ポルノグラフィティ、晴天のハマスタで迎えたデビュー25周年「わしらの今はあんたらが作った」

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ポルノグラフィティの野外ワンマンライブ「因島・横浜ロマンスポルノ '24」の最終公演が、彼らのメジャーデビュー25周年記念日にあたる昨日9月8日に神奈川・横浜スタジアムで開催された。

ポルノグラフィティ

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メジャーデビュー25周年を迎える今年、全国ツアー「PG wasn't built in a day」の開催やベストアルバム「ポルノグラフィティ全書 ~ALL TIME SINGLES~」のリリースなど精力的な活動を繰り広げているポルノグラフィティ。今回のライブはアニバーサリーイヤーの一環として行われた。彼らの地元の広島・因島運動公園で8月31日と9月1日に予定されていた2DAYS公演のうち、初日は台風10号の影響でやむなく中止となったが2日目は無事開催。晴天の中で行われた横浜スタジアムでの9月7日、8日の公演には2日間で合計6万5000人が集結した。

25周年当日、3万人に叫んだ感謝の思い

「因島・横浜ロマンスポルノ '24」横浜スタジアム公演の様子。

「因島・横浜ロマンスポルノ '24」横浜スタジアム公演の様子。[拡大]

サイバーパンク風の町並みを作り上げたステージセットに、開演を告げる号砲とともに岡野昭仁(Vo)、新藤晴一(G)が登場。オープニングナンバーとして披露されたのはシングル「青春花道」のカップリング曲「おいでよサンタモニカ」だ。岡野は「Welcome! 横浜!」とこの日限りの歌詞で観客へ挨拶し、「1999年の9月8日にデビューして今日で25年です。この記念すべき日に、この素晴らしい横浜スタジアムでライブができてポルノグラフィティは幸せ者です!」とアニバーサリーライブへの思いを述べた。

その後の「ネオメロドラマティック」で場内の一体感は急上昇。ライブではひさびさに披露された「メジャー」、そして25年前の9月8日にリリースされたメジャーデビュー曲「アポロ」と多彩な楽曲がドロップされ、3万人以上のオーディエンスは完璧に息の合ったハンドクラップと合唱でメンバーたちの熱演を支えていく。デビュー曲を熱唱しながら岡野は「25年間ありがとう!」と感謝を叫び、大歓声を浴びた。

MCで新藤は25年前を振り返り「『音楽でメシを食う』って因島から出てきたけど、体って食ったものでできてるじゃん。調べてみたら新陳代謝で体全体が入れ替わるのに5年かかるんだって。ということは俺は5回ポルノグラフィティとして入れ替わってる、もう100%ポルノグラフィティってこと」と話し、この25年間にソロ活動も展開してきた岡野に対して「あなたは99%ぐらい?」と指摘。岡野は「ミュージカルやっとるけん、あなたも97%ぐらいでしょ」と言い返し、観客を笑わせた。

岡野は因島公演の初日が中止となったことに触れ「悔しい人の気持ちを拭うくらい、因島の2日目と昨日が盛り上がってくれて」と来場が叶わなかったファンへ思いを寄せる。「因島の匂いがする、そんな曲をお届けします」という岡野の言葉に続いては「狼」へ。歌詞に因島の“折古の浜”が登場するこの曲で場内の空気を変えると、ステージ上に炎が吹き上がる中で「OLD VILLAGER」をパフォーマンス。確かなキャリアに裏打ちされた骨太なサウンドで観客を圧倒した。

「こんなに穏やかな横浜スタジアムは初めて」

ポルノグラフィティ

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ポルノグラフィティが横浜スタジアムでライブを行うのは今回が5回目。2人の“雨男”ぶりがファンにも浸透していることから、岡野が「こんなに穏やかな横浜スタジアムは初めてです(笑)。2日間こんなに晴れたことってある?」と問いかけると、新藤は「ない!」と即答。2人はそれぞれ過去の豪雨ライブでの逸話を語り、オーディエンスと過去の苦労を分かち合っていた。そんなMCに続き「わしらが因島におるときは洋楽のバンドがスタジアムライブをやってるのを見て『あんなふうになりたい、一旗上げたい』と思っていました。まだまだこの先も旗を上げ続けていきたい」と意思表明をした2人は、25年を超えても前進することを誓うように「FLAG」へとつなげる。新藤のギターと岡野のボーカルがスタジアムに高らかに響き渡った。

会場に差し込む西日が傾く中で演奏されたのは、2013年リリースのシングル「瞬く星の下で」のカップリング曲で、今回がライブ初披露となった「むかいあわせ」。観客1人ひとりの心に語りかけるような2人の丁寧なパフォーマンスに、3万人以上のオーディエンスはじっと聴き入る。「THE DAY」が終わると明るく照らされていた場内が暗転してステージ上の町並みにネオンが灯り、観客に夜の始まりを告げた。

