「アンサンブルデイズ―彼らにも名前はある―」
CASにはさまざまなクリエイターが関わりを持っている。ここでは作曲・編曲家の杉田未央、映画監督・演出家・脚本家の行定勲、CAS第3期の常任講師で劇作・演出家・俳優の堀越涼による、第2期生の「アンサンブルデイズ―彼らにも名前はある―」観劇後の思いを紹介する。
杉田未央
今回もCAS生と松尾さんの戯曲に向き合えて尊い時間を過ごす事ができました。
ノゾエさんの演出、そして2期生の創り上げるアンサンブルデイズは、儚さの中に確かな存在が浮き上がってくるような感覚を覚えました。千穐楽、コクーンの扉から出ていく彼らには力強さも感じ胸が熱くなりました。音楽は1期生の時と同じものなのですが、歌うキャストが変わると、受け取る印象や、心に残る部分が違ったり新たな視点を得られました。この作品がこうやって受け継がれていく事、本当に嬉しく思います。
プロフィール
杉田未央(スギタミオウ)
作曲家、編曲家。ミュージカルの稽古ピアノやライブサポート、ゲーム音楽の作曲、アレンジ、ライブに於けるアレンジなども行う。2016年よりバンド・MAGI©PEPAでキーボードを担当。
行定勲
「アンサンブルデイズ」とにかく面白かった。
この作品には、物語を牽引する絶対的な主役がいない。
いや、松尾さんは意図的に“主役”を存在させなかったのだと思う。
舞台の中心にいるのは、怒りやもどかしさを抱えながら、主役にはなりきれない若者たちだ。
彼らは器用に立ち振る舞うこともできず、地べたに手をつき、這いつくばりながらも、諦めずに前へ進もうとしている。
その姿が、いつかの自分と重なり、胸が締めつけられた。
だからだろうか。
物語の終わりには、誰かひとりではなく、そこにいる全員が主役に見えた。
そして、その全員が、それぞれのかたちで、確かに輝いていた。
プロフィール
行定勲(ユキサダイサオ)
映画監督、演出家。1997年に「OPEN HOUSE」で長編映画デビュー。2000年に発表した長編第2作「ひまわり」で第5回釜山国際映画祭国際批評家連盟賞、2001年公開の「GO」で第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞。舞台演出も多く、最近では「見知らぬ女の手紙」「先生の背中」などを手がけた。
堀越涼
ノゾエ征爾氏の儚く美しい演出に、第2期生が熱演で応え、独特のほろ苦さを生んだCAS卒業公演「アンサンブルデイズ」。この作品は、どうしてこうも演劇人の胸を打つのか。必死になってアンサンブルを演じていた時期が、僕にも確かにあった。「早くハケて」と言われた日の事を、生涯忘れることは無いだろう。いつか、いつかは、という野心と熱意に溢れた2期生の眼に、客席の俳優たちはかつての自分を重ね合わせずにはいられなかっただろう。眩しい舞台だった。若い俳優たちの将来に、幸多からんことを。
プロフィール
堀越涼(ホリコシリョウ)
脚本家・演出家・俳優。2005年から2021年まで花組芝居に所属。2012年にユニット・あやめ十八番を旗揚げ、2022年には新作狂言の脚本なども手がける。第12回「北海道戯曲賞」にて優秀賞を受賞した。





