「十二人の怒れる男たち」は、レジナルド・ローズによる法廷劇。スラム街で暮らす少年が父親を殺した容疑で起訴された。夏の暑い日、12人の男たちが陪審員室に集まり審議に入る。誰もが少年の有罪を確信する中、1人の陪審員が異議を唱えて……。
会場には、客席に四方を囲まれる形でステージが配置され、ステージ上には長机といすが置かれている。本多劇場では、過去に張り出し舞台が組まれたことはあったが、このような会場構成で作品が上演されるのは今回が初だという。舞台が“開廷”すると、通常の客席から見て舞台奥に設置された扉から、陪審員役のキャスト陣が次々と姿を現した。
テーブルについた陪審員たちは、リラックスしたムードで議論を開始。審議はスムーズに進行するかと思われたが、泉扮する陪審員第八号が「話し合いたい」と一石を投じたことにより、陪審員室にピリッとした空気が走る。第八号役の泉は、自身以外の陪審員全員が有罪を主張するという逆境に置かれながら、事件の矛盾点を淡々と指摘し、根気強く疑問を投げかけ続けた。
あらゆる場面で第八号に反論するのが、山本扮する第三号だ。山本は、堂々とした立ち居振る舞いで、ほかの陪審員たちに圧力をかける第三号を熱演。少々手荒な第三号とは異なり、あくまで紳士的な態度で有罪を主張するのは、塚原扮する第四号。塚原は、巧みな話術で冷静に議論を進める第四号をスマートに演じた。次第にヒートアップしていく議論を、渡邊扮する第一号が収めようとするも、佐藤正宏扮する第十号が絶妙なタイミングで口を挟み、さらに場をかき乱していく。
会場が重々しい雰囲気に包まれる中、第七号役を演じる佐藤正和のコミカルでテンポの良い演技により、場の空気がフッと軽くなる場面も。また、実直だが気の弱い青年・第五号役の関口や、自信たっぷりの広告マン・第十二号役の三津谷といった若手勢も、ベテランたちに負けずとも劣らない存在感を見せた。
上演時間は約1時間45分。公演は5月22日まで。15日、18日公演の終演後にはアフタートークショーが予定されている。
ステージナタリーでは、本公演の特集を展開中。ゴツプロ!メンバーである塚原、浜谷、佐藤正和、泉、渡邊、44の6人が作品への思いを語っている。関連する特集・インタビュー
ゴツプロ! 第7回公演「十二人の怒れる男」
2022年5月13日(金)~22日(日)
東京都 本多劇場
作:レジナルド・ローズ
翻訳:額田やえ子
演出:
出演:
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佐藤正和(ブラボーカンパニー/ゴツプロ!/青春の会) @sato_masakazu
いよいよ本当に始まってしまうのですね。
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