嫌われる吸血鬼・ラビと出会った彼女は、彼の深い孤独を知り……。ひたむきな少女とすべてを諦めた吸血鬼、2人が織りなす切なくも美しい愛と呪いの物語だ。
©︎珠森ベティ/ライブコミックス
まっすぐで温かい主人公のステラがとってもいい! 子供のときのエピソードが印象的なんですよね。木に登って猫を助けたり、草っ原に寝転んだり。奔放で天真爛漫、そして迷ったら一歩踏み込む、行動に移すほうを選ぶタイプなんですよね。困ってる人を助けようとして拒否されたとしても、それでも助けたかったら手を差し伸べる。そういうステラと吸血鬼・ラビの関係がいいんですよね。
ラビは生娘の血を吸わなければ生きていけないけれど、本当は血を吸って殺したくはないという悲しさや孤独を背負ってる。ステラだからそういう彼に手を差し伸べようとするし、しかも彼女は血を吸われても死なないという奇跡のような存在でもある。本当に切なくて美しい愛の話ですね。
「引きこもり令嬢は皇妃になんてなりたくない!~強面皇帝の溺愛が駄々漏れで困ります~」
作画:直江亜季子、原作:百門一新、キャラクター原案:双葉はづき
スターツ出版
-
-
魔法師の名家に生まれながら、魔法が1つしか使えないエレスティアは、社交界を避け、大好きな本を読んで引きこもる日々を謳歌していた。ところがある日、冷酷と噂される皇帝陛下の第一側室に選ばれてしまう。もちろんエレスティアに拒否権はなく、心を殺して耐えるしかないと、皇帝陛下との初夜を迎える。ところが改めて顔を合わせると、なぜか皇帝陛下の心の声が聞こえてきて……。冷酷なはずの皇帝陛下だが、エレスティアへの抑えきれない愛がだだ漏れてくる。
©︎Akiko Naoe・Isshin Momokado/スターツ出版
ファンタジー感のある世界での令嬢もので、かつ溺愛ものですね。魔法師の家に生まれながら魔法が使えないと思われて引きこもってたエレスティアが、まさかの皇帝陛下の第一側室に選ばれるというシンデレラストーリーなんですけど、話はわりとほんわか系。
エレスティアは魔法師に不可欠な心獣というものを持たずに生まれたんだけど、実は心獣にアプローチできるという特別な能力を持っていて、皇帝の心の声も心獣を通して聞こえてしまう。それで表情とは裏腹の本心が聞こえてくるんですけど、聞いちゃっていいの?ってくらい溺愛してるんですよね。あまりにも筒抜けで皇帝陛下がかわいそうになるくらい(笑)。皇帝がエレスティアのことを愛してるってことがわかるから安心感もあるし、コメディ感もたっぷりでニコニコして読めます。
「ベル・プペーのスパダリ婚約~『好みじゃない』と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!~(コミック)」
原作イラスト・漫画:セレン、原作:朝霧あさき
スクウェア・エニックス
-
-
その美しい容姿から「人形姫」と呼ばれる公爵令嬢レティシア・オルレシアン。人前では可憐に微笑み、控えめに振る舞う彼女だが、その本性は人形とは程遠く、豪快で女傑じみた女性だった。そんなレティシアは、素行に難ありと噂される第二皇子ジルベールと婚約することに。呪われた赤い目を持つゆえに孤独を抱えてきたジルベールに、レティシアはどう向き合うのか。運命の2人が互いを思い添い遂げる、“逆・溺愛”ラブストーリーだ。
©︎Asaki Asagiri/SQUARE ENIX ©selen/SQUARE ENIX
もともと読んでた大好きな作品です! まず画力がすごいじゃないですか。美しくて、見ているだけでテンションが上がります。
「人形姫」なんて呼ばれてる物静かな主人公のレティシアが豪快で強い本当の顔を見せる瞬間がいいんですよね。戦っても強い女の子ってたまんないじゃないですか。助けられたジルベール王子がトロンとした表情になっちゃうところなんか最高ですね。強いからこその余裕もあるんですけど、レティシアは偏見の目で人を見ない。噂に惑わされずに本質を見抜くから、ジルベール王子の素顔にも気づけるんです。お互いがお互いを溺愛する恋愛ものであると同時に、バディ感もある2人なのがいいですね。
