笑福亭鶴瓶の「無学 鶴の間」|鶴瓶がシークレットゲストと共に送る配信番組を徹底レポート。第33回ゲストはファーストサマーウイカ。

2022年5月にスタートした笑福亭鶴瓶の「無学 鶴の間」(U-NEXT)は、大阪・帝塚山にある寄席小屋「無学」を舞台にした配信番組。毎回、シークレットゲストと鶴瓶がトークを展開している。お笑いナタリーではその第1回から、配信後に番組の様子をオフィシャルレポートとして掲載中。ゲストの魅力を引き出す鶴瓶の話術を楽しんでほしい。

文(レポート) / 川口美保

「無学 鶴の間」第33回レポート

笑福亭鶴瓶×ファーストサマーウイカ(2025年3月8日配信)

「無学 鶴の間」
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清少納言を演じてわかったこと

「ファーストサマーウイカという、競走馬のような名前でやらせていただいています」

鮮やかなオレンジのエスニックな衣装を纏ったファーストサマーウイカが、そう挨拶した。

鶴瓶が「やらせていただいております、って、完全に芸人やんか」と笑う。

ファーストサマーウイカ。昨年2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」では清少納言という重要な役を見事演じ切り、バラエティ番組のみならず、俳優としての存在感を世間に知らしめた一年となった。しかもそのミステリアスな名前と意志の強い顔立ちは印象的で、「10年ぐらいおりそうな面構えやねって言われるんです」とウイカ自身は苦笑するが、「テレビに初めて出たのは2019年」と比較的最近のこと。鶴瓶も「堂々としてるからな」と言うと、「厚かましいんでね。実際会う人からは、もっと大きいと思いましたってよう言われるんですよ。やっぱ態度がでかいんでしょうね(笑)」と返す。

「ファーストサマーウイカ」という名前は、本名の「初夏(ういか)」を生かし、「横文字風に2回重ねて名前にした」という。「イベントや舞台出るにしても、チラシに書いてある名前が長いと目に入るでしょ」とウイカ。実際、大河ドラマでも「ユースケサンタマリアさん以来の長さだった」と笑う。

そんなウイカが演じた「清少納言」、その役に選ばれてわかったのは、「自分と性格がそっくり」だったということ。

笑福亭鶴瓶

笑福亭鶴瓶

ウイカ 「枕草子」はエッセイなので、人間性が詰まってるんですよ。

鶴瓶 どんなんやったの? ハッキリ物言うの?

ウイカ 清少納言がもしこの時代におったら、ひな壇総ナメしてます。

鶴瓶 そう?

ウイカ ほんまめちゃくちゃ面白くて、自分がお仕えしてた藤原定子というお姫さんがいたんですけど、その人の素晴らしい人生を書き残すところもあり、それとは別に「あるある」をいっぱい書いてはるんです。たぶん、日本最古の「あるあるネタ」。例えば、宮中で「何々さん」みたいな感じで呼ばれて、「はい」って返事して行って人違いやったときめっちゃ気まずいなあ、みたいなこととか書いてあって。

鶴瓶 そんなん書いてるの? へえ!

ウイカ しかもそれが、なんか物もらえるときやったらなおさら恥ずいなあ、みたいな。そういう「あるある」が。

鶴瓶 平安時代に。

ウイカ そうなんですよ、平安時代に。坊さんの長い説教が鬱陶しいな、どうせやったらイケメンの坊さんがええなあ、とか、そういうバラエティのひな壇のエピソードトークみたいなのがギュッと書かれてて、それをちょっと辛口で書いてるんですよ。ブロガーというか、ブログの先駆けみたいな感じですよね。

ファーストサマーウイカ

ファーストサマーウイカ

鶴瓶 俺ら「枕草子」という題名は知ってるけど、何書いてあるか知らんもんな。

ウイカ 頭の「春はあけぼの」のところしか習わないじゃないですか。実はめちゃくちゃオモロくてね。でも、だから残っていったんやなと思いました。

鶴瓶 オモロいから。

ウイカ 普遍的というか、1000年前の人も同じことを考えてたんやなと。

鶴瓶へ質問「性善説が基本?」

ウイカは大阪生まれ。高校卒業後に大阪の劇団で舞台俳優として活動したが、5年間の活動を経て東京へ。とはいえ、芸能事務所に入ったわけでもなく、大阪時代にバイトで貯めた100万円を持って上京。笹塚の4畳半風呂なしのアパートに暮らし、「最初は、ほんまに何もやることなかった」と振り返る。


