第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した映画「
本作は、1丁の銃をめぐって家族の知らない顔が炙り出されていくスリラー。国家公務に従事する一家の主・イマンは夢にまで見た予審判事に昇進するが、業務は反政府デモ逮捕者に不当な刑罰を課すための国家の下働きだった。報復の危険が付きまとうためイマンには護身用の銃が支給されるが、ある日家庭内でその銃が消えてしまう。
「悪は存在せず」で知られるラスロフは、手がける作品が「国家安全保障を危険にさらす」と目を付けられ、何度も投獄されている。「聖なるイチジクの種」がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された際にはイラン政府から出国を禁止されたが、ラスロフは数名のスタッフとともにイランを脱出し、28日かけてカンヌへたどり着いた。なお本作は、日本時間3月3日に米ハリウッドのドルビー・シアターで授賞式が開催される第97回アカデミー賞にて、国際長編映画賞にノミネートされている。
このたびYouTubeで公開された映像で、ラスロフは「私の作品のほとんどは秘密裏に製作されたものです」と語り、逮捕されるリスクを負いながら臨んだキャスティング期間を振り返る。俳優陣については「勇敢な女性たちがヒジャブなしでカメラの前に立ち、長年イラン映画界に影を落としてきた大きなタブーを打ち破ろうとしていました。すべてがうまくいったのは奇跡だったと思います」と感謝とともに語った。冒頭に収録された本編映像には、イマンの昇進を祝う席で、母親が娘たちに「ヒジャブは必須よ」「SNSへの写真投稿は禁止」と今後の立ち振る舞いを説くシーンが映し出されている。
「聖なるイチジクの種」は、2月14日に東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開される。
映画ナタリー @eiga_natalie
モハマド・ラスロフがイラン映画界のタブーに挑んだ「聖なるイチジクの種」製作を述懐(インタビュー映像あり)
https://t.co/YStkiKehN2
#モハマド・ラスロフ #聖なるイチジクの種 https://t.co/GatHlxQ1bC