コミックシーモア主催の「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞」は、電子マンガのネクストブレイク作品を一般投票で決定するマンガ賞。年々その存在感を増し、昨年の投票数は330万票を突破するほど盛り上がった。今年は11月30日まで投票を受け付けている。
この記事では、男性部門にエントリーされた全15作品を紹介。投票の参考になるよう、マンガ好き芸人・吉川きっちょむによる本気のレビューとともにお届けする。最後には吉川が独断で選ぶ男性部門の部門賞も発表するので、お見逃しなく。
出版社54社が推薦した「2026年にヒットしそうな電子コミック」の中から、一般投票で最も票を集めた作品を「みんなが選んだ2026年に最もヒットする電子コミック」として発表する。
- 投票期間
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2025年9月22日(月)~11月30日(日)
- 部門
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男性部門、女性部門、異世界部門、ラノベ部門、BL部門、TL部門
- エントリー作品数
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100作品
- 投票方法
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特設ページにアクセスし、好きな作品の「投票へ進む」ボタンをクリック。遷移ページの「投票する」ボタンを押すと、投票が完了する。
※会員登録なしで投票可能。
※投票は全期間を通し、1部門につき1回まで。
関連キャンペーンも開催中!
- 全エントリー作品につき、1巻以上無料または立ち読み増量。
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- 投票した部門数に応じてポイントをプレゼント。4部門以上投票した人には、ポイントのほか「1冊70%OFFクーポン」も。
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「アルマーク」
著者:柚ノ木ヒヨト、原作:やまだのぼる、キャラクター原案:出水ぽすか
KADOKAWA
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長く戦乱が続く北の地で、傭兵団の副団長として活躍する父のもとに生まれた少年・アルマーク。幼い頃から父とともに傭兵として過酷な戦場を生きていた彼は、父の思いを受けて、魔術師になるため南の地にある魔法学院を目指すことになる。たどり着いた魔法学院で、アルマークを待っていたのは……。Webで1億PVを超える小説シリーズのコミカライズだ。
©︎Hiyoto Yunoki ©︎Noboru Yamada ©︎Posuka Demizu
めちゃくちゃ面白かったです。魔法学校ものってもう多くの読者に遺伝子レベルで組み込まれてるみたいなお馴染み設定になってると思うんですけど、そこに傭兵の子供として育った少年がやってくるというのは新鮮さがありますね。僕は子供の頃ファンタジー小説が好きだったのでうれしくなっちゃいます。淡々としていて無骨かつ丁寧な語り口もスケール感があっていい。
寡黙だけど行動で示すアルマークも主人公感がある。9歳にしてたった1人で1年半も旅をして、魔法こそまだ勉強してないけど、サバイバル感覚みたいなものは研ぎ澄まされてるし、同年代と比べると浮いちゃうくらい大人っぽい。そういう主人公が温かい同級生との関わりで変わっていくのもいいですね。
「売れ残りの奴隷エルフを拾ったので、娘にすることにした」
漫画:澤村明、原作:遥透子、キャラクター原案:松うに
秋田書店
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悪人の街・ゼニスで暮らす魔法使いのヴァイスは、ある日、絶滅したと言われるエルフの上位種・ハイエルフの少女が売られているのを目にする。思いつきで彼女を引き取ることにしたヴァイスは、その少女を自分の娘として育てようと決意。言葉も知らない少女だったが、リリィと名付け、一緒に過ごすうちにヴァイスの懸命な育児の成果が出てきて……。新米パパと心を閉ざした少女が織りなすほっこりファンタジー。
©︎遥透子 ©︎澤村明(秋田書店)
なんといってもリリィがかわいくて仕方ないですね! 悪人だらけの街に住む天才魔法使いに引き取られる奴隷のハイエルフの女の子で、最初は無感情なんですよね。それが愛情を注がれてだんだん感情を見せるようになっていく。最初にニコッと笑顔を見せるシーンとかもうたまらないですよ!