鶴瓶 そこから動き始めたんやろ?バラエティも出てんねんからな。

ウイカ でもそこまで10年あるんですよ。上京してテレビ出るまでの10年が。

鶴瓶 お前、いくつやねん!

ウイカ 私、今年35歳の年になります。

鶴瓶 歳わからん顔やな(笑)。

ウイカ 18で劇団入って、22で上京させてもらって、ほんとにやることなかったから、ずっと1日中、部屋の何もない床でスマホ片手で寝転んでいたんです(と、ステージの床に寝転がる)。で、夜に、あの辺飲み屋さんとかあるんで行って飲んで、みたいな感じだったんですけど、そのときにアイドルグループが募集してるのをTwitterで知って、曲も聴いたことないし、メンバーの人も知らんけど、とりあえず行ってみたんですよ。ほな、受かったんですよ。失礼な話なんですが(笑)。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

鶴瓶 え、受かったの!?

ウイカ いきなりavexのメジャーグループに入れるっていう感じやったんで、とりあえず行ってみようと思って行ったら受かったんです。だから突然アイドル人生みたいな。


2013年、アイドルグループ・BiSの第一期の新メンバーとして加入。「アイドル界の異端児」として過激なパフォーマンスで話題となったBiSは、カルト的な人気を誇り、2014年7月の解散コンサートでは横浜アリーナのステージに立つまでとなった。

「運があるわな」と鶴瓶が言うと、「運は強いですね。運と縁が大きいです」とウイカは頷いた。

ウイカは鶴瓶が「家族に乾杯!」などで、一般の人たちともすぐ仲良くなれることが自分には不思議なのだと話す。

「鶴瓶さんは知らん人と連絡先交換したりしてるじゃないですか。どこからをお友達としてはるんかが、私にはちょっとわからない。私は基本的に、世の中を信用していない。だからそういう意味では、私と鶴瓶さんは対極なので、本当に尊敬します」とウイカ。

「性善説が基本にあるんですか?」と、率直に鶴瓶へ問いかけた。


鶴瓶 いやいや、相手が悪かったら怒ったらええねん。あんまりしつこかったら、「お前何言うてんねん」って。

ウイカ すごいですね。それができない。

鶴瓶 でもこちらがちゃんと信用すると、向こうもある程度信用してくれる。

ウイカ 確かに、鶴瓶さんやったら、どんなにこの世の悪の組織のてっぺんの人でも、なんなら「鶴瓶さんのためやったらなんでもします!」みたいに、心がひねくれてしまった人でも更生する気持ちはすごくわかる。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

鶴瓶 でも芸能界に友達は何人かいてるんやろ?

ウイカ 何人かいますけど、鶴瓶さんは同級生の友達の方とかよく話に出てくるじゃないですか。マネージャーさんとか、みんなスタッフさんがファミリーみたいな感じですよね。私、それもすごく不思議で。

鶴瓶 え!? ウイカはそんなタイプやと思ってたけどな。

ウイカ そう思いますよね。私もそう思ってたんですけど、やっぱりそこは距離があるんです。

家庭があるとがんばれる

実はウイカ、毎朝エゴサーチをするそうなのだ。というのも、今はネットでいろんなことを好き勝手に言われてしまう時代。特に表に出る人たちはその標的にされることも多く、「誰がどこで何言うてるかわからへんと思うと怖くて。自分がそこの矢面に立たされてないか、朝一番に確認する」のだという。

一方、鶴瓶はというと、ネットはまったく見ない。年末年始の「歴史に残るとばっちり」となったバーベーキュー騒動も、「いろんな人から、大丈夫かってめっちゃ言われたけど、何が大丈夫やの、なんやの?って」、どういうふうに書かれていたか知らないのだと話す。

