連続テレビ小説「あんぱん」で主人公のぶを演じた
2人で撮影を終えることができて本当によかった
まずオールアップを迎えた当時の気持ちを問われると、今田は「のぶと嵩のシーンで撮影が終わったんです。それは涙があふれてしまうような場面で、無事にOKをもらった瞬間はなんだかホッとしました。2人で撮影を終えることができて本当によかった」と安堵の表情を見せる。1週間経った現在の心境については「1年間キャストの皆さんと歩んできたので、『(撮影が)まだ続く気が……』という思いも。ちゃんと実感できてはいないんです。でもクランクアップのニュースを見た多くの方から『お疲れ様』と連絡をもらったりして、心晴れやかな気持ちですね」と笑顔で述べた。
初の朝ドラ主演を経て「ちょっとは自信になったのかな」
今田は撮影を思い返して「のぶとしての感情か、自分の感情かがわからなくなる瞬間がありましたし、カットがかかっても涙が止まらないことがありました。そんなときに『今、のぶとして生きられているんだな』と感じました」とコメントする。「本作の経験を通して成長したこと」に話が及ぶと、「きっと今後『あんぱん』の現場を離れて違うお仕事をしたときに感じるのかもしれませんが……。1年間1つの役に向き合うことはなかなかないので、ちょっとは自信になったのかな」と謙虚な姿勢に。“軍国少女”として生き、終戦によって価値観を180°変えるという役どころを担ったことに関して「当時は世の中の空気感として、戦争反対を大きく掲げることが難しかった時代だと思います。そんな中、のぶは教師として軍国主義を信じ、使命として子供たちに伝えなくてはいけない立場でした。あとになって、のぶもその考えは間違いだったと気付くのですが、撮影時は私自身も複雑な思いを抱えながら演じていました」と言葉を紡ぐ。
のぶと嵩の夫婦関係を振り返る今田は「すれ違う瞬間もありましたが、基本的には自分にない部分を認め合っている2人でした」と切り出し、「もちろん“ハチキン(負けん気が強い)”と“たっすいが(弱々しい)”と異なる性格ではありますけど、常に相手を思いやる部分は似ているんです。そしてお互い、相手に尊敬してもらえるようにがんばる。そういう2人の関係性は、撮影を通して理解していきました。すごく素敵ですよね」とほほえむ。特にキュンとしたのは、のぶが嵩から自費出版した詩集をもらうシーンだったそう。「実際に(今田が)自作の詩をプレゼントされたらどうか?」と問われると「確かに、普段から詩を書く人からでなければびっくりすると思いますが(笑)。でもお手紙と同じだと思うので、やっぱりうれしいし、特別感を抱くのかなと思いますよ」と答えた。
北村匠海は意外と“ひょうきん者”
北村とは過去に映画「東京リベンジャーズ」シリーズなどで共演してきた。今田は「今回は幼なじみから夫婦に関係性が変わっていく。距離感が今までで一番近かったのかなと思います。だからこそ、これまでに見てきた北村さん、知っていた北村さんとは違う瞬間をいっぱい見ることができた」と述懐。以前は何事も俯瞰で見るようなクールな印象があったというが「そういう部分も見せつつ、意外と“ひょうきん者”なんだなと思いました(笑)。長期間の撮影だったからこそ知れた部分ですね」と打ち明ける。特に晩年の夫婦を演じる期間では「嵩は“たっすいが”なときもあれば、少しおとぼける瞬間もあって。きっと、いせたくやさんや六原永輔さんらに出会うことで外向的になれたのかなと。その嵩の姿は北村さんに似ていたのかなと思います」とも語った。
さらに「嵩役が北村でよかった瞬間」に話題が移ると、今田は北村を「すごく周りを見ている方」と評し、「1年間の撮影の中では迷い悩むことが多々ありました。その中でサポートしてくださって、『これってどう思う?』という相談にも応じてくれた。そういう面をさりげなく見せてくれる方なので、本当に尊敬しています。今思えば、最初から最後までずっと支えていただいていたなあと……」と回想した。
