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「ハウ・トゥー・サクシード」は、1961年にブロードウェイで初演され、翌年のトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞を含む7冠を獲得したコメディミュージカル。日本では昨年、クリス・ベイリーによる新演出版が上演され、増田が主演を担った。今回はその再演となる。メインキャストには、
フォトコールでは、物語の発端を描いた1幕冒頭と、2幕の終盤が披露された。幕が開くと、そこには窓拭き用のゴンドラの上で、「努力しないで出世する方法」という本を読んでいるビルの窓拭き清掃員・フィンチ(増田)の姿が。フィンチは、“入るべきは大企業”という本の教えに従い、ワールドワイド・ウィケット社に入社しようと会社にやって来る。そこで、フィンチは社長のビグリー(石川)や、フィンチをひと目で気に入った秘書のローズマリー(唯月)、また社長の甥で、出世欲の高いバド(松下)らと出会い……。
フィンチが作業着からスーツに着替え、会社に乗り込むシーンでは、アンサンブル扮する社員たちが息の合った華やかなダンスを披露し、ワールドワイド・ウィケット社の“大企業”らしさを表現。増田は、社員たちの働く姿に目を輝かせながら、出世への希望を歌に乗せるフィンチを、まっすぐだが、どこか底知れない一面を持つ青年として演じる。また唯月は、ローズマリーの妄想が入り混じった恋心を歌うナンバー「幸せな奥様」を、表情豊かに愛らしく歌い上げる。松下は高圧的なバドを、コミカルな演技で、憎めないキャラクターとして立ち上げた。
2幕終盤では、増田を中心にした鮮やかなダンスシーンが展開。増田は自信に満ちた歌声を響かせながら、会社の役員たちを次々とダンスに巻き込んでいく。やがて舞台上の俳優全員がダンスに加わると、増田は群舞のセンターで圧倒的な存在感を見せた。
フォトコール後に行われた取材会には、増田をはじめとしたメインキャスト9名と、ベイリーが登壇した。増田は、2020年上演版ではベイリーの来日がかなわなかったことに触れ「今回はクリス、そして(演出補のエリザ)ベス(・クランドール)が、直接指導・演出してくださって、すごく刺激的で楽しい稽古場でした」と振り返る。今回が初参加となる唯月は「初演メンバーが、稽古初日から『ウェルカム!』という姿勢で迎えてくださって。ガチガチに緊張していたのですが、皆さんのおかげで一気に緊張が解けました。とても居心地のいいカンパニーで、お家に帰っても『早く稽古場に行きたいな』と思っていました」と笑顔を見せる。
2020年上演版からバド役を続投する松下は「稽古をやっているうちに、セリフをすぐに思い出しました。それくらい、身体に染み込んでいたんだなと」と話し、「去年、“やりきった”と思っていたのですが、クリスとベスのディレクションを通して、まだまだ(作品の)知らなかった部分に気付かされました。新しい『ハウ・トゥー・サクシード』になったかと」と言葉に力を込める。
ベイリーの演出について話が及ぶと、増田は「本当に明確に導いてくださりました。セリフは日本語ですが、僕に『今、まっすーはどういう思いでこのセリフを言ったの?』と問いかけて、『こういうアプローチを加えたらどう?』とたくさんアドバイスをいただいて。言葉の壁も感じず、気持ちの部分で通じ合っていたなと。全部信頼して、ついていきました」と真摯に語る。
ベイリーは「(キャスト陣から)褒められたから、何かお返ししないと……(笑)」と冗談で周囲を和ませつつ、「今、舞台上にいらっしゃる皆さんや、アンサンブル、スタッフの皆さんと1つのチームとしてこの作品を作り上げられることを、とても贅沢に感じます。皆さんの才能や、個々の個性など、いろいろなことが複合的に合わさって、このように、また新しい公演を作ることができました。本当に幸せです」と思いを述べる。
司会が、2011年にブロードウェイでダニエル・ラドクリフがフィンチ役を演じたことに言及したあと、ベイリーに増田の印象を尋ねると、増田は「(ラドクリフと)比べた感じになっちゃいませんか!?(笑)」と焦った声を上げる。ベイリーが「(ラドクリフと同様に)増田さんも本当に素敵な方です。(増田は)どなたよりも真面目で、あまりに一生懸命お仕事をされるので、この間オフ日を作って無理やり休んでいただいたぐらい(笑)。優雅なまでに座長の役を務めているのは、ダニエル・ラドクリフと同じですね」と増田に笑顔を向けると、増田は「……ダニエル・ラドクリフさんとまったく一緒でございます!(笑)」とうれしそうに述べ、会場の笑いと拍手を誘った。
最後に増田は「本作は1961年に初演されたミュージカルです。クリスから、作品の舞台となるアメリカの、当時の時代背景を教えてもらいながら、作品の理解を深めてきました。また、単純に『観て楽しい』と思える作品でもあります。素晴らしい時間を、1人でも多くのお客様に過ごしていただけるよう、1日1日しっかり公演を行っていきますので、楽しみに劇場までお越しください」と来場を呼びかけ、取材会を締めくくった。
東京公演は12月7日まで。そのあと、14日から16日まで大阪・オリックス劇場公演が行われる。
ミュージカル「ハウ・トゥー・サクシード」
2021年11月20日(土)~12月7日(火)
東京都 東急シアターオーブ
2021年12月14日(火)~16日(木)
大阪府 オリックス劇場
原作:シェパード・ミード
脚本:エイブ・バローズ、ジャック・ウェインストック、ウィリー・ギルバート
作詞・作曲:フランク・レッサー
演出・振付:クリス・ベイリー
翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:荻野清子
演出補:荻田浩一
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