ウイカが「いや、ほんま知らぬが仏です」と言うと、鶴瓶、「全然知らん人が何言おうとどうでもええわと思うてるからやな。人生を俺とともにしてへんのに何言うてんねん、と。いや、言うのも勝手やし、言われる商売やもん、俺ら」。


鶴瓶 でも、うちの家族が傷ついたりとなったら、俺も乗り込んでいくけどな。

ウイカ いや、私もそうなんです。家族がいるので。だから、もし家族に火の粉かぶったら、許せないんです。私はほんまに、それこそ編集部にカチコミ(ヤクザが敵対する組の事務所に襲撃をかけることの俗語)に行くと思います。

鶴瓶 やめろ! カチコミ、言うの! 清少納言がカチコミに行く!(笑) あ、でもそういうのはやっぱり普通の人は気にすんねんなあ。


2人の話は自身の家族のことにも及んだ。鶴瓶も大学時代に知り合った女性と22歳で結婚しているが、ウイカも24歳で一般人と結婚し、もう10年になるのだという。

笑福亭鶴瓶

笑福亭鶴瓶

鶴瓶 だから落ち着いてるんやろな。やっぱり家がある、夫がおるっていうのはラクやんか。

ウイカ そうですね。鶴瓶さんも若くして結婚されたんですよね。まだ私には子供はいないですけど、家庭があるとがんばれますし。言うたらあれですけど、こういう業界って変な人ばっかりやから。

鶴瓶 おまえ、人を疑いすぎや(笑)。ええやつもおるで。

ウイカ いや、基本的にはみんなええ人です。本当に素晴らしいし、優しくて、仕事でも賢明な人ですけど、元々がやっぱ個性が逸脱してるっていうか。

鶴瓶 ワハハ! まあ、元々はね、ちょっとやんちゃな人もいたりする。

ウイカ 「不適合」っていう言葉じゃないですよ。ただ、もう個性が爆発している方。

鶴瓶 「不適合」やんか!

ウイカ 違います違います。アーティスティックな方もいらっしゃいますし。でもこういう世界で、金銭感覚とかもどんどんと変化していってしまうものが、やっぱちゃんと地に足つけた、いわゆる標準的な平均年収とかね、朝仕事行って夜帰ってくるっていう生活スタイルの人がそばにいると、調子乗らない。驕らない、というか。

鶴瓶 だから、それがうちは嫁や。嫁が俺の常識。すぐ怒ってくれるからね。すぐ怒られるよ(笑)。


とにかく日常生活ではダメ人間だと苦笑いする鶴瓶。家では妻によく怒られると言うと、ウイカも同じだと笑う。

「だから私たち、不適合の方ですよ」とウイカが言うと、「それ、うちのやつもよく言うわ、あなたは社会不適合や、って」と鶴瓶が重ねる。しかしだからこそ、「あの人がおるからええねん。きっちりしてるで」と言う鶴瓶に、「きっちりしてる人と一緒になるのがいいですね。芸でめちゃくちゃやる人たちは」とウイカも深く頷いた。

鳥肌が立つような縁

そして再び、「運と縁」の話へ。ウイカのブレイクのきっかけとなったのは、くりぃむしちゅーの上田晋也MCの番組「上田と女が吠える夜」が始まる前のパイロット版となった番組「女が女に怒る夜」だった。その出演オーディションに挑み、「女の悪口、ぶわーっ言うて受かりまして」とウイカ。それがタレントとしてのテレビデビューとなり、その関西弁での奔放な物言いが面白がられ、それをきっかけに一気にバラエティ番組に呼ばれるようになったのだ。


ウイカ そのプロデューサーは女性のプロデューサーさんなんですよ。その人がもちろん私もオーディションでとってくれたんですけど、私が大河ドラマ決まったときに声かけられて、「私、『枕草子』をバラエティ番組にしたくて、『上田と女が吠える夜』をはじめたんです」と言われたんです。

鶴瓶 へー!

