「雪の花」松坂桃李・芳根京子が小学生とQ&A、扮装姿のまま街を歩いた裏話披露

映画「雪の花 ―ともに在りて―」の親子特別試写イベントが本日1月7日に東京・誠之小学校で開催され、キャストの松坂桃李と芳根京子が参加した。

本作の舞台は疱瘡（天然痘）が流行した江戸時代末期。劇中では、私財を投げうち種痘（予防接種）を普及させようとした町医者・笠原良策の姿が描かれる。良策に松坂、彼を信じて支え続けた妻・千穂に芳根が扮した。

小学5年生、6年生たちに歓声いっぱいで迎えられた松坂と芳根。松坂は「お話（ストーリー）はわかりましたか？」と優しく尋ね、「僕が皆さんと同じ5、6年生だったときは時代劇を観る機会がなかったんです。時代劇を通らずに来てしまいましたが、今回皆さんにお届けできて本当にうれしいです」と笑顔を見せる。芳根も「この作品で時代劇デビューした子もいるかと思うとすごくうれしいです」とコメントした。

また松坂は「映画については観たまま素直に受け取っていただきたいです。単純に『面白かった』でも、『ちょっとわからなかった』でもいい。時を経て、この作品の内容がわかってくるという形でもいいと思っているんです。今は感じ取ったものをそのまま持っていていただければ」と語り、芳根は「松坂さんと同じく、映画を観て今感じたことに何も間違いはありません。今日はお父さんお母さんと感想を言い合っていただけたらと思います」と子供たちに呼びかける。

中盤からは小学生からの質問コーナーが展開された。役との共通点を聞かれた松坂は「信念が強いというある種の頑固さは、笠原さんと似ているところがあるかもしれません。僕も『こうしたい』と思ったら、周りの人に『やめたほうが』と言われても、やります！となるんです」と回答。芳根も「私も、これだと信じたものを信じ抜く力ですね。千穂が夫を信じ、自分のことを信じる思いの強さには共感できました」と続けた。「時代劇の撮影現場で大変だったことは？」という質問には、芳根が「かつらを付けて衣装を着たまま街を歩いていたんですが、誰からも声を掛けられず不思議な気持ちになりました。コンビニにも行ったんですが、かつらもかぶっていて隠すにも隠せないので開き直って胸を張って歩きました（笑）」と振り返る。松坂も扮装姿のまま喫茶店に入ったそうで「コーヒーを飲みましたが、店員さんに不思議そうな顔をされました」と楽しそうにエピソードを披露した。

また「現代とは違う時代の人の感覚をどうつかむんでしょうか？」という問いが挙がると、松坂が「その人物の資料をたくさん読みます。今回は笠原さんがどういうことをやってきたのか、どういう人と接してきたのかを資料で知ろうとしました。台本に書かれているセリフを何度も読み返しながら、当時彼がどんな気持ちで行動していたのかを資料と照らし合わせ、何度も考えて撮影をしました。そして監督の言葉を信じて演技をします」と方法を伝える。芳根は「千穂はあまり資料がない人物だったので、自分自身が台本を読んで感じたことについて、監督さんスタッフさんとお話ししました。キャラクターの厚みを出していくよう、想像力をいっぱい使って千穂を作り上げていきました」と裏側を述べた。

質問コーナーではなぜ俳優の仕事を選んだのか？、俳優の仕事をしてよかったことは？といった質問も飛んだ。また「笠原さんのように立派な人になるには？」と聞かれた松坂は「将来目指しているものはありますか」と質問者に逆質問。「小さい頃からカウボーイになりたいと思っています」という答えを聞いたあと、「立派な人というのは、自分がなろうとしてなれるものではないと考えています。周りの人がその人を立派だと感じるから、立派な人になるんです。笠原さんもたくさんの人を助けたいという志がもともとあって、それを見た周りの人が彼を立派な人だと感じたんだと思います。だからやりたいことに一生懸命になれば、結果として立派な人になれるのではないでしょうか」と真摯に思いを述べた。続く芳根は「優しさと周りへの『ありがとう』という気持ちを忘れずに、のびのびと成長してください」とほほえんでエールを送る。

イベント最後には監督の小泉堯史も登場。子供たちを眺めながら「僕は本当はずっと先生になりたいと思っていたんです。でも勉強が思うようにいかず、こうして監督になりました。人との出会いは非常に大事。僕の場合は黒澤明監督との出会いがありましたが、皆さんにもいい出会いがあればいいなと思います」「そして（劇中の）2人のことを思い出していただければ。そうすれば心の中で彼らが生き続けてくれるので」と伝えた。

吉村昭の小説をもとにした「雪の花 ―ともに在りて―」は1月24日に全国で公開される。

映画「雪の花 —ともに在りて—」予告編