ビンタするシーンで松嶋菜々子から「いい音が鳴ったね」
嵩の母・登美子は、戦後にのぶと接点ができていく人物。改めて「のぶにとってどういう存在か?」と聞かれると、今田は「のぶは裕福な暮らしをするより、嵩にマンガ家として好きなものを書いていてほしいという願いを持っていましたが、登美子さんは『女性は家庭に入り、男性は家庭を守るために働いて金を稼ぐ』という考え方。価値観は正反対ですが、のぶは登美子さんのバイタリティを尊敬していただろうなと思います。そうじゃなかったらきっと彼女の言葉に対して聞く耳を持たなかっただろうし、自ら彼女のもとに足を運ぶことなんてなかったと思う」と吐露。「嵩さんのことを強く思っているという面では、のぶと登美子とは似た者同士だなと思います」と表現する。
登美子役・松嶋菜々子の印象を尋ねると、嵩と弟・千尋が喧嘩をするシーンを挙げ「のぶが嵩にビンタをするシーンがあったんですけど、結構強めに叩いてしまって……。そうしたら松嶋さんが『いい音が鳴ったね』って(笑)。ちょっとうれしくなりました」とお茶目に笑う。そして「登美子さんの登場の仕方は華やかでかっこいいし、松嶋さんにしかできないと思う。女性として魅力的な部分がたくさんあります」と目を輝かせた。
原菜乃華はカメラが回っていないところでもメイコ
河合優実演じる蘭子、原菜乃華扮するメイコの姉という立場を演じたことに触れると、今田は「3姉妹で過ごす時間は本当に楽しかったです。長女として癒やされている部分がたくさんあった」と表情をほころばせ、「のぶが(若松)次郎さんと結婚する前、最後に3人でラジオ体操するシーンがありますが、撮影では本当に寂しくなってしまって。『ちゃんと姉妹でいられているんだな』と感じた」と回想する。2人との共演については「刺激を受ける毎日でした。菜乃華ちゃんはカメラが回っていないところでもメイコっていう感じで(笑)。2人とも歳下ですが、現場での佇まいから学ぶ面がたくさんありましたね」と称賛した。
「おかえりモネ」出演時の雰囲気と同じように
最後に「朝ドラヒロイン・座長として」にトークが移行すると、今田は「『あんぱん』がとても優しくて温かい作品なので、現場も同じような雰囲気でありたいと心掛けていた」と告白。2021年に放送された連続テレビ小説「おかえりモネ」の出演時に言及し、「そのときは1年間ずっと出ていたわけではないんですが、少し間が開いて現場に戻ってくると『おかえり』とみんなが迎えてくれたんです。それがすごくうれしかった思い出があった。『あんぱん』でも久しぶりに撮影に臨む人がホッとできるような、帰ってきた感覚になれる空気にできたらいいなと思っていました」と言葉に力を込める。そして北村と“前室(スタジオ付近の待機スペース)”で過ごした時間を懐かしみ、「あの場にいると、みんなのお顔が常に見える。ごはんを食べたり、お昼の再放送をみんなで一緒に観たり……。そういう空気が私は大好きでしたね」とアットホームな現場に思いを馳せた。
「あんぱん」はNHK総合ほかで放送中。
連続テレビ小説「あんぱん」放送情報
放送局・放送日時
NHK総合 毎週月曜~土曜 8:00~ / 12:45~(再放送)※土曜は1週間の振り返り
NHK BS、NHK BSプレミアム4K 毎週月曜~金曜 7:30~
スタッフ・キャスト
作:中園ミホ
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙
出演:今田美桜 / 北村匠海 / 江口のりこ / 河合優実 / 原菜乃華 / 高橋文哉 / 古川琴音 / 眞栄田郷敦 / 大森元貴 / 妻夫木聡 / 阿部サダヲ / 松嶋菜々子 ほか
今田美桜の映画作品
リンク
keills @bxnutk9464
今田美桜、初の朝ドラ主演作「あんぱん」で得たものは 初めて知った北村匠海の一面も告白
https://t.co/Y4pgWLfpk3