父親になったヴァイスもいいんですよね。「悪いやつなのかな?」と思わせておいてやっぱり根はいいやつで。どんどん親バカになっていく様子を見ていると、ヴァイスも愛おしくなります。この父親ならどんなときでもリリィを守ってくれるだろうっていう安心感もあって、ほっこりした気持ちで読めますね。
「おやすみストレイシープ」
七瀬八
コアミックス
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自堕落でよく眠り、寝不足とは無縁の生活を送る無職の青年・諸星真夜。彼はある日、売り手側が眠ると買い手側も眠りにつくという“睡眠売買アプリ”を入手する。半信半疑でアプリを使用してみると、実際に睡眠を売り、お金を稼ぐことができた。自分の眠りが誰かの助けになることで、自信を失っていた真夜の心も救われていく。
©︎七瀬八/コアミックス
自分の睡眠を売ることができる世界というのは面白い設定ですよね。無職生活を送っている主人公が睡眠を売るようになるっていう導入を読んだときは、最後ひどい目に遭うブラックユーモア系の話なのかなって勘ぐっちゃったんですが、そうじゃないんですよね。いろんな理由で眠れなくなった人たちを描く、心温まるヒューマンドラマになってるのが素晴らしいなと思いました。
作中で出てくる「(ヒトは)明日死ぬなら眠らない」ってセリフが印象的です。眠るのって明日を元気に生きるためのもの行為なんだっていうのは、シンプルだけど深いテーマだなって思いました。忙しくて心や身体がもたなくなってる人たちの希望になるような作品ですね。
「神々の権能を操りし者~能力数値『0』で蔑まれている俺だが、実は世界最強の一角~」
原作:黒、漫画:櫻井一輝、キャラクター原案:桑島黎音
マンガボックス
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超常の力を持つ“能力者”が現れ出して百余年。能力の強さを示す能力数値は、社会的な地位や名誉に大きく影響するようになっていた。そんな中、能力数値0の無能力者として周囲から冷遇されている柳隼人。しかし実は彼、能力が強大すぎるため数値が0となってしまうだけで……。その真価が周囲に露見したことで、隼人は表舞台に嫌々立たされることになる。
©︎黒・櫻井一輝・桑島黎音/マンガボックス
能力が数値として表れる世界で、主人公は数値「0」なんだけど、実は強すぎて逆に表示数値がバグっているだけっていう設定はくすぐられますね。異世界ものではないですけどファンタジー要素がある現代物っぽい舞台設定。僕は異世界ものも割と好きなのでやっぱり刺さります。
めちゃくちゃ強いモンスターも一撃で倒せちゃったり、テンポもいいし爽快感たっぷり。それまでバカにしていた連中への復讐ものっぽい場面もあるんですけど、そこでやりすぎないのもいいですね。気持ちいいけど、あんまりやりすぎないから安心感がある。主人公が能力を人に見せるようになるきっかけが妹のためっていうのも素敵です。
「君と宇宙を歩くために」
泥ノ田犬彦
講談社
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勉強もバイトも続かないヤンキー・小林大和。ある日小林は、先輩から怪しいバイトに誘われていたところを、転校してきたばかりのクラスメイト・宇野に助けられる。宇野はマルチタスクや大きな音が苦手で、人と同じように生活するため工夫して毎日を過ごしていた。小林は、宇野のことを知れば知るほど彼の生き方に惹かれ、自分も変わろうと思うようになる。“普通”が苦手な2人が、壁にぶつかりながらも楽しく生きるために奮闘する。
©︎Doronoda Inuhiko/講談社
すでにいろんなところで評価されているし、僕も読んでいましたが、今回改めて読み直しても泣いちゃいました。主人公の1人である宇野くんは人と同じように生活をするのに工夫がいる人なんですけど、自分で作った手帳を心の命綱にしてとても前向きに生きている。
僕もトータルで10年くらい海外で暮らしていたので、日本に戻ってきたとき、日本の“普通”がわからなくて戸惑うことがありました。宇野くんたちとはまた違うけど、“普通”に生きることの難しさには共感する部分が大きい。わからないって怖いんです。でも、知れば怖くなくなったりする。知ること、コミュニケーションの大事さを改めて教えてくれる、現代を生きるための教科書みたいな作品だと思います。
「サイコアイズ」
カトウタカヒロ
小学館