ウイカ 「枕草子」に「あるある」があるってさっき言ったじゃないですか。女が女の悪口言ったりするときもあるんですよ。「不細工やのにあいつうるさい」とか結構辛辣なこと書いていたりする。今ではコンプラ的にアウトなのこともいっぱい書かれてたりするんですけど、プロデューサーさんはそれをバラエティ番組にできへんかと思ったそうなんです。女の人が女のこういうのイラっとするよねみたいな「あるある話」ができる番組作ろうと思って作った番組に、彗星のごとく現れ! そこからテレビスターになり!(笑)

鶴瓶 いや、ほんまにそうやな。「こいつなんなんや」ってまず言われるよね。名前もそうやし、こいつ誰やって。

ウイカ どこからどう出てきて、なんなん、っていう。

鶴瓶 それ、大事や。

ウイカ そうなんです。それをこう遡れば、「枕草子」をテーマにしたバラエティ番組のオーディションで受かった私が、ほんまに大河ドラマで清少納言やってるって。

ファーストサマーウイカ

ファーストサマーウイカ

鶴瓶 回りまわって、やっぱ繋がってる。すごいな。

ウイカ それを聞いたときはほんまに鳥肌立ちました。それは縁やなあと思いました。

いつアフロ、やめはったんですか?

さらに話題は、ウイカが出演した「家族に乾杯!」のことに。祖父母との思い出の地、兵庫県淡路島を訪ねたウイカ。淡路島の人々と交流する彼女の飾らない人柄が映し出されたこの回は、「光る君へ」がはじまったばかりの放映ということもあり、ウイカ自身の魅力を知ってもらうきっかけにもなった。

ウイカもこのロケは「面白かった」と振り返る。しかも放映後、いつものようにエゴサーチをしたところ、「めちゃくちゃ評判もよかったです。好きになったって言ってくれた人もたくさんいて、ほっと胸を撫で下ろした」と話す。しかし、それでもウイカの行動を観て、辛辣なことを書き込む人もいたそうで、それを聞いた鶴瓶は「そんなやつは、ずっとそんなことばっかり言うてるで。情けないやつや」と言い放った。


鶴瓶 そんなん全然気にならへんわ。アホやな、思てる。

ウイカ 心にね、鶴瓶さんがいてくれたらね、アホ言うてんなと思うかもしれないですけど、鶴瓶さんを好きで番組を観てくれてはる人が、私の行動を見て、ちょっとでもテンション下がってんのが、どこかで傷ついてるんですよね。優しいから、私が。

鶴瓶 2人でそいつの家の前、立ってやろ!

ウイカ ワハハ! なんで急に過激派になるんですか!? 行動力ありすぎます(笑)。

鶴瓶 案外過激派やで。

ウイカ いや、それ思いました。ここまで私の来歴を簡単になぞらせていただきましたけれど、師匠もえらい尖ってはったんですもんね、昔。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

鶴瓶 いや、尖っていたというか(笑)。

ウイカ 今の格好、アフロにしたら、かつてのオーバーオール姿に見えますけど、そんな人、落語の世界にはいなかったわけでしょ?

鶴瓶 そうやなあ。

ウイカ いつアフロ、やめはったんですか?(と、鶴瓶の頭を見て) いや、ごめんなさい、そういう「自然に」とかじゃなくて(笑)。

鶴瓶 おい!

ウイカ 違う違う違う、失礼しました(笑)。

鶴瓶 自分が納得したら、これはやめとこうかなとか思うけど、自然やで。

ウイカ 自然にアフロになります?

鶴瓶 なるか! 自然にアフロになったら、それ、他の血、入ってるわ!

ウイカ でも落語をやる中で、きっと、誰もやってないことしようみたいに思った時期があったわけですよね。

鶴瓶 というのはね、その時代、本当に上方落語って、全然見向きもしてくれなかったのよ。

ウイカ そんなに人気コンテンツじゃなかったんですか?