「未満。だけど愛して、愛して、愛しつくす」
おけいど
シーモアコミックス
-
-
「ガサツなメシマズ女と結婚するわけない」という元彼の一言をきっかけに、料理の道へ進んだ和花。今では食事処の店長として腕を振るうまでに成長した。そんな彼女の密かな楽しみは、常連客のコワモテ刑事・武田の食べっぷりを見ること。自分の作った料理を美味しそうに食べる顔に異常なほど興奮してしまう性癖の和花は、武田の食べる姿を見て、よからぬ妄想を膨らませてしまう。
©︎ おけいど/シーモアコミックス
主人公はクソな元カレの一言から料理の道を歩み始めて、食事処の店長にまでになって、しかもその過程で自分の料理を「うまい」と言って食べる顔に興奮する性癖にも気づくんですけど、もうこれ最高の循環ですよね。料理が仕事になってて、それで性癖まで刺激される。しかも相手も幸せなわけですから。
中でも激渋刑事の武田さんが主人公のツボなんですけど、あの食べっぷりにメロメロになるのはわかります! で、武田さんエグいじゃないですか。作中で「ナチュラルすけべモンスター」って言われてますけど、本当ですよ! 手が汚れてるからおにぎり食べさせて、とか熟れすぎでしょ! そのへん含めてめちゃくちゃ相性のいい2人という感じがいいですね。
「無能才女は悪女になりたい ~義妹の身代わりで嫁いだ令嬢、公爵様の溺愛に気づかない~」
著者:轟斗ソラ、原作:一分咲、キャラクター原案:藤村ゆかこ
KADOKAWA
-
-
伯爵家の娘エイヴリル・アリンガムは、悪女と名高い義妹の身代わりで、“好色家の老いぼれ公爵閣下”と噂されるランチェスター家の当主のもとへ嫁ぐことになった。家族に虐げられながら育ったエイヴリルにとって、実家を出られるのは好都合なこと。さらに、そこで待っていたディランは噂とは真逆の美しい青年だった。3年後に離縁する契約結婚の相手として悪女を選んだディランに対し、実際のエイヴリルは心優しく聡明な女性。悪女でないことがバレれば実家に帰されると思い、無理に悪女を演じるエイヴリルだが、天性の人のよさがにじみ出てしまう。
©︎Sora Goto ©︎Saki Ichibu
これ面白いですね! 単純にめっちゃ楽しく読みました。絵も素敵なんですけど、マンガがすごく上手なんでしょうね。とにかくどんどん続きが読みたくなっちゃう。
主人公のキャラクターもすごくいい。かわいらしくて賢いんだけど、どっか抜けてて、読んでて微笑ましくて応援したくなっちゃう。悪女でいないと実家に返されてしまうと勘違いしてて、悪女らしく振る舞おうとするんだけど、全然悪女じゃなくて周りが「普通にいい子」だと気づいていくところとか、楽しいです。実家で虐げられていた子なんだけど、あっけらかんと明るくて引きずってないのもいい。むしろ家や領地の人の心配してたり。思わず好きになっちゃいますね。
「もう溺愛なんて望んでいませんので、悪しからず ~11回目の人生はひとりで生きていくつもりだったのに急に迫られても困ります~」
漫画:甘夏テン、原作:冬月光輝
ぶんか社
-
-
婚約者の第2王子・エドガーを心から愛していたオリビア。しかしある日を境に突然彼に避けられるようになり、婚約を破棄された末に処刑されてしまう。ところが、死んだはずのオリビアは17歳の誕生日に逆戻り。それ以来、同じ人生を辿りながら、処刑されるたびに17歳の誕生日で目覚めるのだった。何度も人生をやり直す中でオリビアはエドガーにふさわしい女性になろうと努力を重ねてきたが、今度こそもう彼を愛さないと心に決める。しかし11回目の人生では、なぜかエドガーの方から迫ってきて……。彼のことを諦めたはずのオリビアの決意は再び揺らぎ始める。
©︎甘夏テン/ぶんか社