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昔から人の縁が糸として見える渡辺経。その特異な体質により、人とのつながりを避け、働きもせず家に引きこもる日々を送っていた。そんなある日、経は警察官から強引な職務質問を受ける。その警察官たちは、経と同じように見えないものが視える目を持った超能力者“サイコアイズ”で……。サイコアイズたちが属する念視特別捜査班、通称マルメの仲間となった経。尊敬できる師に導かれながら、事件解決への一翼を担うことになる。
©︎カトウタカヒロ / 小学館
人の縁が糸のような形で見える少年が主人公の特殊能力ものですが、第1話で警察の善さんがその能力に気づく場面でまずテンションが上がりました。ググッと目を見て、瞳の中に何か映ってるぞって気づくっていう。「超常的な感覚とかでなく、物理的に見えるものなんだ!」っていうのは斬新! 自分の目にも何かないか、鏡とか見ちゃいますね(笑)。
警察の中にサイコアイズという特殊能力持ちが集まる部署があるっていうのもアガりますね。で、ちょっと日陰部署っぽく扱われてるけど、いざとなったらめちゃくちゃなことしちゃうというのも最高。ベタだけど、ベタってやっぱり面白いですから。いろんな伏線や因縁もちりばめられていて、すごくワクワクする少年マンガです。
「社長令嬢復讐日記」
wato、柞、スズキユカリ、えんがわ、おとうふ
シーモアコミックス
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県内一の進学校に現れた、謎の美女転校生・早乙女美玲。彼女は「世のため人のため、この社会を正すこと」を使命に、この学校にやってきたと言う。生徒会長、高校生起業家、超人気インフルエンサーの同級生3人から陰湿ないじめを受けている男子生徒の姿を見て、美玲は大胆な行動を起こす。
©︎ wato/柞/スズキユカリ/えんがわ/おとうふ/シーモアコミックス
やっぱり復讐ものは電子コミックの華というか、一大トレンドですよね。健気な妹が犠牲になるみたいな復讐ものの定番胸クソ展開も押さえた作品ですけど、この作品は復讐するのがいじめられた本人じゃなくて、転校してきた社長令嬢というのが新しい。賢くて美しいだけでなく、お金も権力もあるというフルスペックな存在で、そんなやつが復讐に手を貸したらそりゃ強いですよ!
復讐ものの悲しさって、復讐しても失ったものは取り戻せないし、自分の手も汚れてしまうところですけど、この作品は社長令嬢が手を汚してくれる。復讐が終わった後、いじめられていた人たちが元気に生きていけるかもなって思えるのもいいです。
「16年目の復讐~奴らを地獄に送るまで」
著者:桜宇宙、制作:FTops
ファンギルド
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高校での過酷ないじめと、不可解な妹の死から15年。32歳になった渡辺優真は、世界に希望を見いだせず引きこもっていた。そんなある日、彼の家に3人の強盗が押し入る。それは、かつて優真をいじめていた男たちだった。暴れ回る彼らの口から語られたのは、妹の死の真相。強烈な怒りを胸に優真は心と身体を鍛え上げ、復讐のため立ち上がる。
©︎桜宇宙/FTops/ファンギルド
復讐ものはまず最初に読んでいても苦しくなるようないじめ描写があるわけですけど、それがキツければキツいだけ復讐も強烈になっていきますよね。それで言うと、この作品は家族も奪われ、本人も30代まで引きこもりになってしまうというかなりエグい目に遭っている分、人生を捧げた復讐になっているので、強めのスッキリ感が欲しい人におすすめしたいです。
「絶望を与えるにはまず希望を与える」っていうのもキラーフレーズですよね。いじめていた連中が使っていた言葉ですけど、その言葉通りに復讐していく。カミソリの詰まった箱に手を突っ込ませるとか、1つひとつの復讐の手法も凝っていて目が離せなくなります。
「先生! 僕たちが世界を滅ぼします。」
小林キナ
(スクウェア・エニックス)
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凄腕の殺し屋である魔導士・ソロは、上からの指令で魔法学校に教師として潜入することになった。任されたのは、学年の落ちこぼれが集まる2年D組の担任。しかし、やがて今回の標的が2年D組の生徒全員であることを知る。生徒たちは将来、この国を滅ぼす魔導士になると予測されていたのだ。だが、生徒たちを正しく導けば、その未来も変えられることが判明。まだ罪のない生徒たちを殺したくないソロは、任務遂行のための演技ではなく、本気で“いい教師”を目指すことになる。