鶴瓶 そう。そういう中で、(桂)三枝兄さん(現・桂文枝)や(笑福亭)仁鶴兄さん、(桂)文珍兄さんが出てきて、少しずつ大阪の落語家が知られるようになったけど、それでももっと、東京に上方落語家を送って、上方落語を全国に広めたいというのが、うちらの願いだった。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

ひらめきが運命を決める

今でこそ、大阪にも寄席も出来て、東京にも進出する人気の上方落語家が増えてきたが、鶴瓶が入門した1972年当時、上方落語家の人数は少なく、鶴瓶は42番目。そういう中で「向こう(東京)にインパクトを与えようと」アフロにしたのだと明かす。それを面白がって見つけてくれた人たちがいてくれてこそ、早めの東京進出につながったのだ。

「でも、私が知ってる鶴瓶さんは、もうこの鶴瓶さんなんですよ。以前、アフロだったとかは、昔の懐かしい映像を見て知ってるだけなんですけど、私はやっぱり線引きを知りたいんですよ。物事の『そのとき、歴史はこう動いた』みたいな瞬間を知りたくて。アフロから普通の格好しようってなったのがどんなきっかけやったんかなと思って」とウイカが訊くも、鶴瓶からは「明確にはない。明確にあるとしたら、抜けたんや!」と笑う。

それでもその転換期がなんだったのかを知りたいウイカ。というのも、これからどのような方向で行くか考えあぐねているからだと話す。

鶴瓶は「流れに任せたらええんちゃうの? 俺、全然そんなん、このキャラでこうしようとか一切ないよ。自分のしたいことしたらええ」と、自分の経験に重ね、アドバイスした。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

鶴瓶が訊いた。

「これから、(スケジュールに)何入ってんの?」

今は次の撮影に入っているというウイカだが、大河ドラマを終えて、ひとつ変わったことがあると話す。

「私、今まで大きい目標立てたことなかったんですよ。女優さんになるみたいなことも別に絶対じゃなくて、紆余曲折あってこうなりましたけれども、今は、いつか、映画やドラマで賞を獲りたいと言うようにしています。言わなかったら、このままふわ~っとやってしまうような気がして。たぶん、『賞獲りたい』言うて獲ってはる人いないんですよ。そんな恥ずかしいこと言う人いないから(笑)。だけど、そう言おうと思ったんです」

それは、ハッキリと、これからの道を確立させていくことへの覚悟が込められた言葉だった。そしてこう続けた。

「でも映画やドラマは、自分だけの力でもない。だからそういうものを目指せるような作品に出られるような人間でありたいなと思いますね」

ウイカは芸能人の大先輩としてまだまだ鶴瓶に聞きたいことがあったようだが、あっという間に90分が過ぎ、会はお開きとなった。しかし鶴瓶は最後、ウイカにこう伝えた。

「絶対、時期が来る。そして流れが来たら、やる。流れとひらめきや。ひらめきが運命を決めるのよ。そして、自分がひらめいたことを拒絶しないでやる、ということ」

鶴瓶はそうやって「笑福亭鶴瓶」を作ってきたのだ。それは、一体何者なのかわからないところから、その名を唯一無二の存在としていく人にこそ、ひときわ響く言葉に違いなかった。

ファーストサマーウイカ。それが「無学 鶴の間」第33回目のゲストの名前。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

左からファーストサマーウイカ、笑福亭鶴瓶。

ファーストサマーウイカ

ファーストサマーウイカ

第33回(2025年3月8日配信)
笑福亭鶴瓶×ファーストサマーウイカ

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プロフィール

笑福亭鶴瓶(ショウフクテイツルベ)

1951年12月23日生まれ。大阪府出身。1972年、6代目笑福亭松鶴のもとに入門。以降、テレビバラエティ、ドラマ、映画、ラジオ、落語などで長年にわたって活躍している。大阪・帝塚山の寄席小屋「無学」で、秘密のゲストを招いて行う「帝塚山 無学の会」を20年以上にわたって開催してきた。

ファーストサマーウイカ

大阪府出身。高校卒業後、地元大阪の劇団で活動したのち、アイドルグループ・BiSでデビュー。その後バラエティ番組をきっかけにブレイクし、NHK連続テレビ小説や大河ドラマ出演を果たすなど、多方面で活躍中。4月25日(金)公開の映画「花まんま」に出演。

2025年4月17日更新