現実となった“夜の国”

岡野昭仁(Vo)

岡野昭仁(Vo)[拡大]

新藤の妖艶なギターが炸裂したインストチューン「螺旋」のあとは「Zombies are standing out」へ。ステージ上には巨大な火柱が上がり、バックスタンドのリボンビジョンに投影された映像ともあいまって鬼気迫る世界をスタジアムに作り上げた。さらに2人はデビュー15周年を記念して2013年にリリースしたベストアルバム「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」に収録された楽曲「ひとひら」を披露。過去と現在への思いをつづったこの曲を、リリースから10年以上を経てさらに説得力を増した力強い歌声と音色で披露し、観客を感動に導いた。

ライブ終盤では「ヒトリノ夜」「アゲハ蝶」といったヒットシングルのほか、こちらもライブではひさびさに披露された「Jazz up」など初期の楽曲を続々とパフォーマンス。最後に岡野はオーディエンスに「みんなにとってこの空間が心の解放区になってますか?」と語りかけ、「わしらにとっても君らと過ごす時間が最高の解放区になってます。ホンマにありがとう」という言葉を添えて「解放区」を披露した。大サビでは花火が打ち上がり、歌詞で描かれた“夜の国”そのものを観客の目の前に展開。岡野は「わしらの今はあんたらが作ったんです。こんな素敵な夜をありがとう!」と叫び、新藤も力強くうなずく。スクリーンには「わしらにとってポルノグラフィティとは あなたにとってポルノグラフィティとは また答え合わせしよう」と、2人からファンに向けてのメッセージが映し出された。

アンコールでは未発表曲を披露、そして新たな山へ

アンコールで岡野は、9月1日に行われた因島公演の模様が全国の映画館で上映されることを発表。「すごく熱いライブで、気温的にも暑くて……ゆでられたポルノグラフィティが見られるので(笑)、ぜひ楽しみにしておいてもらえたら」とファンの期待を煽った。その後アリーナ後方のサブステージに移動した2人は360°をファンに囲まれて、未発表曲「ヴィヴァーチェ」を演奏した。岡野はこの曲に込めた思いを「多様性という言葉をよく聞く世の中だけど、見えない枠から出られない現状があると思う。その枠を飛び越える、自分を鼓舞するきっかけになれば」と語り、「キミ自身で心躍る音を鳴らせ!」と前向きな歌詞を熱唱。新藤も疾走感たっぷりのギターを響かせ、オーディエンスを熱狂させた。

新藤晴一(G)

新藤晴一(G)[拡大]

サポートメンバーの玉田豊夢(Dr)、須長和広(B)、皆川真人(Key)、tasuku(G)を紹介したのち、2人は観客に改めて挨拶。新藤は爆発的な人気を誇っていたデビュー直後のことを振り返り「いろんな人の力を借りて武道館をやれたりして、それはそれで素晴らしい経験だったけど、25年でこんな大きいところでたくさんの人に祝福してもらうのは意味が違うんだよね」と感慨深そうに話し「ここにまだ立てるのは我々の新記録を打ち立てた気分だし、これからも自分たちなりの新記録を皆さんと更新していきたい」と意気込む。岡野は25周年の活動を支えるスタッフ、そしてここまで歩んできた全国のファンに感謝を述べ「みんなが背中を押してくれたから、今日は25年で一番いい歌が歌えました。20周年の東京ドームからここまで山を登っている感覚があったけど、頂上に登って最高の景色が見えています。5年後も10年後も新しい山の頂上でいい景色を見続けられたら」とまっすぐに前を見据えた。

オーディエンスがタオルを振り回し、ステージ上に多数の花火が上がった「Ohhh!!! HANABI」でお祭り気分をピークに高めたのち、最後に披露されたのはもちろん「ジレンマ」。2人のパワフルなパフォーマンスに3万人の観客は笑顔で腕を上げ、最後の1音まで全身全霊で受け止めた。終演後、新藤は「またね!」、岡野は「これからもよろしく!」と生声で挨拶。互いに固い握手を交わしてステージを降りていった。

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セットリスト

ポルノグラフィティ「因島・横浜ロマンスポルノ '24」2024年9月8日 横浜スタジアム

00. おいでよサンタモニカ
01. ネオメロドラマティック
02. メジャー
03. アポロ
04. 狼
05. OLD VILLAGER
06. FLAG
07. カメレオン・レンズ
08. シスター
09. 愛が呼ぶほうへ
10. むかいあわせ
11. ギフト
12. THE DAY
13. 螺旋
14. Zombies are standing out
15. 今宵、月が見えずとも
16. ひとひら
17. ヒトリノ夜
18. Jazz up
19. ミュージック・アワー
20. アゲハ蝶
21. 解放区
<アンコール>
22. ヴィヴァーチェ
23. Ohhh!!! HANABI
24. ジレンマ

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