©︎Kina Kobayashi/SQUARE ENIX
悪い魔法使いを殺すことを生業にしている主人公が、魔法学園に潜入して、ターゲットが将来世界を滅ぼすと予知されているけどまだ何もしていない生徒たちであると知って、殺すのでなく導いていくことになるというのが面白い! 荒れたクラスを導く先生というのは教師ものの王道ですけど、ファンタジーという世界でその系譜を継いでいるのは新鮮です。生徒として潜入している同業の魔法使いがいるっていうのも新しいですね。
それに加えて、ミステリ要素もあるのも魅力ですね。普通の生徒たちがどういう経緯で将来世界を滅ぼす存在になってしまうのか、それをどう変えていくのか、先が気になる作品です。
「魔法医レクスの変態カルテ」
元三大介
新潮社
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魔王が討ち滅ぼされ、平和が訪れた世界で診療所を営む魔法医・レクスを軸に描く“異世界ヘンタイ診療コメディ”。彼のもとには、スライムを思わぬ用途に使ってやらかしたり、魔物を遊び道具にして痛い目に遭ったりと、救いようのない患者たちが次々と訪れる。
©︎元三大介/新潮社
エッチな目的でスライムを使っていたら膀胱に入っちゃったとか、ファンタジー世界での性事情とか性の悩み、不適切な行為を描いた作品で、もう単純に笑っちゃいますね(笑)。ただ、案外そういう問題に真面目に向き合ってる。現実世界でもあるような性のトラブルをファンタジー世界に落とし込んでいるから本格感もあります。なんかわからないけど勉強になった気になってしまう(笑)。
先生のキャラクターも魅力ですよね。パッと見は冴えない感じなんだけど、凄腕で、実はバトルなんかもできちゃう。少年マンガのパロディ・オマージュだろうという描写もあったり、作者さんが少年マンガ好きな方なんでしょうね。そのへんも面白いです。
「洞窟人間」
岡田卓也
日本文芸社
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東京から実家へ5年ぶりに戻ってきた青年・一は、幼なじみ5人とともに地元のオカルトスポット“人喰い洞窟”の探索にやってきた。しかし突如として洞窟が崩れ、一たちは生き埋めになってしまう。目を覚ますと、一の目の前に奇妙な人型の生き物“洞窟様”が現れて……。怪物なのか、地域を守る神様なのか、得体の知れない恐ろしい存在に一同は対峙する。
©︎岡田卓也/日本文芸社
岡田先生はもともと動物をモチーフにしたマンガを描いていましたけど、どこかにグロテスクな部分みたいなものがずっとあった。「動物人間」あたりからその方向にグッと舵を切ってきたなと思っていますが、この作品もそうですね。田舎に帰ってきて、調子に乗った若い連中がタブーとされているところに足を踏み入れてっていうパニックホラーの美学めいたものを感じるのもいいです。
洞窟人間というのがいったい何者なのかとか、この場所がどういうところなのかとか、次から次へと謎が出てくるから、とにかく先が気になりますね。本当にこの先どうなっちゃうんですか? 早く知りたいです!
「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」
まるよのかもめ
白泉社
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営業事務として働く21歳・望月美琴。おっとりほんわかな彼女の幸せは、「ガッツリ」「こってり」「山盛り」の食べ物をドカ食いすることだった。カロリーのオーバードーズで“至る”望月さんを描く、限界突破の禁断グルメギャグだ。
©︎まるよのかもめ/白泉社
もはや紹介するまでもないくらいの話題作ですよね。僕もココイチとのコラボメニューとか食べに行きました(笑)。
主人公がドカ食いして“至る”様子を描くという危険なマンガなんですが、反面教師になって自分はやらずに済む。自分ではできない危険なチャレンジを、全身全霊、命をかけて代わりにやってくれている感じがいいんですよね。みんなが健康や普段の食事をすごく意識する時代だからこそ生まれた作品という感じがしますね。炭水化物を過剰にとってはいけないとか、みんながいろんな規範意識に縛られているからこそ、望月さんの命知らずな姿に惹かれる。望月さん、死なないでね!!
