映画「
本作の主人公は、幼い頃に家族を捨てた父・陽二が警察に捕まったという報せを受けた卓(たかし)。久々に再会した父親は認知症で別人のように変わっており、再婚相手の直美は行方不明になっていた。
第67回サンフランシスコ国際映画祭で最高賞にあたるグローバル・ビジョンアワードを受賞するなど、海外でも評価されている本作。近浦は「ずっと日本でどうやって上映できるだろうと考えていましたので、こういう場を設けていただいて本当にうれしい」とコメント。映画鑑賞後の観客を前に「拍手もいただけて、裏でちょっとジーンときました」と感慨深げな様子を見せた。
藤は3度目のタッグとなる近浦に目線を送りつつ「長く一緒にいるものですから、プライベートな会話はほとんどなく『いい作品を作ろう』という緊張感のある絆でつながっている」と述懐。加えて「この歳まで呼んでいただけるのがうれしいですし、できればあと1本くらいお願いしたい」と伝え、観客から拍手を浴びた。
真木は脚本を読んだときに触れ「絶対に参加したいなと思いました。でもいい作品だからこそ『自分である必要があるのか』とも思って。そしたら監督からお手紙をいただいたんです」と振り返る。対して「読みづらい手紙を書きました(笑)」と明かす近浦は、卓と夕希が施設から帰る坂道でのシーンを挙げ「真木さんの後ろ姿を見て『風が吹きそう』と思い、『あそこで立ち止まって夕陽を見上げてください』と言ったんです」と回想。「そしたら1テイク目に光がぱっと差し込んだあと、ワンテンポおいて強い風が吹いた。海外だと風の演出にヘリコプターを使ったりしますが、それでも難しいくらい奥の木まで揺れる“奇跡の風”でした。真木さんでなければ吹かなかったですね」と目を輝かせながら語った。
「藤さんが出ると聞いてぜひ出たいと思った」とオファー時を思い返す原は「演じたという記憶があまりなくて、そこに自然にいられたという感覚でした」と吐露。「そういった環境を、藤さんをはじめ皆さんが作ってくださったんです。あまり考えず、演技プランもほとんどなく“そのまんま”でいられましたね」と笑顔で述べた。
イベントの中盤には、別の仕事で海外にいるという森山からのビデオメッセージが上映され、「力強い映画になっていますので、皆さんに楽しんでいただけるとうれしい。ぜひご友人やSNSなど、この映画を多くの人に伝えてください」と言葉が贈られる。そして藤は森山との共演について「俳優同士って言葉を交わさなくてもカチンコが鳴るとインターアクションをしだすんですよ。その中でやっぱりいい俳優だなと思いました」とたたえる。さらに夫婦を演じた真木は「芝居をしているというよりは本当に妻になったようで、ダメなところにもそのまんま怒っている気持ち。ストレスなくいられたなと」としみじみ振り返った。
本作は北米で開催される第17回 JAPAN CUTS ジャパン・カッツに出品されており、藤に特別生涯功労賞が授与されることも決定している。ニューヨークやロサンゼルスでの劇場公開も予定されており、近浦は「本作は自主制作で作った映画です。インディペンデントの製作陣はみんな『海外でも観てもらいたい』と思っていて、僕もその1人。海を越えたいと思っていたので、徐々に実現しているのが本当にうれしいです」と喜びをあらわにした。
「大いなる不在」は全国で順次公開中。
映画「大いなる不在」予告編
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「大いなる不在」真木よう子に“奇跡の風”が吹く、藤竜也は森山未來に「本当にいい俳優」
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