「映像業界における性加害・性暴力をなくす会」の記者会見が本日12月7日に東京・日本外国特派員協会で行われ、俳優・文筆家の
出演作「童貞。をプロデュース」で監督の松江哲明から性行為を強要されたことを2017年に告発した加賀、映画監督の榊英雄から性暴力を受けたことを2022年3月末に公表した睡蓮、多数の榊の監督作にカメラマンとして参加した経験を持ち、被害者の支援をしている早坂が参加する同会。被害の一部が明らかになったものの、日本の映画業界において当事者が救済されることはなく、性加害が起きないための環境整備が進んでいるとは言い難いのが現状だ。
睡蓮は「日本では今年、(旧)ジャニーズや歌舞伎界で起きた性暴力について報道され、性加害に対して世間が関心を寄せていることも感じています。一方で私たちは、これまでどれだけ声を上げても『映画業界の問題』『個人の問題』と矮小化されてきています。大変悲しいことに、被害当事者が複数名亡くなられています」と伝え、「流行語大賞に『性加害』という言葉がノミネートされて愕然としました。これはブームとして取り扱っていいはずのないこと」と改めてことの重大さを述べる。現状に関しては「まず、支援者が増えないという大きな壁にぶつかっています。昨年4月に声明を発表し、過去(の被害)を検証する第三者機関の設置や被害者と医療機関との連携、性教育の見直しなどを求めましたが、実態としてそのような機関はない。いつまでも特定の支援者と当事者が自ら声を上げるしかなく疲弊し切っています。今一度、国には積極的な関与を求めたいと思います」と訴えた。
加賀は、現在も松江が十分な責任を果たさないままであること、今年の東京国際映画祭で松江がプロデューサーとして関わった映画「音楽」が上映されたことについて言及。さらに「松江氏と親交のあった映画業界人からSNSを通して二次加害や圧力があった」と明かし、「誹謗中傷などの二次加害は人の命にも関わる。1人ひとりが認識を改め、しかるべき判断、行動、連帯によって被害が起きにくい環境の整備と、当事者を孤立させない仕組みづくりが必要だと考えます」と語る。また、こうした性被害が起きやすくなる原因として「映画業界や社会認識の中に“モラルや常識を踏み越えてこそいい作品が作れる”という精神性が潜み、作品や作家への評価を担保とした“芸術無罪”と呼ばれる誤った正当化によって加害が擁護される傾向も見られます」と見解を示した。
「身近なところで性加害が行われていたことに驚き、犯罪行為を止められなかったことに強い後悔を抱いています」と口にした早坂は、「複数の被害者の方から連絡を受けて協力をしてきましたが、告発された加害者は名誉毀損に該当することを示唆し、実際に園子温監督のようにスラップ訴訟を起こすケースもしばしばあります。自分自身もある件で刑事告訴されました。海外で見られるようなスラップ訴訟を規制する法整備が日本にも必要」と説明した。
記者から「メディアの姿勢についてどう感じているか」という質問が飛ぶと、早坂は「告発をしようにも、多くのメディアが加害者や被害者の知名度によって報道するか否かを忖度する」、加賀は「明らかに“事件”であるのに“不祥事”などと言い替え、矮小化される傾向にある」と違和感をにじませる。睡蓮は「映画業界で起こっている性暴力のほとんどはエントラップメント型(上下関係を悪用して性行為に及ぶこと)で、“構造の問題”だということをこの1年半述べてきたが、それがなかなか浸透しない。その原因は、これまでもメディアが恋愛スキャンダルのように報じてきたことの積み重ねにもあると思うので、皆様には強く受け止めていただきたい」と話し、「被害の苦しみは知名度に関係ありませんし、痛みを比べられるようなものではない。生身の人間に被害が起こっていることをきちんと報じていただきたい」と述べた。
最後に加賀は「性加害や性暴力は、他者の性の自由を奪い侵害しているということ。『自由』という言葉を都合のいいように解釈するのではなく、慎重に考えてほしい」、睡蓮は「ずっと考え続けるのが被害当事者の仕事、というのはもうやめにしたい。当事者が声を上げて、そこから考えるのはメディアの皆さんやそれを読んだ方にお願いしたい気持ちです」と真摯に言葉を紡いだ。
ガイチ @gaitifuji
どちらも酷い話なんだけど、特に加賀賢三氏の件は業界の重鎮が被害が分かった後になっても加害者擁護に走った極めて悪質なことが何故か許されていること含めて、本当におかしいことになってる。このニュースでも加賀さんのこと無かったことにして伝えている媒体多すぎる。異常ですよ、異常。 https://t.co/Ja78rtvt1r