「ベイビー車中ハッカーズ」
たびれこ
集英社
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クラスに馴染めず、どこか息苦しさを感じている女子高生・夜凪富士。彼女にとって、自宅の庭先での車中泊が唯一の憩いの時間だった。ある日、同じ学校の陽キャ女子・一ノ瀬朝日にその趣味を知られ、興味を持たれる。女子高生ながら車の免許を持っている朝日は、自分が運転して好きなところに連れて行くから、車中泊のことをもっと教えてほしいと富士に言ってきて……。この日の出会いから、2人の車中泊ライフが始まる。
©︎たびれこ/集英社
車中泊をテーマにしたガールミーツガールですね。車中泊の車ってところでワクワクします。移動式の秘密基地って感じじゃないですか。僕もコーヒーが好きで自分で豆を挽いたりしますけど、これを車中泊でやったら最高だろうな、という感覚を味わわせてくれる。お腹の空くいいマンガですね。
主人公2人の関係性もいいんですよね。あんまり人と関わらない猫っぽいタイプの富士と、人懐こくてグイグイ来る犬っぽい朝日という対称的な2人が徐々に近づいていく。お互いにできないことを補い合ってるところもいい。富士は車があるけど免許がない。朝日は高校生だけど、留年を経験しているから免許がある。2人ならできなかったことができる、行けなかった場所へ行けるというコンビ感があります。
「ホストと社畜」
河尻みつる
双葉社
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ハードワークなシステムエンジニア・直人と、人気ホスト・蓮。歌舞伎町の牛丼屋で決まって早朝に顔を合わせる2人は、あることをきっかけに一緒に朝食を取るようになる。並んで朝ごはんを食べるだけの関係だが、意外な共通点が見つかったり、相手のおかげで考え方が変わったりと、不思議な友情が育まれていく。
©︎河尻みつる/双葉社
朝5時の牛丼屋で、仕事を終えたホストと出勤前のエンジニアという真逆の時間を生きる2人が出会う。コンセプトから心惹かれる作品です。それぞれの抱えてるドラマがこの牛丼屋の短い時間に集約されていくんですよね。普通だったら交わらない2人だからこそ、交流の中で見いだせるものや補完し合えるものがある。関わる時間こそ短いですけど、バディもののような関係だと感じます。
あと、この2人を見守る店員さんもいいキャラですね(笑)。BL目線で見ちゃって盛り上がってしまうという。主人公2人もここでの時間でふっと肩が軽くなるし、見ている人、読んでいる僕らも前向きになれる作品です。
「三郷さんは甘すぎ上司にちょっとキビしい」
くろたま
芳文社
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仕事ができるうえに美人で、周囲からも一目置かれている三郷。そんな彼女は、優しすぎて部下になめられているおじさん上司・小西川に対し、もう少し威厳を持ってほしいとたびたび苦言を呈している。しかしその厳しい態度の裏には、小西川に対する隠された思いがあって……。厳しさとかわいさのギャップが魅力の年の差オフィスラブコメだ。
©︎くろたま/芳文社
自分にも他人にも厳しい三郷さんと、上司ではあるけれど部下に甘い小西川さんという、これもいいコンビですね。小西川さんが、昔はバリバリやってたけどいろいろあって今は丸くなったっていうのも刺さるんですよね。「SLAM DUNK」の安西先生みたいというか。そういうキャラクター好きだったって思い出させてくれました。
で、普段は困り顔って感じだけどいざというときはちゃんと部下を守ってくれるんですよね。そのギャップにやられちゃいます。ツンツンしてるけど本当は小西川さんにドキドキしてる三郷さんには「がんばれ!」って気持ちになりますね。応援したくなる2人です。
この作品を挙げるのはちょっとズルい気もするんですが、どうしても1作品だけとなったらやっぱりこれになります。生きづらさ、“普通”の難しさみたいな作品のテーマがすごく大きくて、どんな人も共感するところが見つかると思います。ものすごく普遍的な寄り添い方をしてくれる作品ですね。
結果発表は2026年2月頃。
果たして、どの作品が男性部門の部門賞に選ばれるのか──。
11月上旬には中間発表が行われ、各部門の暫定上位5作品が明らかになる。
プロフィール
吉川きっちょむ(ヨシカワキッチョム)
1988年12月11日生まれ。吉本興業所属のピン芸人。“吉本一マンガに詳しい芸人”として活動し、よしもと漫画研究部の部長を務める。これまでにTV番組「ヒルナンデス!」「ホンマでっか!?TV」、ラジオ「アフター6ジャンクション」などに出演。さらに、Webサイト・朝日中高生新聞にて「マンガ大好き芸人 読んでアオハる!」を連載している。
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