導入がオッとなる話ですね。婚約者の王子を心から愛してるのに途中で必ず聖女と呼ばれる女性に奪われて処刑されてしまう。しかもそれをループしてて、処刑されると17歳の誕生日に戻される。何度繰り返しても同じ運命になるから諦めて「もういいや」ってなったら、今度は逆に王子からガンガン来るようになってと……。なんで今回はまったく違う展開になっているのか、何が起こっていたかというミステリー部分が気になりますね。
同時にラブストーリーの部分も切ないんですよね。王子からアプローチしてくるのにやっぱりドキッとしてしまう自分もいるんだけど、何度やってもダメだった経験があるから信じ切ることもできない悲しさがあって。胸を締め付けられますね。
「ヤクザにお風呂で働かされてます。」
たかし♂
秋田書店
-
-
父子家庭で育った29歳の山鼠みや子。父の死をきっかけに10年ぶりに実家の銭湯に戻ると、父はヤクザに1000万円の借金をしていたことが発覚する。混乱する中、みや子は父に金を貸したヤクザの青年とともに、銭湯の経営再建に臨むこととなり……。年下のヤクザに溺愛されながら、借金返済に奮闘する。
©︎たかし♂(秋田書店)
タイトルにパンチ力がありますよね(笑)。「え、こんな作品大丈夫なの!?」って思って読み始めたんですけど、そんなふうに勘ぐる自分が間違ってました。タイトル通り銭湯で働かされるという。
ヤクザなんだけど自分に妙に優しくて懐いてるっていうのもたまんないですよね。男性向けの作品でも“僕にだけ優しいギャル”みたいなのがありますけど、これは男女問わず魅力がある設定だと思います。で、またヤクザの彼がイケメンなんですよね。塩顔系のイケメン。主人公のみや子さんはちょっと鈍感で、好意とかいろんなことに気づいてなかったりするのもまた面白いですよね。ラブもありつつコメディ感もあって、エンタメ作品としてすごくよくできています。
以前から読んでいた好きな作品もあるんですが、今回は普段の自分の守備範囲では出会えなかった作品ということでこの作品にしました。読む楽しさにあふれた作品なんですよね。主人公のエイヴリルが次にどんなことをするんだろう、言うんだろうって純粋に気になってニコニコしながら見守ってしまいます。
今回もこの機会で初めて知った作品がたくさんありました。マンガ好きって嗅覚みたいなものがあるじゃないですか。パッと見ただけで「これはたぶん好きだぞ」って見つけられたり。でも、そういう嗅覚頼りだと出会いにくい作品もたくさんあるんですよね。こういうふうにいろんな作品が集まるアワードは、普段読まない作品に出会えてすごく新鮮です。特に女性編の作品は知らない作品が多くて新鮮だし、たくさん発見がありました。
結果発表は2026年2月頃。
11月上旬には中間発表が行われ、各部門の暫定上位5作品が明らかになる。
プロフィール
吉川きっちょむ(ヨシカワキッチョム)
1988年12月11日生まれ。吉本興業所属のピン芸人。“吉本一マンガに詳しい芸人”として活動し、よしもと漫画研究部の部長を務める。これまでにTV番組「ヒルナンデス!」「ホンマでっか!?TV」、ラジオ「アフター6ジャンクション」などに出演。さらに、Webサイト・朝日中高生新聞にて「マンガ大好き芸人 読んでアオハる!」を連載している。
吉川きっちょむ┋マンガ大好き芸人 (@kittyomz) | X
きっちょむちゃん (@kittyomz0) | TikTok
「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞 2026」特集
![「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞 2026」マンガ大好き芸人・吉川きっちょむ、男性部門のエントリー作品を1作品ずつ徹底レビュー]()
- 「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞 2026」マンガ大好き芸人・吉川きっちょむ、男性部門のエントリー作品を1作品ずつ徹底レビュー
関連特集
![コミックシーモア ニュース・特集まとめ]()
- コミックシーモア ニュース・特集まとめ



